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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『一期一会の頭陀袋』

2021-02-20 15:49:45 | 文芸
先に川柳人の中野さんからお贈り頂いていた句集『一期一会の頭陀袋』(2010年刊)を読ませていただいた。



しかし中野さんの句集ではありません。著者は加島修という元アングラ劇団の役者さんだとか。
最初、パラパラと見た時に、刺激的な句が並んでいるなと感じた。
そのあと、ほかに急ぎの用事が出来てじっくりとは読めてなかったのだが、今日やっと全部読ませていただいた。
元々、時実新子さんに傾倒しておられたということで、世間一般で思われている川柳とは少し趣が違っている。
今でも一般的には、”サラリーマン川柳”のような(いいのもありますが)軽ふざけのような、と言って悪ければユーモアだけのものを川柳だと思われているかもしれない。
しかし川柳はその程度の器に入るものだけではないことを知ってもらおうと、新子さんは奮闘されたのだった。
この加島さんの句はそれに応えたものと言えるかもしれない。
ただ、わたし個人的には少し息苦しい気がしないでもない。
人生がみっしりと詰まっているような句集。
真面目に読むしかないような。
そんな中で、わたしにも馴染む解りやすい句を紹介しよう。
ただし、「解りやすい」と書いたが、実は深い意味が隠されているともいえる。でもまあ、そんなことは措いておいて、
とりあえずご鑑賞ください。
まえがき代わりの「はじめに」に加島さんは「ただ一句でもあなたの胸に」と書いておられる。
やはり解説や感想は野暮なので書きません。

玩具屋の中で私も泣く子供

あああああ鬼の世に人少しいる

金がない僕を死人と言った人

やっと知る私の影の黒いこと

鳴き止んだまま寝たんだろ朝の鳥

人間が少し見えたぜ怖かった

平凡を装う雀美しい

アスファルトその上にあるミミズの死

手を振って一期一会の頭陀袋

独居する父の入れ歯をじっと見る

鏡にはとんでもないが写ってる

フラフラと生きてフラフラなのである

空瓶をときどき拭いて話します

幸せのコーヒーがある喫茶店

みんな嘘みんな善意の嘘をつく

故郷とよんでいいのはあの時代

鬼ごっこ一人も見つけられません

貧乏人エコもヘチマもあるかいな



全部で何句載っているのだろう?数えていないが、おそらく200句以上。
その中から18句だけ挙げてみた。
ほかにもたくさん気になるのはあるが、これぐらいで。

『完本・コーヒーカップの耳』
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