BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA中南米ライト級王座決定戦

2010-08-02 22:42:55 | Boxing
ホルヘ・リナレス VS リカルド・フアレス

リナレス 判定勝利

考察 ~リナレス~

ますますテクニカル(ある技術に特化している)なボクサーになったという印象。
KO負けまではスキルフル(何でも器用にこなす)なボクサーだったのだが。
徳山が見たら大絶賛しそうなボクシングと言えばいいのだろうか。
名城に決定的に欠けている部分が浮き彫りになったと言おうか。

リナレスの理想形はラリオス戦ではなかったかと思う。
カウンターとステップワーク、インサイドワークでダメージを与え続け、
チャンスが来れば連打で一気に攻め落とす。
この試合で見せたスタイルは勝利にのみ照準を絞ったもので、
離れてジャブ、入られれば左ショートアッパーは理にかなっており、
この相手と、このタイミング(再起2戦目)で、このスタイルでもって戦うことは
戦略的に正しいと考えられるが、そのうちKO勝ちができなくなるとも考えられる。
ガードを早めに作り、相手のパンチを敢えて受けとめるスタイルに改造することの意図は明白だ。
だがリナレスの体躯、柔軟性、反応速度から考えて、両脇をガッチリと締めるスタイルは
逆に上半身を固くしてしまうとも考えられる。
このfight-tall high-gurad styleはジャブ以外のパンチの射程が伸びず、
メリットとデメリットを天秤にかけた時、デメリットの方が重いのではと思う。
まあ、名のある相手に確実に勝ちにいくための短期的なスタイルだと考えることにしよう。


考察 ~フアレス~

あと一歩足りないというのは言い得て妙である。
それはキャリアの不遇さを表すものであると同時に実際の踏み込みにも通じるからだ。
サンデーパンチの左フックは相変わらずの威力を秘めるが、
どれほど敗北を重ねても地固めから始めるスタイルを身につけようとしないのは
本人の頑固さか、それともトレーナーの方針によるものなのか。
ただし、このブログで他の選手を対象に幾度か指摘してきたが、
こういう選手は一部を改造すると全体のバランスが崩壊する可能性が高い。
身長、リーチに恵まれないからといってジャブのヒットポイントを遠くに置くようにすれば
得意の左フックがスイングするオープンブローになることは火を見るより明らかだし、
右ストレートを強化すれば、ただでさえ高くない左ガードがさらに下がるだろう。

フアレスが最も動けて、かつチャンスがある階級はフェザーではないかと思う。
なまじ知名度と人気があるものだから世界戦のchance(≠opportunity)が来るたびに
飛びついてしまった本人とプロモーターの自業自得でもあるのだが。
チャンスを掴み取りに行こうとしないのは覇気が足りないが、
ダボハゼのごとく餌にガツガツしていても釣り上げられるばかりだ。
ボクサーのpromotingとはかくも難しい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿