たそがれ時のつれづれに

人生のたそがれ時を迎えて折々の記を・・思うままに

宿業

2013年07月25日 | お寺参り

“さるべき業縁もよほさば、いかなるふるまひもすべしとこそ、聖人はおほせさふらいしに・・・“(歎異抄第13条)
「ふと何か暗い運命に左右されるとき、どんな悪業でも平気でするのが人間ではないかと、親鸞聖人はおっしゃいましたのに・・」(PHP文庫 歎異抄入門 梅原 猛)

数日前の仏教講座でも講師は、因さえあればどんな悪事でも働くのが人間というもの、警察官も裁判官も僧侶も同じ。
「警察官が人間をやっているのではない、人間が警察官をやっている。裁判官が人間をやっているのではない、人間が裁判官をやっている、僧侶が人間をやっているのではない、人間が僧侶をやっているのだから、さるべき業縁もよほさば、どんな悪事でもやるものだと講話されました。

歎異抄13条では
”よきこころのおこるも宿善のもよほすゆえなり、悪事のおもはせらるゝも悪行のはからふゆへなり”
「わが心にたまたまよい心が起こるのは、遠い遠い過去からの積もり積もった業の働きでありますし、また、悪いことをしたいと思うのも、やはり前世からの業ゆえでありましょう・・」
と、弟子唯円に親鸞聖人は言って聞かせている。

真宗大谷派東本願寺はこの「さるべき業縁もよほさばいかなるふるまいもすべし」を今日の言葉として解説し、大谷大学も同じように解説している。
老人介護の優しい手が、あるとき積もり積もって疲れ果て、殺人者の手に変わってしまって、老母の首を絞めてしまう。昨年私の住む隣の市でも起こり、裁判では多くの市民の減刑嘆願があった。

親鸞聖人の生きた、“「弥陀の本願」と「宿業」という言葉が発せられた時代は、戦乱の時代であったことに注意する必要がある。
親鸞が言いたいのは、結局、こういうことであろう。
人間の善悪といっても、もともと善と悪とが人間に定まっているのではない。殺したいと思っても、殺すことのできないような業縁を持っていれば一人も殺さないし、また殺したいと思わなくても何らかの業縁で百人、千人も殺すことがある。つまり善悪は初めから定まっているのではなくて、何らかの業縁によって悪を行ったり、行わなかったりするだけであるというのである。”(解説 梅原 猛氏)

今朝は、静かな山村の山口県周南市(しゅうなんし)金峰(みたけ)で起きた、5人連続殺人・放火事件に憤り、人間の悪行について宗教的に乏しい自分の頭で考えました。
その数日前に自首してきた広島県の専修学校少女達の「仲間のなぶり殺し事件」も同じです。
昨日の地元紙、岐阜新聞には犠牲者の母のコメントと可愛い顔の犠牲者の顔写真を見た。やりきれないでしょう。
山口県の重要参考人は生きているのなら、出頭してすべてを自白すべきです。捜査に当る警察官のご苦労は大変のようだし、残った地元民は目途がつくまで公民館で集団避難生活だという。お気の毒でなりません。
放火を予告するような張り紙の戯れ歌は2年ほど前から張ってあったというし、あるネットの写真では新聞のように画像を部分修正せず、歌人気取りの参考人の名が読み取れた。
10年ほど前、今回犠牲になった一人の男性と集落の酒席で喧嘩になり、参考人が刺されて軽症を負ったことがあるという。強い殺意が伺われる。
最近は大きな犬を二匹飼っていて村人が立ち話ししていると、犬を割り込ませたり、大音響のカラオケを放ったり、上半身裸のマネキンを車庫の前に立てたり、と異常だらけだ。食べ物をいっぱいやって残された大型犬もテレビで見たし、マネキンもネット写真で見た。
とにかく、生きているのなら出頭すべきだ。村の人の心の傷の回復と、亡くなった人のご冥福を祈る今朝です。

当方の隣の市の前市長さんも67歳で、当方と同じ膀胱がんで亡くなった。任期途中で病気療養専念のため、退任されていた。今日はお葬式の日と新聞で読んだ。ご冥福を祈ります。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
宿業、願わくば善なるべし (hygoodday1203)
2013-07-26 01:10:18

「さるべき業縁もよほさばいかなるふるまいもすべし」

私の心に湧いてくる心地良くない状況に嫌気がさして、ひとり落ち込んでました。
実際に行動に至らなくても嫌な思いに囚われていると、何もしたくなくなます。

そんな時はどうすればいいのでしょう・・・?

これ位言えれば軽症です

coronaさんのブログで治癒されます。

感謝してます。
返信する
暑いですね (corona404)
2013-07-26 22:02:08
hygooddayさん 暑中お見舞い申し上げます。
ここ2週間ほど、あなたのブログの更新がなかったので、おばあちゃんの看護だと思っていました。
ブログ一生懸命書いています。気負わずに。
読んでいただきありがとうございます。

世の中おもしろいことは少ないですが、夜が明けると朝がきます。
ひさしぶりのあなたのブログの写真、墨絵のような木曽川よかったですよ。
返信する

コメントを投稿