ブログ人 話の広場

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道徳教育に載る人々

2014-02-18 17:07:29 | 日記・エッセイ・コラム

 どうやら近いうちに、道徳教育が教科化されるらしい。小学校から中学校用に作られようとする教科書の内容は、十数人の名のある人物が上がっている。中には立派な功績のある人もあるが、どうかな、と思われる人も載っている。 

 たぶん審議した委員の発案だろうが、どうも過去の日本が国民に教育しようとした手法と全く同じであることに気が付いた。二宮金次郎は僕の小学校時代にも教わった気がする。背中に薪を背負い、歩きながらも本を読むという姿に、勤勉を教えたかったのであろう。 

 しかし、今の子供が見れば、本の代わりにスマートフォンを見ながら歩く、不心得な非道徳な人種を思い出すのではないか、と皮肉の一つも言いたい。成長した金次郎の地域における行政手腕は、むしろ今の政治関係者が読むべき大人の道徳教育本だ。

 こうした人物を現場の教師は、どう教えるのだろうか。歴史小説家が様々な人物伝を描いているが、執筆者によっては内容も表現も違っていく。先生方の価値観もあるし、人生観ともつながるだろうから、「こう教えなさい」と教本の押し付けるような安直な教育はかえって害になる。真実を知らせることができないからだ。

 どうも日本の為政者たちは、何かの形にはめ込まないと落ち着かないようだ。もっと現場の先生方の創意にゆだねたらどうかと思う。有名な人物を勉強しても自分にはとてもできないと思うのではないか。

 そんな高みからの教育ではなく、学校のある地域で生きた人と行動を探し、自分たちで研究して発表し合う方が、余程身につくだろう。地域を愛せないものが、どうして国を愛することができようか。教科書の細部は知らないので、あれこれ言えないが、為政者たちの考える教育観が欺瞞に満ちているとしか思えないのは勘繰りすぎだろうか。

 やさしいタイガー