BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBO世界Sミドル級タイトル デニス・インキンVSカロリー・バルザイ

2009-02-17 00:38:08 | Boxing
バルザイ ユナニマスディシジョンで王座奪取

IC王座戦で見られた単発傾向はそのままだったが、
一発一発のパンチの精度は大幅に向上していたバルザイ。
右グローブを常に高く維持し、肘の上下動でボディから顔面をカバー、
相手の左は事前に察知し、バックステップあるいは右ジャブを突き刺すことで
中間距離のinitiativeを握った。
実際に体を動かしてみると分かるが、がっちりと両の脇を締めた状態で
攻防の切り替えを行うのは相当に疲労する。
12ラウンドをスタイルを崩さず戦い抜いたのは練習熱心さを証明する。
左ストレートは基本に忠実で、構えた位置から真っ直ぐに伸びる。
終盤には右アッパーを功打し、左ストから返しの右フックと、
これまた練習で培ったコンビネーションがハマった。
防御の良さも光った。
一見ガードを高く上げただけに見えるが、相手の攻撃を受け止めるスタンス、
受け流すフットワークを使い分け、さらにアゴを常に引きながら視線は常に前。
自身のパンチが当たる距離は相手のパンチをもらう距離でもあると理解している。
ゲルマンボクシングの一つの理想系だと言えよう。
先のフロッチといいJ・テイラーといい、
カルザゲ引退により一気にこの階級も熱戦の様相を帯びてきた。

失冠したインキンだが、冒頭に浜さんが指摘したように力量面では挑戦者と互角。
敗れた原因はサウスポーが苦手だったからではなく、
自身と相手のスタイル、そして戦術の違い(≠差)に尽きる。
自分ではタフさに自身もあり、サウスポーの正面に立ち続けても攻勢点を奪えると
判断したのだろう。
パンチ力ではほぼ互角、タフさで上回るもパンチのprecisionで若干劣った。
ボクサーの体力、精神力、技術以外の面で差がつき、勝敗が決まる試合。
こういう試合はマニアからすると最高に面白いボクシングのひとつだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿