先日、親友から世界の有名バンドの演奏するムード音楽集をいただいた。ご自分の所蔵されるレコードからわざわざCDに落としてくださったものだ。マントヴァー二やパーシーフェイス、101ストリングスなど。そうそうレイモン・ルフェーヴルもあった。
むさぼるように一気に聴いてしまった。懐かしさがこみあげてきて曲に合わせて当時の出来事を思い出していた。中でもポール・モーリアの「オリーヴの首飾り」を聴いたとき、結婚式のことがパアーと浮かんできたのである。
1976年12月のこと、当時の職場の同僚たちが手作りで一式を取り仕切ってくれていたので気楽なものだったが、一つだけ入場行進の際はこの曲をかけて、と指定したのが「オリーヴの首飾り」だった。おそらく参列してくださった人々はあまりご存じなかったかもしれないが、ぼくにとってはいつしかこうしたムード音楽を楽しんでいて、とっておきの一曲だったたのである。
こうした音楽はどうして聴きだし、なぜ好きになっていったのかは定かではないが、僕にとってはとても良質の音楽を聴いているようで、今も単に青春を思い出す懐かしさだけでなく、どこか生きていることの素晴らしさや希望といえそうな感慨にふけってしまうのである。
そんな音楽を聴きながらキーをたたいていると、急に元気をもらっているような思いになり、うれしくなってしまう。今度いただいたCDをベースに放送に取り上げてみようかと頭の中には架空のシナリオが出来上がっているのである。
病間の暇な時間を持て余しながら。
やさしいタイガー