明石の詩人、渡辺信雄さんから早くにお送り頂いていました。
忙しくしていてなかなか読めなかったのですが、やっと楽しませていただきました。

『こどもの詩と絵』第45集(ひょうご芸術文化センター・兵庫教育文化研究所)です。
主に詩を紹介したいと思います。
〇 土居聡希さん(たつの市立越部小学校)一年生。「こっそりいんちき」です。
偉いですねえ、いんちきしたことを白状して。お母さんとの関係がほのぼのと感じられます。
絵はたつの市立御津小学校一年の小池麗華さん。
〇 山下椋大さん(たつの市立神部小学校)一年生。「やっとうまれたよ」。
一年生にしては細かく書かれています。カナヘビなんて大人は敬遠したいですが、子どもの心は無色透明。
〇 瀧本月乃さん(たつの市立新宮小学校)二年生。「あきのにおい」。
なんでしょうか、この詩。特別なことが書かれているわけではありません。上手い描写があるわけでもありません。でもなぜか読む者を引き付ける味わいがあるんです。二年生にして言葉運びが絶妙なんですね。文才を感じます。
絵は、香美町立霞小学校二年生、田端天翔さん。
〇 家納和咲さん(たつの市立新宮小学校)三年生。「まほうのしお」。
お母さんとのやりとりが心地よく書かれています。描写も上手ですね。タイトルもいい。
〇 河津結衣さん(たつの市立香島小学校)四年生。「でも、待てよ」。
天井の様子が上手に書けてますねえ。非日常性が出ていて興味を惹きます。「見えなかったものが見える」なんて言葉が鋭いです。
〇 安徳大和さん(たつの市立河内小学校)五年生。「ネコとメダカとぼく」。
静かな目線が印象的。最後の三行が秀逸。
絵は、福崎町立田原小学校五年生、牛尾郁美さん。
〇 藤木梨乃さん(たつの市立西栗栖小学校)六年生。「なんだかすっきり」。
さすがに六年生、微妙な心の動きが正直に書かれています。言葉の運びも上手いですね。将来いい小説が書けるかも。
〇 井上羽菜さん(豊岡市立出石中学校)一年生。「存在」。
短い詩ですけど、読む者の胸に突き刺さりますね。太宰治のように自分に正直な人だ。
沢山の作品の中からわたしが好きで選び出しましたが、ほかにもいい作品があります。
長年出されてきたこの『こどもの詩と絵』ですが、この第45集が最終刊ということです。淋しいことです。
子どもを取り巻く環境が厳しくなっているのでしょう。作文や詩をじっくり勉強する余裕が学校にないということですね。
子どもの情操教育には欠かせないものだったと思うのですが、なんか最近の世の中は変です。
ここで、長年お世話をなさってきた詩人、渡辺信雄さんの「監修者のことば」を紹介します。「かけがえのない詩と絵の時間」です。
最後にこう書かれています。《何よりも、詩と絵を生み出した子どもたちが、これからも希望の花を咲かせてくれることを祈ります。》
わたしも同じ気持ちです。長い間、読ませて頂いてありがとうございました。
最後に巻頭の絵のページを。
