
読んでいる『星新一』だが、登場人物に、江戸川乱歩、横溝正史などわたしが所持している直筆書簡の作家がたくさん出てきて驚き。
思いがけないのは、大下宇陀児(おおしたうだる)だ。

一応宮崎翁からは、推理作家とお聞きしてはいたが、そんなに著名だとは思わなかった。
これはひとえにわたしが浅学のためでもあるが。
『星新一』には度々登場して、こんな風に書かれている。
《大下宇陀児は、江戸川乱歩、横溝正史、角田喜久雄らとともに、現代探偵小説の基盤を築いた大正末期の作家の一人で、戦後は、乱歩の怪奇物に対し、社会を反映する風俗推理小説の分野を開拓した。ラジオの人気番組「二十の扉」のレギュラー出演者でもあり、親一(星新一)はその声に透明な明るさを感じていた。実際に会って見るとその通りの印象で、若い頃はさぞかし美男子だったろうと思われた。大下は終始にこやかで、初対面の親一と柴野に構想中の作品の出だしの部分について話をした。(後略)》
この後も何度も登場する。推理作家としては重鎮だったのだ。
『触媒のうた』文学史秘話がいっぱい。