永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

趣味ではなく、思いの違い。

2010-08-04 17:35:36 | アート・文化
以前ぼくが古いマンガやおもちゃを集めていることに、スイスの友人が不思議がっていました。大の大人がそういうものを欲しがることに理解できないらしい。ぼくがおもちゃやマンガの成り立ちや時代の背景など歴史的な流れでのバイオグラフィーとしての要素で集めていることを何度説明してもわかってもらえません。その友人はぼくと同業種のデザイナー。NYで知合った。構成主義的なデザインをする人で、ぼくと同じでイラストレーションも描くしデザインをするというタイプ。ぼくはNYでも古いおもちゃやポスターを買い探りましたが、町を案内する彼は遠目に見るようにぼくを不思議そうに観察していました。あるきっかけでシーモア・クワストさんのプッシュピン・スタジオを訪れる機会があって、氏のデザインスタジオで作品を見せてもらっていると、氏も古いおもちゃをコレクションしていました。スタッフの働く部屋は現代的なインテリアでしたが。通された氏の部屋はアンティークなイメージで内装されていて、床にはびっしり古い人形のおもちゃが並べられていました。デザイナーの部屋というより、自分の世界を演出していました。この部屋から氏の知的で機知にとびアイデアのあるイラストレーションが生まれているのだと思うと感激したことがあります。おもちゃコレクションのことを尋ねると、イラストの参考にしたりイマジネーションをふくらませるのにいいんだというようなことを言っていました。そのことを友人に話したら、やはり理解できないと言いました。先日衛星放送で日本に滞在している外国人に、日本の不思議なところはとインタビューする番組があって、ある外国人は大の大人がマンガにハマったり、キャラクーを集めたりするが理解できない。そういうことは子どもの時にすることだと言っていました。意外と即物的でイメージにふくらみがないなと思いました。


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夕陽に沈む関門海峡。〈C〉永野宏三・ひろみプロ