かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠343(スイス)

2016年11月19日 | 短歌の鑑賞

   馬場あき子の外国詠47(2012年1月実施)
        【アルプスの兎】『太鼓の空間』(2008年刊)170頁 
         参加者:N・I、K・I、井上久美子、崎尾廣子、鈴木良明、T・S、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
         レポーター:藤本満須子
         司会とまとめ:鹿取 未放


343 にくげなく酔ひて足踏みうたふゆゑスイスの学生の群れに近づく

        (レポート)
 342と同じく、異国での人との出会い。人恋しさ、開放感溢れる歌。飲んで歌ったり踊ったりしている「にくげな」き学生達のテーブルに近づいていって、自らその輪の中に入っている作者を想像する。「にくげなく」の初句が効いていて若さあふれる学生達を受け入れている作者がいる。どこを旅してもその土地の人々と親しみを込めて会話し、親近感を覚えている作者、「人間が好き」という作者の外国旅行での人々との出会いがじゅうぶんに詠われ、読者に伝わってくる歌だ。(藤本)


      (当日意見)
★「にくげなく」は年上の人間からの見方。(曽我)
★作者を知らなくても年配の視線であることが分かる。(藤本)
★でも、可愛いというと歌はつまらなくなる。(鈴木)
★そうですね、「にくげなく」だからいいですよね。この歌では、好もしい学生の群に交わりたく
 て自分から近づいている。たぶん、店全体が盛り上がって小さな団体の輪が解体しはじめている
 頃なのでしょうね。(鹿取)


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