クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

お別れのスピーチ

2010年05月01日 | 全般
今日は、このブログとしてはちょっと異質なのだが、私が昨日行なったスピーチを掲載する。私が勤めていた高校での、全校生徒を前にしたお別れの挨拶である。

そのスピーチの一部が、このブログのテーマに関係するからだ。スピーチをするにあたって、いろいろ考えたのだが、やはり私がいまいちばん関心をもっていることを通して、生徒に語りかけるのがよいと思った。

実際に話した内容は、時間の関係などで下に掲載したものとはかなり違ってしまった。しかし、主旨はほぼこれと同じである。なお、本文の中の、フランス人、ベトナム人へのインタビューからの引用は、『続 私は日本のここが好き!  外国人43人が深く語る』からである。

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みなさん、こんにちは。私は○○高校で9年間勤務しました。
○○高校で働いていちばん印象深かったことは、9年間で生徒の印象が大きく変化したことす。一言でいうと、毎年毎年、生徒たちがまじめで素直になっていったということです。

(中略)

ところで最近私は、ある発見をした。○○高校の生徒は急激に素直で真面目になっていったけれど、これは日本の高校生全体に言えることだったんだなと。もちろん、○○高校生にとくに顕著にはっきり現れていた傾向なのだけど、今の日本の若者は多かれ少なかれ真面目でおとなしくなっている。

ひとつだけ例をあげます。
電車や街中で地べたに座る、電車の中で大声で話す、電車の中で携帯で話す、下着が見えそうな服装をする。こういうのをみんなどう感じますか。8年・9年前の若者に比べると、こういうのに違和感、抵抗感を感じる若者がどの項目でも2・3割ずつ増えているのだそうだ。ということは、それだけそういうことをする人が少なくなっている。日本の若者全体が、それだけ真面目になっているということでしょう。(数字は、地べたに座る96%、大声で話す95%、下着が見えそうな服装で70%が違和感を感じる、『欲しがらない若者たち(日経プレミアシリーズ)』より)

もしかしたら、これは若者に活気がなくなった、反抗心がなくなったという面につながるのかも知れないけれど、一方で今の若者も、日本の社会のよさを確実に守っていく方向に変化しているな、という良い面もあると思っている。

日本の社会の良さとは何か。それは日本の中にいるとあまり分からない。実は私も海外に長期滞在したという経験はありません。ただ今はインターネットが発達しているから、たとえばYutubeなんかで、日本の様子を写した動画を世界中の人がかんたんに見ることができ、すぐにその反応、感想を書き込む。そういうのを見ていると、世界中の人が日本のどんなところに良さを感じているのかがすぐわかる。

たとえばこれは、日本に3年ほど住んでいるフランス人の感想だけど、「これまでにパリ、ベルリン、ロンドンにも住んだことはありますが、日本の街の安全性は特別です。通常、大都市で生活するときは緊張感が伴います。街を歩くとき、基本的には行き交う人々と視線を合わせないほうがいいと言われています。しかし、東京では初めからそういう緊張は感じませんでした。新宿や渋谷など、いろいろな人々が行き交う繁華街でさえも、大都市で安心して生活できる――そうしたすばらしい気持は、日本でしか感じられません。」

日本の電車の中では、みんな安心して眠ったり、本を読んだりしているけれど、パリやロンドンでは、みんな緊張して自分のカバンをしっかり抱えているそうだ。安心して眠るなんてできない。いつ何を盗まれるか、分からないからね。

日本は、安全な国であり、ルールをよく守り、社会に秩序がある。中国から日本にやってきた人々がびっくりすること。ホテルを出るとき退出検査がない。部屋の小物を盗むような日本人は、ほとんどいないからだろう。犬を散歩させるけど糞は、飼い主がその場で掃除をする。これも、びっくりするらしい。アメリカ人も中国人も驚くこと、日本には自動販売機が多い、しかも誰もそれを壊して金を盗まない。自動販売機が鉄孔子で囲われていなくとも、盗む人はいない。

もうひとつ紹介しよう。これは日本でベトナム料理店を開いているベトナム人の感想です。
「日本に来て本当によかったと思います。日本人は正直で、几帳面、他人を騙す人は少ない。それは従業員を使ってよく分かりました。例えば、ベトナム人は、自分の都合で予告なく休みます。自分の都合を優先します。突然の休みでお店はてんてこ舞いになる。それでも同じことを繰り返す。その点、日本人は事前に休みを申請し、店側に迷惑をかけないよう気配りしてくれます。仕事に対する意識が違うのです。」

こういう感想もすごく多い。たとえばたとえばスパゲッティのゆで方ひとつとっても、日本人の仕事への情熱、完璧を追求する精神がよく分かるという。日本のどんな小さなイタリア料理店にいっても、イタリアと同様のアルデンテの状態(理想的なゆで上がりである歯ごたえのある状態)で出てくる。ヨーロッパの国では、高級イタリア料理店を除くと、このアルデンテに遭遇する確率はきわめて少なくなるのだそうだ。

インターネット上などで外国人が述べている日本の社会の良さをまとめると、

1)礼儀正しさ
2)規律性、社会の秩序がよく保たれている 
3)治安のよさ、犯罪率の低さ 
4)勤勉さ、仕事への責任感、自分の仕事に誇りをもっていること
5)サービスの質の高さ、公平で丁寧な公共サービス
6)清潔さ(ゴミが落ちていない)
7)環境保全意識の高さ 

などです。

私は、この9年間での○○高校生たちの変化を見ていて、こういう日本の良さは、かんたんには崩れない、かなり保たれていくのではないかと思うようになった。みんなが、日本の良さを自覚して、その良さを守っていこうと意識すれば、ますますその良さが保たれていくように思います。日本の将来を担っていくみなさんへのお別れの言葉とします。

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