御託専科

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モンスター化する投資家たち -麻生発言に寄せて-

2013-06-16 17:29:04 | 時評・論評
14日麻生さんは株価について「もっと上がると思って損をしたとか、それはその人たちの感性の問題。その責任までこっちに言われても、どうにもならない。」とコメントしたそうだ。それと合わせて、今の株価12000円台は昨秋の8000円より5割高い、とも。まあこれはついでだが。

これは全くの正論である。政府にどうにかしろというのは投資家とは思えない物言いである。投資家は、政府の動きを読みそれに対する市場の反応を読み、そして儲けよう、という人たちである。ならば政策が思い通り出なかったからといって、あるいは政策への市場の反応が思い通りでなかったからといって(今回の件は明らかに後者だと思う)それを政府に向かってあれこれ言うのは明らかに筋違いだ。特に政策そのものというよりそれに対する反応であればますますそうだ。空売りすりゃいいところを買ったのか?それで損してぎゃあぎゃあ言っているのか? そりゃ投資家じゃないよね。投資家を名乗るのであれば、自らの読み間違いを恥じ、反省して次の機会はちゃんと儲ける(あるいは損をしない)ことを考えるのが筋である。

もっと言ってしまえば、投資家というのは、政府がやっていることが間違いであったとしても、そのことに対する市場の反応から利益を引き出そうとする者である。であるから、投資家というのは政策の良し悪しは論じない。政策に対する(およびほかのあらゆる要素に対する)市場の反応を読み、そこから利益を得る機会を見出そうとするものである。

じゃあ政策の良し悪しを論じるのなら、どうすればよいか。投資家という立場を一旦離れる必要がある。例えば僕はクロダバズーカは無意味だと思う。ただ多少害があるかもしれない。これは市場参加者のアホさ加減による(賢ければ無害である)。なのでやらないほうがよかった。今となってはいかにたくみに市場を騙しつつなれさせつつ撤退するかだね。でもこう語るときの僕は経済を多少知っている(つもり)の一個人としてであり、投資家としてではない。

90年のバブル崩壊ぐらいから投資家の劣化はどんどん進んで来ている。日銀はこうすべきだ政府はこうすべきだ、だから株価が上がらない景気が良くならない、で、そうは言わないけど「だから俺は儲からない、損をした。どうしてくれる!」と言いたいんだよね。しかしね、いまや個人でさえも如何様にもポジションが取れるわけで、失政と思えば空売りすれば良い。上も下も、また日本株に限らずなんでもできるのに、おそらく自分の塩漬けポジションに苛立って当局にむかって声を上げる。思いどうりに行かないとぎゃあぎゃあ騒ぐ、モンスターインベスターだ。騒げば騒ぐほど儲かっていない(あるいは損した)ことがわかるから、結構恥ずかしい話なんだよね。騒ぐ前にひと呼吸して反省を。なんていっても、反省も恥も知らない奴らにゃ伝わんないだろうけどね。