喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『ひょうご こどもの詩と絵 44』

2024-03-22 10:00:52 | 
詩人の渡辺信雄さんからお贈りいただきました。


『ひょうご こどもの詩と絵 第44集』です。

中学生の作品も少しありますが、小学生が主なアンソロジーです。
やはり低学年の詩が面白い。
毎年お贈りいただきますが、わたしはこの本の中の宝物を探すのが楽しみなのです。
キラリと光る宝物を。

やはり一年生がいいですね。
これはどうでしょうか?

「だいはっけん」です。 藤井壱颯さん たつの市立香島小学校一年。
「しろより、もっとしろいは」とか「ちょうちょのはねみたいに」とか、
驚きの様子が活き活きと、しかも読む者に見えるように書かれています。
これが一年生の作とは素晴らしいです。

太子町立太田小学校一年、和田朋己さんの「ちょっとおにいちゃんきぶん」も心の動きがよく書けていて素晴らしかったです。


これは二年生の高島康生さんの「ぼくの自まん」です。 福崎町立田原小学校。

なんか愉快な出だしです。自慢が嫌みではなく、ユーモアになっていますね。
二年生のこの子にもすでに人柄が現れているような気がします。

三年生、名村望虹さん。たつの市立河内小学校。

「わたしとお母さんをつないでいたもの」。
タイトルもいいですね。
なかなか経験できないことをお母さんへの愛情を込めて書かれています。
読んだ者も驚きを共有できます。

三年生ではほかにたつの市立香島小学校の中村結香さんの「中村一家の大さわぎ」が、大騒ぎの様子が活き活きと書かれていて面白かった。
そして、たつの市立小宅小学校の三木まひろさんの「レッツクッキング」。長い詩ですが、最後までリズム良く書かれていて良かったです。

四年生。
宝塚市立高司小学校、平川和花さん。「声がふるえた発表会」。

緊張の様子が話し言葉でかかれていて、それが効果的です。これが書き言葉なら、これほどの臨場感はないでしょう。

四年生ではほかに市川町立鶴井小学校、上田結仁さんの「たこやきパーティー」が良かったです。
おばあちゃんの登場がリアリティーがあって匂いまで伝わってきそうでした。
そして、たつの市立神部小学校の中村優太さんの「クワガタつよし」が個性的。
冒頭の三行 
    ぼくは、毎日ゼリーを見て/なくなっていたらあげる。/クワガタにだ。
この三行目、下手すると嫌みになるがこの場合は許されそう。
自分を客観的に見ていてユーモラス。タイトルもユニークでなかなかの書き手です。

小学生でも高学年になると理屈っぽくなってきて詩としては難しくなってきます。
その中でこれ。

神河町立神崎小学校五年生、中夜花南さんの「おばあちゃんの家」です。
自分と周りの人との情況が、その心の中まで冷静によく書けてますねえ。
冒頭の二行目「わがままを直すための訓練をするためだ」には声を立てて笑ってしまいました。

六年生です。
たつの市立揖保小学校の宮崎樹さんの「おそうじの秋」。

ユーモラスです。楽しいです。構成も上手いですねえ。


中学生からも一篇。

香美町立村岡中学校三年生 谷渕彩葉さんの「夏の光は」です。
これはなかなかの詩ですね。巧みな暗喩が使われていて、読む者それぞれに、その人なりの想いを想起させます。
いい詩人になるのでは?

最後に編集を担当された渡辺さんのことばを上げておきます。
渡辺さんは今、目の調子が優れないということで大変なご苦労をされたようです。
でも子どもの詩を選ぶのは楽しいことだから頑張られたのでしょう。
ご苦労様でした。


『完本・コーヒーカップの耳』 詩ごころいっぱいの本。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 冷たいお彼岸 | トップ | 4年前のラジオ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

」カテゴリの最新記事