御託専科

時評、書評、そしてちょっとだけビジネス

「ブームはどう始まりどう終わるのか」中川右介

2005-06-01 06:58:14 | 書評
クラシックカメラブームの渦中で潤い、傷を負った当事者(雑誌編集者)の話。さすが雑誌の編集者だけあってまとめ方が大変整理されている。
ブームは仕掛けられるのではなく発見されるということ、ブームには教祖が必要で、「実務的」には2人だと助かるということ(対談記事が作れる)、ブームには聖地が必要であること、ブームの加熱自体が記事の質の低下(同じ人ばかりが取り上げられる)や復刻版のようなけったいなものを作り出す誘引を作る、などなど。
それ以上に、中古品の意味が少しわかった気がする。確かに中古品はもう作られていないのだ。そしてさまざまな人の手を経て唯一性を一つ一つが獲得しているのだ。それに凝ろう、という気持ちもほんとよくわかった。
物趣味の骨頂はどうやら(絵画等も含め)骨董にあるらしい。