BOXING観戦日記

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京都大学と英語とボクシング

2009-03-01 01:35:30 | Private
京都大学 入試問題 英語/英作文
2009年2月27日の読売新聞を参照

(1)
冗談を言う人間は低俗な奴と顰蹙を買うことがある。しかし、人間関係に
おける一種の潤滑油としてのユーモアの効用については、もっと認識され
て良いのではないだろうか。ユーモアのわかる人間となるためには、幅広い
知識と柔軟な思考法、それに豊かな感受性が必要だ。ユーモアのセンスがある
と言われることは、最高の褒め言葉である。

(2)
我が家の古いピアノには懐かしい思い出がたくさん詰まっている。5歳から
ピアノを始めた娘たちもすっかり大人になり、今や誰も弾かなくなった。
しかし、なかなか処分する気にはなれない。そういうピアノを買い取って
再生させる会社があるらしい。プロの手で修理すれば、また美しい音を奏でる
ことができるという。

私は現役時代に京都大学を受験し、不合格になっている。
江戸の仇を長崎で討とうというわけではないが、この年齢になって試しに解いてみる。

(1)
There are times when a person's joke can get people around the person to label him/her
as a coarse individual. Putting this aside, I assume that the effects of humor, a grease
so to speak in human relationships, need more attention and recognition. In order to become
a person with the sense of humor, it is a must to have a wide range of knowledge,
master flexible ways of thinking, and develop a keen sense of perception.
Being referred to as such proves to be the greatest accolade.

(2)
An old piano at my house has a lot of memories to take me back. My daughters started to learn to play it
when they were five, and not anymore now that they are grown up. When there have been no such people to play it
in my family, I've been unable to decide to discard it. It seems there are corporates that buy and revive pianos
of this kind, and the piano is reportedly able to make beautiful sounds again once repaired by specialists.

駿台の模範解答よりは英語らしいと思う。問題文は『英訳しなさい』であって、英作文しなさい、ではないはずだ。
(1)の「しかし」を脊髄反射的にhoweverとするのは明らかにおかしい。ここは単なる逆接ではなく、
冗談とユーモアは似て非なるものであると説いているわけで、ここでの「しかし」は”閑話休題”、ないしは
”それはそれとして”というニュアンスで捉えられるべきだ。(2)の「しかし」の用法についても同様の検討が
必要で、手元にある赤本で類似の問題を探したところ、1996年度の英訳問題に「そうはいっても、ペンを紙の上で
さらさらと走らせていくときの~」というよく似た問題があり、模範解答をチェックしてみるとやはり、howeverあるいは
neverthelessを採用している。学校や予備校では接続詞としての"So"を教えていても、
しばしば日本語の「しかし」に該当する"Even so"や、”らしい”、”という”などを節ではなく
副詞一語で表現する方法も当時から現在まで教えられていないようだ。元塾講師として由々しき事態と考える。

京大を受けるような高校生、さらに実際の京大生には釈迦に説法というか当てはまらないというか、
まあ、杞憂なのだろうが、日本の大部分の教育の現場のレベルは私が高校生だった頃と大して変わらないのか。
もちろん、新聞に間に合わせるために練った答案を作れなかったのかもしれないが、予備校で教える側が
この程度のレベルでいいのかと考えさせられてしまう。日本人がお題目の如く口にする「世界」とは往々にして
英語圏と同義である。サッカーは違うが、野球、ボクシング、また”おくりびと”で明らかになったように映画も
アメリカを世界のtop notchと認識しているようだ。であるにもかかわらず、日本の英語教育のレベルは特段の進歩を
見せていないらしい。下がっているとも思えないのだが。

しかし、今後は残念ながら英語教育のレベルも下がっていくのだろう。現場の教師の質の問題ではなく、
国家の方針がそうさせるに違いない。考えてみて欲しい。アメリカやカナダ、オーストラリア、イギリスが
どれぐらい日本から遠いかを(だから韓国語や中国語を学べと言いたい訳ではない、念のため)。
もちろん情報伝達技術の発達は凄まじく、就中、インターネットの功績は大きい。
必然的に日本人が触れてきた英語は、それまでは映画や一部の書籍ぐらいだったものが、
今では映画よりも動画、さらに圧倒的な量のネット上のテキストになっている。
ということはリスニングやスピーキング教育に力を入れるのではなく、今こそ読み書き、
つまり和文英訳と英文和訳に教育努力を傾注するべきだというのが管理人の自論である。

日本人は世界(それが指す範囲は措くとして)に打って出ることを高く評価する傾向がある。今後もそうだろう。
不言実行、あるいは沈黙の美学などが通用するのは、しかし、この島国の中だけなのだ。声に出すことが苦手ならば、
文字にして勝負すれば良い。知っている人は知っているかもしれないが、当ブログでも紹介しているboxingscene.comでは、
Aの坂田とCの内藤はしばしばフィリピン人記者の口撃のターゲットとなっていた。臆病者め、N・ドネアと闘えと
度を越してうるさかったわけだ。JBCや日本のマスコミが沈黙を保つなかで私はそのフィリピン人ジャーナリスト宛てに
メールなどで色々と書いてきた。重要なのは語るという行為で、そのことが効力を持つのは大勢によって語られるか、
繰り返し繰り返し語られるかのどちらかだ。幸い(なのか?)にも彼の口撃対象は今はJBCになっているが、
外国人同士による外国語での1対1の対話ほど基本的に不毛なものはないと改めて知った次第だ。

日本だけでなく世界的に流行の消費のスピードアップが進む中、繰り返し語ることは有効ではあっても得策ではない。
かと言って日本の公教育が正しい方向へ動き出すのを待っても無意味だろう。個人で出来るのはやはり草の根運動という
ことになるのだろうが、ネットを有効に活用すればそこそこの実効性は伴うようになるのだろうか?


こんなブログを読んでる奇特なボクオタの方々、日本ボクシングや日本人ボクサー関連の海外ネット記事を
読んでみたいと思いますか?時間があるときに私の独断と偏見で英語記事を選んで、日本語に訳した記事の需要なんて
あるんでしょうかね?結構聞き捨てならないような記事から、幅広く読まれるべき記事までネット上にはちらほらあります。
ちなみにスペイン語記事は私の能力の不足のため、ご要望があったとしても応えられない可能性が非常に高いです。
世界・・・というより本場への情報発信はジョー小泉がライフワークとしていますが、その逆はなかなか見当たらないのが
現状です。月一ぐらいであればそういう海外記事の日本語訳を読んでみたいと思いますか?

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5 コメント

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ぜひ読んでみたいです (yo)
2009-03-01 11:39:14
いつも観戦日記読ませていただいてます。
毎回、どうやったら試合からそんな深い考察を感じ取れるか首をひねっております。

海外の記事に関してですが海外で日本人世界王者、日本のボクシングがどう報じられているか気になります。
海外のことは何をどうやって調べればいいかサッパリなので……。
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Unknown (kimufumi)
2009-03-01 15:17:01
久しぶりにコメントさせていただきます。

元駿台で浪人生活を送っていた者として一言^^
受験の英作文は、必ずしも日本語をそのまま英語訳するのではなく、日本語として文法・語彙的に簡単な文章に脳内変換してから英訳しなさい、と教わりました。
事実、駿台の解答速報も見てみましたがやっぱい平易な英語で書かれています。もちろん涼しい木星さんのような解答が書ければ最高でしょうが、駿台のは受験生向けに易しく書かれたものだと推察します。
上記の教え方が英語教育にとって是か非かは置いておいて、それにしても京大の問題はこんなに難しいんか・・・orz 受験時より英語に触れる機会は増えてるはずなのに未だにとりかかりたくありません(笑) 個人的にはTOEFLのようにテーマにそって自分の文章で書いた方が実力を見極められると思うのですけどねえ。

自分個人の意見では、英語教育は現状維持+リスニング強化がベストと考えます。
現在の英語教育界を見ていると、「英語の授業自体を英語で行うことを目指す」を言われてもそりゃ無理だろ!と思ってしまいます。なぜなら今まで読み書き中心の教育を受けてきた教師達がいきなり「英語で」と言われても不可能でしょう。駿台の講師ですら読み書きはできるけど聴く話すは苦手(受験英語オンリー)、なんてのは結構いると思いますので。
しかし「話す」は公教育の場で行うのは困難だとしても、「聴く」方は最低限の土台は作られるべきと存じます。というのも、自分は大学に入ってから授業で英会話などするようになったのですが、話せない以上に聞き取れないことに苦労しています。半分責任転嫁ですが、これは受験英語の弊害だとも思っています(笑) 「話す」と一口に言ってもある程度進んだ会話をするためには読む書く聴く全てが必要になってきます。
そこで、リスニングに関してはより早い時期に聴く訓練を開始するためにも今まで以上に公教育に取り入れていくべきかと。昨今、センター試験でもリスニングが導入されたと聞きますがよい傾向だと思います。センターだからすっげえ簡単なんだろうけど。また、スピーキングもやりたい!という意欲旺盛な生徒には、現代にはスカイプやメッセンジャーといった文明の利器があります。教育現場でもこういうの利用できないもんかと思います。

・・・長くなりました。
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Unknown (kimufumi)
2009-03-01 15:21:40
伝え忘れましたが、記事はぜひ読んでみたいです。
口語表現やスラングがありましたらそれに説明も付け加えていただけると嬉しいですw
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Unknown (シュガー)
2009-03-02 00:00:13
はじめてお邪魔します。拳論さんではしばしばお見受けしておりましたがこちらのサイトは最近発見致しました。

私は気の向いた時にしか海外サイトは見ませんが、涼しい木星さんの気になる記事だけでも訳していただけるとありがたいですね。私は英語力に自信がないので。

私は英語教育に詳しくはありませんが、実際の学習が受験というものと不可分である現実を考えると、大学入試改革、言い換えれば大学改革、もっと言い換えれば大学教授陣の脳味噌の改革がなされないと、使える英語を学校で教えることは難しいのではないかなと考えています。ほとんどの高校生は大学入試のために英語を勉強しているでしょうから。
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Unknown (涼しい木星/管理人)
2009-03-03 00:28:02
yo様 ー 海外のニュースに関してnotifight、fightnews、boxingsenceあたりがスタンダードかと。

kimufumi様 ー 日本の英語教育は結局アップデートがなされていないわけです。神戸大学かどこかの問題でも「~に当てはまる」をbe true ofとしていましたが、これは完全に古い表現で、現在ではbe(またはgo) true forを使います。ちなみに私は予備校には高3の夏期講習でしか行ったことはないですが、特に授業には感銘を受けませんでした。もう軽く10年以上も前の話ですね。まあ、教育現場には様々あるでしょう。

リスニングとスピーキングはopposite sides of the same coinで、自分で正しく発音できないと聞き取りもできません。私の経験で言うなら、留学生が多い大学に行くか、自分が留学するか、オンラインゲームで英語人とチャットでもするしかないと思います。

私は受験英語の一番の弊害は一部の教科書そのものにあると考えています。特に具体名は秘しますが、ある高校の教科書の日系ブラジル人高校生と日本人高校生の会話を掲載しているのですが、ここでなんとブラジル人が使う言語がポルトガル語ではなく英語!またこれはほとんど全ての中学の教科書に当てはまるのですが、必ず出てくるフレーズがI am a boy/girl.一生のうち一度も使わないフレーズです。こういったものが堂々と教科書でござい、とまかり通っているのが一番の問題かもしれません。

シュガー様 ー 英語教育に関してのご意見は正鵠を射ていると考えます。結局は大学入試、さらには大学教育そのものが変革されないと高校教育の現場改革も画餅に終わるでしょう。私は小学生のうちから英語を勉強するのなんかとっとと辞めて、中3あるいは高1から英語教育をスタートさせるべきだと思うのですが。日本語の知識自体が不完全な段階から外国語を学んでも実りは少ないでしょう。


海外ニュース記事の翻訳の件は希望多数(!)ということで承りました。今は色んな記者さんにあらためてメールをしているところです。
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