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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

杉山平一「希望」

2012-03-09 23:32:00 | 杉山平一先生

 わたしの敬愛する杉山平一先生がこのほど、現代詩人賞を受けられた、というのはこの前ここに書いたと思う。

 97歳の日本の最長老詩人としては今更面映ゆいのではないかと思うが。しかしこの詩集が世間の注目を集めるのは意味のあることでもあろう。先生もそんなことを考えられて甘んじて受けられたものと思う。

 前にも紹介しましたが、その詩集の表題詩「希望」をもう一度。

 

「希望」

夕ぐれはしずかに
おそってくるのに
不幸や悲しみの
事件は

列車や電車の
トンネルのように
とつぜん不意に
自分たちを
闇の中に放りこんでしまうが
我慢していればよいのだ
一点
小さな銀貨のような光が
みるみるぐんぐん
拡がって迎えにくる筈だ

負けるな

コメント (2)
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「いま」

2012-01-02 23:02:31 | 杉山平一先生

 今夜も一篇の詩を。昨夜の姉妹篇とも言うべき杉山平一氏の「いま」。
 タイトルも同じです。

 

   「いま」

もうおそい ということは

人生にはないのだ


おくれて

行列のうしろに立ったのに

ふと 気がつくと

うしろにもう行列が続いている


終りはいつも はじまりである

人生にあるのは

いつも 今である

今だ

              詩集『希望』より


 昨夜紹介した詩は昭和62年のもの。今夜の「いま」は平成5年5月発表のもの。杉山氏80歳に近い日の作品です。

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「いま」

2012-01-02 10:21:57 | 杉山平一先生

明けましておめでとうございます。

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今年もよろしくお願いいたします。

わたしの好きな詩を一篇。杉山平一氏の「いま」です。

    「いま」

もう おそい

いつも

そう 思った


いまから思うと

おそくはなかったのに


まだ 早い

いつも そう思った

そうして いつも

のりおくれた


大事なのは いまだ

やっと 気がついた

もう おそい



   詩集『木の間がくれ』より


 この『木の間がくれ』は昭和62年の発行です。ということは25年前ですから、杉山先生71,2歳の時ですね。わたし、あと少しだけあります。なにか考えさせられます。

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