永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

面影がスクラップされていく。

2010-08-12 06:25:37 | アート・文化
ぼくの住んでいる町は日本の現状通りで高齢化が進んでいる。上の通りの家がこの半年間で四軒の家が取り壊された。どのお家も高齢者の方が住んでいた家。
その内のひとつの家が解体中。この家は40年以上前に建てられたもの。鉄筋3階建て。鉄筋とはいっても普通に見る鉄筋住宅ではない。立方体をキューブ状に組み合わせた家。たぶん当時の建築デザイナーが設計した建物と思われる。壁面はオフホワイトのタイル全面貼り。立方体をずらしたりする組み合わせは空間テラスが要所に施してある。今はどの家も同じ素材で時代によって少しづつ変化を持たせコスト計算された画一化された建物がほとんどだが、40年以上も前に建てられたこの家はモダンな風采を町に写していた。町では“ホワイトハウス”と呼称されていた。35年前のこの辺りは戦後に建てられた旧門鉄(現在名はJR九州)の官舎や昭和の面影を残す民家が町を作っていた中、ホワイトハウスはひときわ時代に新しい空気を周囲に放っていた。
辺りをこの町には不釣り合いの、そして計画性のない街の住環境に変えて高層マンションが競って侵略していく。



Dscf0017

思い出の町。〈C〉永野宏三・ひろみプロ