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下流の宴(文春文庫) 林真理子著

2013年01月16日 01時54分45秒 | 書評 小説系
久々のヒット。
おもしろかったです。一気に読みました。
林真理子の本はほとんど読んだことはなかったのですが、
NHKのテレビドラマで興味を抱き、原作本を手にとってみました。

黒木瞳主演のドラマのほうは、断片的にしか見ることができてません。



いろんなことを考えさせる良い小説でした。

小説に登場する複数の登場人物が
さまざまな価値観を体現させるキャラクターとして
描かれています。
読む人にとって受け取り方がずいぶん異なることでしょう。

「価値観の多様化」はずいぶん前から言われていました。
だから、世の中にさまざまな考えを有する人がいるのは不思議ではありません。

刻苦勉励が豊かな生活を保証するという価値観が唯一の社会は
とうの昔に葬り去られてしまいましたが、
価値観が多様化した中で、ガツガツした上昇志向の価値観もあれば、
争わず求めない下流志向の価値観も存在し、多極化の様相を呈しています。


何を持って幸せな生き方と考えるかは
百人百様の捉え方があるでしょう。

世間体や見栄を気にする
由美子的生き方を嘲笑することは簡単ですが
人間であれば程度の差こそあれ、
他人と見比べ我が身を省みるところは
日本人なら誰しも持っている性でもあります。

一方で、翔的な、努力をしたくない下流志向の生き方は
現代の風潮とも報じられてもいます。


そして今も昔も、
「教育は、階層を移動する手段である」
ということが根強く信じられています。

フリーターから医学部を目指して受験勉強する玉緒に、
定年退職した初老の男性が、玉緒を励まして
語りかける場面が印象的でした。

「タマちゃん。人間はさ、急に二十歳から、六十歳になるわけじゃない。
その四十年間でさ、いろんなことを経験するんだ。
僕はね、世界中いろんな所へ行ってさ、楽しい経験をいっぱいした。
・・・・
この頃はさ、タマちゃんみたいな若い人たちがさ、どうせ、
人間いきつくとこは同じ、みたいなこと考えているだろ。
あれって嫌だね。
・・・・
二十代からの四十年のことを考えて人間って若い時に頑張るんだよ」


その言葉に、一面の真理が隠されているような気もしました。


下流の宴 (文春文庫)
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