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脊髄小脳変性症:マウスに遺伝子導入成功=群馬大学

2008年03月23日 | 医療技術
 原因不明の難病「脊髄(せきずい)小脳変性症」の治療に有効な遺伝子を、マウスの脳神経細胞に効率よく導入させることに群馬大などが成功した。安全性や効果を確認したうえで、遺伝子治療への応用を目指す。

 脊髄小脳変性症は、小脳が萎縮(いしゅく)して神経細胞が破壊される病気。歩行障害や言語障害を起こし、死に至る場合もある。根治療法はなく、リハビリで進行を抑えているのが現状だ。国内に約2万人とされる患者のうち4割が遺伝性という。

 群馬大大学院医学系研究科の平井宏和教授(神経生理学)らは、病原性を取り除いたウイルスを使って、目的の遺伝子を細胞内へ効果的に導入させる「レンチウイルスベクター」に着目。この方法を使って、細胞内の異常を修復する「CRAG」と呼ばれる酵素の遺伝子を、脊髄小脳変性症のマウスに導入した。その結果、神経細胞が回復し、運動障害が大幅に改善された。

 生物の神経細胞に直接、遺伝子を導入したのは初めてで、遺伝子治療に応用できれば、遺伝性の患者の8割に症状改善が期待できる。今後、サルを使った実験などで効果や安全性を確認する。14日の欧州分子生物学機構の専門誌「エンボ・リポーツ」オンライン速報版に掲載された。【伊澤拓也】

[毎日新聞 / 2008年03月23日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080323ddm016040127000c.html