凡そ、平凡。-ohyoso,heibon.

副業的サラリーマンの競馬バカが、そんなコトとは全く関係なく、日々のうつらうつらしたことをあーだこーだと語る、趣味の駄文。

「大逆転」とか、そういうヤツ。

2012年09月24日 | 映画
というわけで、またも映画でございます。

なんつうかですね、ここ数年、昔の「映画熱」ほどではないですが(それこそ週に2回~3回、映画館に行っていた時期があった)、習慣的に「月2回の割合で映画を観に行く」しかも、「無理やりにでも時間作って」という行動を取るようになりまして…

まぁ、いいことなんだか、悪いことなんだか。

昔「映画」にハマっていた頃ってのは、正直、「生活上のストレス」つうか、「つまんない感」が非常に強かった頃でして、
まぁ、その頃ってぇのはワタシも若かったですからね、
映画観ては「この程度の話でカネ取るのかよ」てぇ発言もしてましたが…
まぁ、昨今はですね、そんなことは申しません。
せいぜい言って、「自分とは合わない」とかね、そんぐらいです。


で、今回。


「鍵泥棒のメソッド」


主演:香川照之 堺 雅人 広末涼子
共演:荒川良々 森口瑶子 小山田サユリ 木野 花 小野武彦 内田 慈 ウダタカキ
監督・脚本:内田けんじ
(敬称略)

とある昼下がり。

35歳・売れない役者で無職の「桜井」。
オンボロアパートで首つり自殺を図ろうとするも、ロープが切れ失敗。
しばし呆然とし、気を取り直すと、汗だくになったシャツのニオイを嗅ぎ、ポケットからなけなしの千円札と小銭を
とり出し、…銭湯へ。

昨夜「ある仕事をきっちりとやり遂げた」黒服の男。
昼下がり、ベンツにて移動中、工事渋滞に引っかかる。
若干いらつき、おもむろに腕時計で時間を見ようとすると…そこには「血(?)」が。
昨夜の「仕事」の跡であるが…
こすっても落ちないし、さてどうしたもんか、と思ったところで、窓の外に見えたのは…「銭湯の煙突」。

桜井が銭湯の脱衣所で服を脱いでいると、そこにあからさまに「場違い」な黒服の男。
となりで服を脱ぎ始める。
高級そうなスーツ。札束の入った分厚い財布。
唖然としつつ、目を合わさないようにして先に浴室に向かい、身体を洗おうとする桜井。
と、石鹸がない。
黙ってとなりの親父のモノを拝借しようとするも阻まれ、その勢いで石鹸は床に落ちて滑り…
その後。
浴室の入り口で、男が宙を舞っていた。
あの「黒服の男」である。

男は後頭部から床に落ち、気を失う。
銭湯では救急車を呼ぶ大騒ぎになるが…
桜井は、「ほんの出来心」で、床に落ちた「男」のロッカーの鍵と自分の鍵をすり替えてしまう。

ただ、「死ぬ前に役者仲間達から借りた金を返そう」と、それだけで。


雑誌社の編集部員である香苗は、ある日、唐突に、同僚たちに「年内結婚」を発表する。
しかし、相手はなし。…「これから探すので、皆さん、ご協力お願いします」と。
「真面目で、一緒に努力してくれる方なら、容姿も年齢も収入も気にしない」と。
…唖然とする仲間達。だが…どうにも本人は「かなり真剣」な様子。

男のベンツを乗りまわし、男の財布からカネを取り出しては、役者仲間達に借金返済してまわる桜井。
昔の恋人にまで借りた金を返すと、男が入院した病院へ。
眠っている男のベットの横に男の荷物を置いて帰ろうとするところ、男が目覚める。
「アナタは私の…知り合い?ですか?…知ってたら教えてください。私、誰でしょう?」
そう問われた桜井は、男が「記憶喪失」に懸かっており、更に自分と入れ替わり、「桜井」として入院している
ことを悟る。
「事故でたまたま横に居合わせたものです。…大したことなくて良かった。では…」
そそくさと病室を後にする「桜井」。

母・姉とともに父の病状を見舞った香苗は、病院から出てくる「男」に声を掛けられる。
「この地図の場所に行きたいのですが、歩いて行ける場所でしょうか?」
歩いて30分以上かかりそうなその場所、男は「どうもここに住んでいるらしいのですが、覚えてないんです」と言う。
何か、縁のような、奇妙な感覚を覚えた(?)香苗は、「男」を車でその場所まで送ってゆくことに。
ひたすら低姿勢で真面目そうなこの中年男、自分が何者か全く覚えていない。
持ち物などから、「どうやら自分は『桜井という男で、35歳らしい』ということがわかるだけ」であるという。
オンボロアパートまで男を送った香苗は、この男の「自分探し」に付き合うことになってゆく。

一方、免許証から男の住所を調べた桜井は、とりあえず、男の「マンション」へ。
自分との境遇に唖然としつつ、改めて「自殺」を図ろうと考える。
遺書を書き始め、煮詰まり、何の気なしに部屋のクローゼットを開けると…
そこには変装用の衣類・偽のパスポートやIDカードの数々、高級腕時計、そして…拳銃。
明らかに「堅気」ではないだろう、「男」の素性に、唖然とする。
そしてその瞬間、男の携帯が鳴る。
慌てて電話に出てしまう桜井。
「コンドウさんか?…約束の報酬を支払いたいんだけど…」
これも明らかに「堅気ではない」相手からの電話。
動転した桜井は、思わず出来心で「報酬をアパートの郵便受けに入れるよう」指示してしまう。


こうして、「慌て者で行きあたりばったりな貧乏役者」と「段取り上手で几帳面な裏稼業の男」の人生が、まるっきり入れ替わることとなった――


とまぁ、とっても長い導入部説明でありますが…

要するに「大逆転」モノです。
御伽噺でいう、「王子と乞食」。
いや、そんな良いモンじゃない。
「自殺未遂の貧乏役者と、いかにもヤバそうな裏稼業のプロ」ですから…
まぁ、マトモに収まる訳がなく、お互いがお互い、とんちんかんな行動に走りつつ、なんだか「その立場にある自分を確立しようとする」奇妙な生活が始まる訳で…


これがですね、「裏稼業の男」=香川照之さん、「行き当たりばったり貧乏役者」=堺 雅人さん、両雄大激突的な「珍妙な遣り取り」で、非常に面白い。
怖いハズだった男が、几帳面で努力家で真面目で優しくて何事にも一生懸命で、…いつの間にか「もう一度(?)真剣に役者として頑張ってみよう」なんて決意し、…そんな「桜井」と関わってゆくうちに、「この人となら結婚しても良いかも…」なんて思い始める香苗。
一方、「追加仕事」を断れず、自分なりに「行き当たりばったりな計画」を立てて実行しようとし、どんどん追い込まれる「本物の桜井」。

この経緯もなかなか面白いのですが、「記憶が戻った後」、こっからの展開が、なかなかスピーディで、なおかつコミカル。

そして、「笑わない」広末涼子さん、なかなかチャーミング。
脇を固める「笑わせない」荒川良々さん、「思いっきり二面性のある」森口瑶子さん、好演。

いやぁ、ホント、非常に「良質」なコメディでありました。


と同時に、なんだか懐かしい感じもありまして…

このテのコメディって、まぁ、ワタシが映画をひたすら観ていた時期に、ニューヨークものや当時流行っていた「舞台作家による映画製作モノ」なんかで、非常によく作られていた感じがします。
お金をかけてゴージャスな作品にするでもなく、物凄いセットや映像処理をするでもなく、ともかく「演技」「脚本」「演出」で作り上げてゆく感じの、非常に「良質」な作品。

…そもそも「原作」がなく、「映画」として作られた作品。

こういうの、ホントによく作られていた気がするのですが…

昨今、ホントーにそういうの、観られなくなりました。

いや、現在は現在で、「原作の映像化」「テレビの続編」なんかでも良い作品は作られてますし、それはそれで良いのですが…

映画監督や脚本家が「俺、こういう話考えたんだけど、どう?」
みたいなね、
それこそ、
「ハンドメイド的な」ものって、なかなか観られなくなった気がします。

逆にいや、そういう「一館上映」的な作品を、私が観に行かなくなった、とも言えますが…
(いや、そうやって作品探す時間が無くなったのよ)


実際のところ、こういう作品で本当に良いモノに出会いますと、
「いやー、アレ、知ってる?…知らない?…いやぁ、実にお薦め。…うーんと、いやぁ、もうやってないかもしれないけど、ツ○ヤでDVD(当時、ビデオ)あるかも知れないから、マジで探してみて」
なんてぇ感じで、言いふらしたくなります。

ええと、そういう意味で言いますと、

これは

「言いふらしたくなる」作品。

ホントにね、面白かった。









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