かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 194

2015年01月30日 | 短歌一首鑑賞

 渡辺松男研究 23 【眉間】『寒気氾濫』(1997年)82頁
            参加者:泉真帆、かまくらうてな、渡部慧子、鹿取未放
             レポーター: 泉 真帆
            司会と記録:鹿取 未放

194 生産を見にいかんかなふんぜんと真夜のセメント工場の白煙

     (レポート)(2015年1月)
 作者は仕事でこのセメント工場の視察に行ったのだろうか。中国のユニクロの工場の労働時間の問題が報道されていたが、それを思わせる。「憤然」と見にゆくのだ。(真帆)
 

     (紙上意見)(2015年1月)
★バブルの前「モーレツ」ということばが流行った。生産性を高めたら、豊かな暮らしが待っている。
 そう人々は信じてひたすらに働いた、その頃の様子だろうか。基幹産業であるセメント工場は真夜中
 でも稼働していたのであろう。ふんぜんと白煙をあげている様子はいかにも頑張っているようで、涙
 ぐましい。(石井)
★「ふんぜん」は、「憤然」「奮然」「紛然」のいずれだろうか。(鈴木)


      (当日意見)(2015年1月)
★「ふんぜん」は自分の」感情でもあり、白煙の様子でもあると思いました。(真帆)
★今日のセメントは質が悪いです。だから鉄骨が錆びやすいのです。バブルの頃か、それが大問題
 になりました。かつてのセメントは山砂で品質が良かった。粗悪なセメントだから憤然としてい
 るのではないか。(うてな)
★私は「いかんかな」と言っているので自発的に行くのだと思う。真夜の視察というのもあまりな
 いだろうし。セメント工場はいろいろ問題抱えているかもしれないけれど、ここでは物を作ると
 いうことの面白さに興味を持っていると思いましたが。文明批評の歌もたくさんつくっています
 けれど、ここはちょっと違うかな。(鹿取)


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