脱ケミカルデイズ

身の周りの化学物質を減らそうというブログです。 

脱法ハーブの危険は混入された合成薬物による

2012年09月01日 | 脱法ドラッグ

夕刊フジ2012年8月28日 “脱法ハーブ”に死の香り…混入の合成薬物が危ないhttp://news.nifty.com/cs/headline/detail/fuji-zak20120828002/1.htm

 季節の開放感も手伝ってか、“脱法ハーブ”を乱用した事件が後を絶たない。実態は、形を変えた危険な薬物で、安易に手を出して、体調不良を訴えて救急搬送されるケースが急増している。店舗やネットで堂々と売られているからタチが悪い。

■お香の名目で横行

 脱法ハーブと称するものは、刻んだ植物片に幻覚作用などのある合成薬物をまぶしたり、吹き付けた状態で売られている。これを紙に巻いてタバコ状にしたり、キセルなどで火をつけて煙を吸引する。

 横行するのはハーブ状のものだけでなない。東京都福祉保健局薬務課・薬事監視担当の大貫奈穂美課長は「脱法ハーブの多くは『お香』の名目ですが、液体は『アロマリキッド』、粉末は『バスソルト』などとして販売されている。これらの商品を総称して“違法ドラッグ”と呼んでいます」と説明する。

 脱法ハーブの場合、植物片のハーブには害はなく、危険なのは混入されている合成薬物の方。「ハーブ」という言葉は隠れミノに過ぎない。

■覚醒剤にも類似

 多幸感や快感を高めると称して販売されている違法ドラッグには、どんな合成薬物が含まれているのか。

 「ハーブ系の主流は、大麻の類似成分であるカンナビノイド系の合成物質。液体で多いのは覚醒剤の類似成分のカチノン系です。ただ、法規制(指定薬物)を逃れるために、少しずつ構造式を変えた薬物を混入させているのが怖いところ。常に新しい合成薬物の人体実験が市場で繰り返されているようなものなのです」(大貫課長)

 規制対象にしても構造式がコロコロ変わるので、取り締まる行政側と販売業者との間でイタチゴッコが続いているのが現状。そこが「脱法・合法」という言葉を使って堂々と売られている理由だ。

■予想のつかぬ怖さ

 違法ドラッグの健康被害では、これまで幻覚や妄想、錯乱状態、呼吸困難、異常な興奮、全身けいれん、意識障害などの急性中毒症状が数多く報告されている。最悪の場合は死亡もある。

 大貫課長は「本当の怖さは、何を体内に摂取しているのか分からない怖さ」と警告する。

 「個々の商品が違って、どんな物質がどれだけ入っているのか分からないので、今後もどんな症状が現れて、何が起こるのか予想がつかないのが一番怖いのです」

 たとえ病院に救急搬送されても、患者と対峙する医者としてはかつて経験のない薬物中毒を診ることになる。助かる保障などどこにもないのだ。

 薬物依存症問題を支援する日本ダルク本部の相談窓口担当者は「脱法ドラッグは『手に入りやすい』『罪悪感がない』点で入り込みやすいのが問題。一度いい思いをすると他の薬も試したくなり、エスカレートする危険性がある」と薬物依存の怖さも指摘している。

■救急搬送が急増

 警視庁調べで、今年1~5月末までに都内で脱法ハーブによる体調不良で病院に搬送された人は94人。昨年1年間の11人より大幅に急増している実態が分かった。今年4月、横浜市のマンションで脱法ハーブとみられる植物片を吸引後に意識を失った20代男性が、病院に搬送されたが死亡。8月には名古屋で脱法ハーブを吸って自動車運転した30代の会社員がほかの車にぶつかるなどの事故を起こし、逮捕されている。