初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

交響曲第2番 (シベリウス作曲)

2007年08月21日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はシベリウス:交響曲第2番です。

今年はシベリウス没後50年という事で、先日はシベリウスの生涯について書いてみましたが、だったら彼の代表作とも言えるこの「交響曲第2番」も早めに書いておいた方がいいだろう!という訳で今日はこの曲です。

他の作曲家と違って、比較的早いうちに代表作を生み出していたシベリウスの、交響曲第2番ですが、聴き所はやっぱり第4楽章の壮大なクライマックスですよね。
盛上がる弦楽器に、鳴り響くトランペット!シベリウスの見事なオーケストレーションが炸裂する訳ですが・・・、

惜しむらくは、この曲に名前が無い事ですね。有名な交響曲には、たいてい「ジュピター」とか「運命」とか「新世界から」みたいに、通称がつけられているので、名前と共に曲も有名になっているんですが、

もし・・・シベリウスの、この交響曲にもなんらかの名前がついていれば、今以上に有名になっていたんだろうに…、と考えるのは自分だけでしょうか?

彼のもう一つの代表作交響詩「フィンランディア」は短い曲ですが、ちゃんと名前がついているから、一般的にも有名になっていますから、誰か気の効いた名前を付けてくれていれば・・・と、思ってしまいます。


 第1楽章:ふわふわと、漂うような弦楽器に軽やかなオーボエが、カラッと響くと
 ゆるやかなホルンの響きも手伝ってのどかな風景が目に浮かんできます。
 さらに、鮮やかな弦楽器が入ると、ひんやりとした心地よい風がサラッと吹き込んで
 くるようにさわやかに聴かせます。
 弦楽器は次第にざわつき始め、木管楽器や、ティンパニ(大太鼓)の鋭い音と
 ともに、混沌とした響きに変わっていきます。
 しかし、トランペットやトロンボーンが伸びやかなフレーズを重ねると、
 冒頭のオーボエのフレーズがよみがえってきます。
 そして、今度は少し明るい響きとなって曲を盛上げていきますが、
 最後は弦楽器がヒソヒソとざわめくようにして終わります。 

 第2楽章:ティンパニのドラムロールが静かに響くと、低音弦楽器のピチカートが
 様子を伺うようにポツポツ響きます。
 ピチカートに乗せてファゴットのソロが怪しく響くと、少し怖い感じもします。
 ファゴットにオーボエが加わりホルンがこだますると弦楽器も加わり、
 曲は一気に緊張感を加え、弦楽器は金管楽器と争うように響き合います。
 トロンボーンが鳴り、金管楽器が重厚なフレーズを鳴らすと、ティンパニの
 ドラムロールが終わり、一旦静かになります。
 フルートのやわらかいフレーズが始ると、ファゴットのリズムに乗ってチェロが
 表れます。チェロはチューバと共に大きなフレーズを聴かせるとすぐに静まります。
 トランペットソロが悲しいソロを歌うと、
 それに促されるように曲は一気に盛り上がりトロンボーン、チューバを加えて、
 激しくうごめき出します。
 金管楽器はその後も、寄せては返す波のように大きく、行ったり来たりを
 繰り返していきます。
 波が収まると、弦楽器は悲しいフレーズを奏でていきます。
 まるで悲しいおとぎ話のエンディングを語るように淡々と曲を進めながら、
 最後に悲しい結末を語るように大きなクライマックスを聴かせると
 弦楽器とオーボエが激しく絡み合って終わります。

 第3楽章:ガサガサと弦楽器が始ると、強風が吹き荒れて木々を揺らすような
 どよめきを聴かせます。
 風が収まり、オーボエ、フルートがゆったりとしたフレーズを聴かせ、チェロの
 フレーズがグッと引き付けるように、暖かいフレーズを聴かせますが、
 落ち着くのも束の間、またしても強風が始まり、激しく吹き荒れていきます。
 そして、強風が止むと、またオーボエ、フルートがおだやかなフレーズを
 ゆっくりと奏でていきます。
 やがて弦楽器がまたどよめき始め、次第に盛り上がりトロンボーンを鳴らし
 トランペットが響き、壮大な曲が最高潮に盛上がると・・・、
 
 第4楽章:チェロのメロディが堂々と表れます。輝くトランペットが奇麗に演出し、
 ホルンとチューバのリズムが深く深呼吸をするような鼓動を聴かせると、
 次第に胸も高鳴っていくようです。
 朗々と語るチェロがつなぐと、ヴァイオリンのメロディが鮮やかに表れティンパニを
 従えて堂々と曲を歌います。
 一度、落ち着いてフルート、オーボエなどが曲をつなぎ、ヴァイオリンも流麗な
 メロディを聴かせていきます。
 コントラバスやチェロが低音でじわじわと響くと、曲は急にトーンダウンして
 木管楽器も力無さげに悲しい響きを聴かせます。
 か細い弦楽器の響きはフルートとともにひっそりと聴かせていきます。
 やがて、弦楽器がコントラバスだけになると淡々と語っているようですが、音は
 次第に高くなりチェロやヴァイオリンを加えていきながら、徐々に徐々に
 大きくなります、金管楽器を加えて、チューバの深呼吸が再び聴こえてくると、
 ヴァイオリンの鮮やかなメロディも、よみがえります。
 壮大なスケールはオーケストラ全体を包み、ティンパニが轟き、鮮やかなメロディ
 が高鳴り重厚な金管楽器が響くと、言い知れぬ感動が押し寄せてくるようです。
 そして、いよいよラストを前にすると、また静けさが辺りを包み、オーボエと
 トランペットが悲しい響きを虚空に響かせますが、
 弦楽器が最後の力を振り絞るように、何度ももがきながら一歩ずつ曲を前に進めると
 トランペット、トロンボーンが見事に壮大なファンファーレを響かせ、
 弦楽器がその余韻を残しながら、そこに金管楽器が大きく雄大な響きを歌い
 ラストを堂々と飾ります。

いや~久々に調子に乗って長々と書いてしまいました。
構成は全4楽章なんですが、この曲は第3楽章と第4楽章の間を休まずに続けて演奏するように作曲されています。(でも、この曲で3楽章と4楽章の間に一旦休みを入れて、演奏しようものなら、客席から石を投げられそうなので、絶対に無いと思います。)
この曲の作りも全体的に、統一感と壮大なスケールを演出する、ためのひとつのしかけなのかもしれません。
終盤のクライマックスはとても盛り上がり、グッとくるものがありますから、一度聴けば絶対に忘れないフレーズになるんだと思います。
演奏時間は約45分と、やや長めですが、最後まで聴いていると言い知れぬ感動を味わえるこの曲は「名曲」の名に恥じない一曲だと思います。

≪オススメCD≫
フィンランディアも入ってます。
シベリウス:交響曲第2番
フィンランド放送交響楽団,シベリウス,サラステ(ユッカ=ペッカ),ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団,カム(オッコ)
ワーナーミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
たっぷり時間があるときに、じんわり感動できる一曲です。


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