フランチャイズ開業&読書日記・・・どこまで行くの?

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午前三時のルースター  垣根涼介著

2010年04月03日 00時24分49秒 | 書評 小説系
「君たちに明日はない」シリーズで人気の
垣根涼介のデビュー作。
第17回サントリーミステリー大賞を受賞しています。

あらすじは、旅行代理店に勤める主人公が、
失踪した父を捜す少年を手伝いベトナムにわたり、
様々な妨害にあいながら、
父を発見するサスペンスミステリーです。

原 を思わせるハードボイルドなタッチで
文章がうまく読みやすい。

父親の失踪理由など、なかなか共感できない部分もありますが
読者を飽きさせない場面の展開がうまく筆力を感じさせました。

ルースターというのは一番鶏のこと。

サイゴンで聞いた一番鶏の鳴き声が夜明けを意味するように、
実の父親と決別して逞しく生きていかざるを得ない少年の
成長を物語る象徴にもなっています。

文春文庫の解説を書いている川端裕人の文章もいいですね。
「世界を創造したがる」作家と
「お話を語りたがる作家と二種類の作家がいるという。
垣根涼介は、一見「お話」指向の作家でありつつ、
登場人物の「這いずりまわる」様を描くことで
世界観を創造することに成功しているという。

このような批評の仕方がとても面白いなあと思いました。
荒唐無稽な物語も、
その作家の想像力の発露として
楽しみたいと思っていますが、
現実的な地に足ついた日常を
リアリティ溢れる圧倒的な描写力で描く作品にも
元気と勇気と感動をもらえるかもしれません。

読書が楽しいゆえんです。

押しつけるわけではありませんが、
優れた作家の作品はもっと多くの人に
読んでもらいたいなぁと思います。

午前三時のルースター (文春文庫)
垣根 涼介
文藝春秋

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