わたしの敬愛する杉山平一先生がこのほど、現代詩人賞を受けられた、というのはこの前ここに書いたと思う。
97歳の日本の最長老詩人としては今更面映ゆいのではないかと思うが。しかしこの詩集が世間の注目を集めるのは意味のあることでもあろう。先生もそんなことを考えられて甘んじて受けられたものと思う。
前にも紹介しましたが、その詩集の表題詩「希望」をもう一度。
「希望」
夕ぐれはしずかに
おそってくるのに
不幸や悲しみの
事件は
列車や電車の
トンネルのように
とつぜん不意に
自分たちを
闇の中に放りこんでしまうが
我慢していればよいのだ
一点
小さな銀貨のような光が
みるみるぐんぐん
拡がって迎えにくる筈だ
負けるな