かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男句集『隕石』拾遺

2014年09月02日 | 本の紹介
 

「季語がある豊かさとスリル」と題して「かりん」9月号に『隕石』の紹介を書かせていただいた。俳句にくらいので意を尽くせず、著者には申し訳ない気持ちでいっぱいである。魅力的な句が多すぎて、原稿を手放すまで何度も句を入れ替えては迷っていた。残念なので、挙げたかったけれど割愛した句を以下に引用させていらだく。


てふてふや石の口からいづる息

蟭螟(せうめい)や〈この世自体〉はないらしい

みみず鳴くしんそこ昏き阿頼耶識

ががんぼの脚のはづれてから本気

うきくさの浮くことだつて全力だ

るてんして流転してふんころがしの今

虚無なんて元来たまねぎが包む

天井へ、蟻にくははりいきいきす

ふところ手おもたきゆめは下へおつ

このたびは足袋と生まれてきて干さる
 
千年の雨の夜星の夜の欅 

殺し、殺し、殺し、殺して初日かな

白牡丹夢にも重みあるやうに

さくら森乳暈のいろにふくらめる

ででむしとででむしのめとめとめとめ

前世にも前世ありキャベツ剥く中に

筒鳥やくわこぜの、ポ、ポといまの、ポ、ポ

蝙蝠や〈いま〉〈ここ〉〈われ〉の飛びまはる

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