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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

フラックスのやくわり(ハンダ付け)

2009-11-14 12:03:34 | 電子回路
母材である銅箔パターンや電子部品のリード線の表面が酸化皮膜で覆われていたり、汚れが付着していると、ハンダのぬれ性は悪くなります。そこで登場するのが「フラックス」です。

フラックスは母材の酸化皮膜や汚れを除去し、溶けたハンダの表面張力を低下させて、ぬれ性を高める働きをします。結果としてハンダの流れや作業性が飛躍的に向上し、信頼性の高い良好なハンダ付けが可能となります。よってフラックスはハンダ付けに不可欠なものと言えます。

■イモハンダ
もしフラックスを使用せずにハンダ付けを行った場合にできあがるのは、正にイモハンダです。多くの場合、ハンダ付け部を加熱しすぎて、フラックスが蒸発して無くなった状態のハンダ上がりをイモハンダと言いますが、一般化すれば「フラックスの無いハンダ付け」をイモハンダと定義することができます。

■ヤニ入りハンダ
通常、我々が使用するハンダはリールに巻かれたφ0.8~φ2.0くらいの糸ハンダですが、ほとんどの場合、フラックスを内包したヤニ入りハンダです。添付図にヤニ入りハンダの断面図を示します。
【ヤニとは「脂」(樹脂)のこと。】


フラックスの主成分はロジン(松ヤニ)です。これは常温では非活性ですが、170℃程度で活性化し、酸化皮膜除去ができるようになります。また、逆に300℃を超えると分子構造が変わり、活性を持たなくなるので注意が必要です。フラックス(ロジン)は常温では非活性であり、残留フラックスによる経時腐食の心配はありません。むしろ、ハンダおよび母材と空気との間に薄い膜をつくって、酸化防止の役目を果たします。(活性化:所定の機能が活発になること。反応性が高まること。) 


ロジン系フラックスのタイプ別

・ Rタイプ(Rosin base) :非活性ロジンフラックス。非腐食性。
・ RMAタイプ(Mildly Activated Rosin base) :弱活性ロジンフラックス。非腐食性。
・ RAタイプ(Activated Rosin base) :活性ロジンフラックス。弱腐食性。

■RMAタイプはRタイプよりもハンダ付け性に優れる。RAタイプはRMAタイプよりもハンダ付け性に優れるが、わずかに腐食性がある。RMAタイプは一般的に最も多く使用されている。

〔解説〕
ロジンに少量の活性剤(酸やハロゲン物質)を入れたものが活性化ロジンで、最も一般的に用いられます。活性剤を入れることにより洗浄能力、ぬれ性が増し、ハンダ付け性が良くなるからです。活性剤の種類により、RMA(弱活性)とRA(活性)の2種類がありますが、活性剤は諸刃の剣でもあり、特にRAタイプは常温でもわずかに腐食性があります。10年以上も経った古いハンダ付けがボロボロになっていることがあるのは、このわずかな腐食性のために、主にハンダの鉛成分が腐食されたためです。

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