ケーキやフランス料理のデザートに使われる木イチゴの香りのもととなる化学成分「ラズベリーケトン」に、育毛と美肌効果があることが、名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らのグループの研究で分かった。成果は米科学誌「成長ホルモンとIGF研究」(電子版)に掲載された。
岡嶋教授らは、ラズベリーケトンを生理食塩水などで薄めて、毛をそったマウスの皮膚に4週間塗り続けたところ、毛の成長促進作用があることを確認した。このデータを基に、10人の薄毛の人に毎晩1回5カ月間、頭皮にラズベリーケトンを塗り続けると、男性型脱毛症の男性4人と円形脱毛症の女性1人で、明らかに増毛が確認できた。
また、5人の女性の顔にラズベリーケトンを毎晩1回、2週間塗ってもらい、塗り始めた前後で、引っ張った肌がどの程度戻るかで肌の弾力性を調べたところ、個人差はあったものの、平均すると塗った後の弾力性が明らかに増した。
岡嶋教授らのこれまでの研究で、トウガラシの辛み成分である「カプサイシン」に知覚神経を刺激し皮膚の衰えを防ぎ、育毛させる効果があることが分かっていた。
今回、ラズベリーケトンがカプサイシンに化学構造が似ていることに着目。ラズベリーケトンにもカプサイシンと同様に、知覚神経の刺激により髪の毛のもととなる毛母細胞を活性化させたり、細胞の老化を防いだりするタンパク質「インスリン様成長因子-I」の生成を促進させる作用があることを確認した。
岡嶋教授は「ラズベリーケトンは甘い香りで、化粧品やサプリメントに応用できそうだ」と話している。
[中日新聞 / 2008年03月16日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008031602095739.html
毛を剃られたマウスちゃんたちと、有志の被験者さんたち、ごくろうさまでした。そのうちちゃんとした機序も解明されるようになると良いですね。