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ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

トキソプラズマ原虫:除草剤で治療に効果=大阪大学

2008年01月10日 | 創薬
 脳炎や胎児の奇形、流産などを起こす寄生虫のトキソプラズマ原虫が、感染した細胞を破って別の細胞に寄生する際、みずから作った植物ホルモンを情報伝達に利用していることが分かった。植物ホルモンの働きを抑える除草剤で治療効果を示すデータも動物実験によって得られており、新たな治療薬開発につながることが期待される。10日付の英科学誌ネイチャーで、大阪大微生物病研究所の永宗喜三郎助教(寄生虫学)らが発表する。

 トキソプラズマは長さ100分の1ミリ程度で細胞内に寄生。日本では約1割、世界では3分の1の人が感染しており、胎児に感染した場合、奇形や流産になることもある。また、エイズなどで免疫力が落ちると、脳炎などで死ぬこともある。

 永宗助教によると、遺伝子解析の結果、進化の過程で、植物ホルモンを作る細菌を取り込んだとみられることが判明。感染細胞に植物ホルモンを作用させると、休眠状態のトキソプラズマが細胞を破って外に出た。植物ホルモンは、細胞内から外に出る際のサインになっているらしい。

 実験で感染させたマウスは2週間で8割が死んだが、除草剤で植物ホルモンの阻害薬「フルリドン」を毎日注射すると、死ぬのは2割に減ったという。植物ホルモンのサインを阻害することで、トキソプラズマの活動を抑えたとみられる。フルリドンは動物には害がなく、治療薬への応用が期待される。【根本毅】

[毎日新聞 / 2008年01月10日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080110k0000e040002000c.html


スイス系製薬ノバルティスファーマ、筑波研究所を08年末で閉鎖

2008年01月10日 | 創薬
 スイス系製薬会社のノバルティスファーマは10日、創薬研究の国内唯一の拠点である筑波研究所(茨城県つくば市)を2008年末で閉鎖すると発表した。親会社のスイス・ノバルティスが世界規模で研究内容や拠点を見直すのに伴い、米国の研究拠点に統合する。新薬の開発コストがかさむ中、研究活動の効率化をめざす。

 欧米の製薬大手では経営効率の向上をめざして世界の研究開発拠点の体制を見直す動きが活発化。英製薬大手のグラクソスミスクライン(GSK)が昨春に筑波研究所(つくば市)を閉鎖したほか、米ファイザーも中央研究所(愛知県武豊町)の閉鎖を決めるなど、日本にもその影響が広がっている。

 ノバルティスファーマの筑波研究所は新薬のタネとなる物質を探す創薬研究を手掛け、動脈硬化や高血圧など循環器分野で開発を進めている。化合物の組成の分析や製剤研究などの開発部門は本社(東京・港)などに移管する。

[NIKKEI NET マネー&マーケット / 2008年01月10日]
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/tegakari.aspx?site=MARKET&genre=c3&id=AT1D10078%2010012008

ノバルティスファーマ社 プレスリリース
筑波研究所の閉鎖について (2008年1月10日)
http://www.novartis.co.jp/news/2008/pr20080110.html



 残念なニュースです。
 スイスの一大企業の戦略上の選択とはいえ、日本での研究拠点が消えてしまうというのは、寂しい思いがします。2006年のファイザー製薬社、グラクソスミスクライン社の研究所閉鎖、と、外資系企業撤退のニュースが続いているようです。日本は人件費が高い実験機器や試薬の流通価格が高い、とか地理的に遠くてなにをするにも時間と手間がかかるとか色々事情もあったのでしょうか。日本での研究は十分世界でも通用するし、貢献できると思ったのですが、突然の閉鎖のニュースはやはり残念です。

 新しい薬を創り出して病気と戦おう、という夢を持った若者、‥がんばりましょう。

多動性障害の治療薬を発売=ヤンセンファーマ

2007年12月19日 | 創薬
 ヤンセンファーマ(東京都千代田区)は19日、児童が授業中に動き回ったり、忘れものが多いなどの「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の日本初の治療薬「コンサータ錠」を発売した。脳内の神経伝達物質の働きを活性化し、ADHDの症状を緩和する。世界70カ国で使われており、厚生労働省が18歳未満の適用を今年承認した。朝1回服用で12時間効果が持続する。医師の処方が必要。同社は米ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品の日本法人。

[毎日新聞 / 2007年12月19日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071220k0000m020080000c.html

乳がん転移促すたんぱく質特定=大阪バイオサイエンス研究所

2007年12月17日 | 創薬
 乳がんの転移を促すたんぱく質を、大阪バイオサイエンス研究所の佐邊寿孝(さべ・ひさたか)研究部長らのグループが新たに特定した。佐邊さんらは06年にも、乳がんの転移を促す別のたんぱく質を特定し、発表している。いずれも副作用がより少ない治療薬の開発につながるという。16日付の英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー(電子版)に掲載される。

 乳腺で増殖した乳がん細胞は、悪性化すると乳腺の壁を壊して浸潤し、血管やリンパ管を通って肺など全身に転移するとされる。

 佐邊さんらが悪性の乳がん細胞を調べたところ、正常な細胞ではほとんどないGEP100というたんぱく質が増えていることが分かった。

 シャーレで培養した悪性の乳がん細胞で、GEP100の生成を抑制し、顕微鏡で観察したところ、通常に比べて浸潤能力が低下した。また、GEP100ができないようにした悪性乳がん細胞とGEP100をもつがん細胞を別々のマウスに注入したところ、どちらも増殖したが、生成を抑えた細胞は肺への転移があまりみられなかった。

 佐邊さんは「これらのたんぱく質は、大人ではがん細胞の浸潤や転移のみにかかわっているとみられる。そのため、このたんぱく質の働きを抑える薬は、体内の他の働きを阻害することがなく、副作用が出にくいと考えられる」と話している。

[朝日新聞 / 2007年12月17日]
http://www.asahi.com/science/update/1216/OSK200712160039.html

ニコチンが運動障害抑制、パーキンソン病対策に活用も=パーキンソン研究所(米国)

2007年10月25日 | 創薬
 【シリコンバレー24日時事】たばこ依存症をもたらす猛毒ニコチンに、パーキンソン病に伴う手足のけいれんなどの運動障害を抑える効果があることが分かった。当地にあるパーキンソン研究所が医学誌最新号に研究成果を発表した。
 研究では、投薬によりパーキンソン病に似た症状を持たせたマウスにニコチン混入飲料を飲ませ、効果を調べた。その結果、運動障害の発生が、ニコチンを与えなかった場合に比べ最大50%抑制されたという。
 ニコチンは毒性が強くそのまま患者に投与できないが、研究者は「ニコチンあるいはニコチン的機能を持つ物質が、パーキンソン病の運動障害への有効な治療薬になり得る」と期待している。
 以前から、喫煙者がパーキンソン病になる比率は非喫煙者の半分程度にとどまることが知られてきた。同研究所はニコチンに焦点を合わせ、その理由の解明に取り組んできた。パーキンソン病患者は米国だけで150万人に上る。

[時事通信 Yahoo!ニュース / 2007年10月25日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071025-00000085-jij-int

米食品医薬品局、メルク社のインテグラーゼ阻害剤(抗HIV薬)を承認

2007年10月15日 | 創薬
【Technobahn 2007/10/15 16:05】米製薬大手のメルク社は12日、抗HIV(エイズ)薬「Isentress(MK-0518)」が米食品医薬品局(FDA)によって承認されたことを発表した。

 エイズウィルスは発症するために3つの異なる酵素を利用。これまでその内、プロテアーゼと逆転写酵素と呼ばれている2つの酵素のブロックすることまでは成功してきた。メルク社のIsentressは3つめの酵素となるインテグラーゼをブロックすることに成功した最初の抗HIV薬となる。

 プロテアーゼと逆転写酵素をブロックする抗HIV薬と今回、メルク社が開発を行ったインテグラーゼをブロックする抗HIV薬を混成(カクテル)して処方することにより、エイズ感染患者の死亡率を大幅に低下することが可能となる。

  Isentressの価格は1日分で27ドル(約3100円)、1年分で9855ドル(113万円)となる見通。画像を拡大する

[Technobahn science news / 2007年10月15日]
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200710151605

がんワクチン「効果あり」 34人中22人、安定か改善=東京大学医科学研究所

2007年10月05日 | 創薬
 進行した膵臓(すいぞう)がんや食道がんなどを対象にしたがんワクチンの臨床研究で、患者34人のうち22人に病状の悪化を防ぐ効果が確認されていることがわかった。横浜市で5日まで開かれている日本癌(がん)学会総会で、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターの中村祐輔教授が発表した。目立った副作用は出ていないという。新薬として開発を進める方針だ。

 がんワクチンは、がん細胞に狙いを絞って免疫反応を高め、がんをやっつけようという手法。中村教授らが、正常細胞ではほとんど働かないのに、それぞれのがん細胞で特徴的に活発に働いている遺伝子を特定。その中から強い免疫反応を導くものを選び出し、複数のワクチンを作った。

 膵臓、食道のほか、肺、肝臓、膀胱(ぼうこう)、大腸の各がんを対象に、岩手医大や福島県立医大、山梨大、和歌山県立医大、九州大などが昨秋から順次、臨床研究を始めた。

 今はワクチン自体に毒性がないかどうかを確認している段階で、標準的な治療法がないと判断された患者らに説明し、同意を得て研究に参加してもらっている。

 9月末までに投与した患者は67人おり、このうち、計画通り投与し、3カ月以上過ぎた34人について分析した。がんが縮小したと評価された人は膵臓、膀胱、大腸の各がんだった5人。がんが大きくならずに安定していた人が17人で、計22人で効果があったと判断した。

 がんに対する免疫反応が高まっていることも確認され、特に比較的若い人で顕著だった。また、投与の結果、半年以上、病状が安定している患者がいた一方、効果のみられないケースもあった。

 グループが、がんワクチンに期待するのは、手術後の再発予防。実用化にはさらに研究を重ねる必要があるが、新薬の承認申請を目指し、臨床試験(治験)を担当する厚生労働省の関連組織と相談に入りたい考えだ。

[朝日新聞 / 2007年10月05日]
http://www.asahi.com/science/update/1005/TKY200710050196.html

イグ・ノーベル賞:化学賞に邦人女性 排泄物からバニラ香

2007年10月05日 | 創薬
 【ケンブリッジ(米マサチューセッツ州)和田浩明】人を笑わせ、考えさせて科学への興味を誘う研究などに毎年贈られる「イグ・ノーベル賞」の化学賞を日本人研究者の山本麻由さん(26)が受賞し、ハーバード大学で4日授賞式が行われた。日本人の同賞受賞は12件目。ウシの排泄物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出した研究が対象。山本さんは「受賞は廃棄物の活用法を知ってもらえるよい機会。ただ、この方法で抽出したバニリンは食物には向かないかも」と語った。

 山本さんは国立国際医療センター研究所の研究員だった04年に今回受賞した抽出方法を開発した。牛糞1グラムに水4ミリリットルを加え200度で60分間加熱すると、1グラムあたり約50マイクログラム(マイクロは100万分の1)のバニリンが抽出できた。

 バニリンは樹木などの木質成分「リグニン」から生成するため、馬や山羊などの草食動物の排泄物も利用可能だという。抽出コストはバニラ豆を原材料にする方法に比べ「およそ半分」(山本さん)。シャンプーやロウソクの芳香添加物などの応用が考えられる。

 授賞式では76年のノーベル化学賞受賞者、ウィリアム・リプスコム氏から同賞の今年のテーマ「ニワトリ」のトロフィーが手渡された。また、山本さんの名が冠されたアイスクリームを壇上のノーベル賞学者らが試食する一幕もあった。

 「裏ノーベル賞」とも言われるイグ・ノーベル賞は米国の「ユーモア科学研究ジャーナル」誌の編集長、マーク・エイブラムス氏が91年に創設。これまで日本人が11件で受賞している。

 今年の受賞は10分野で▽平和賞(米空軍ライト研究所、敵兵同士を恋に陥らせ士気を削ぐ化学兵器の研究)▽言語学賞(スペイン、逆に話された日本語とオランダ語をラットが区別できないことを発見)▽経済学賞(台湾、銀行強盗捕捉装置の発明)など。

[毎日新聞 / 2007年10月05日]
http://mainichi.jp/photo/news/20071005k0000e040025000c.html


【イグ・ノーベル賞、「牛の糞からバニラ」で邦人女性が受賞】

ボストン──「笑えるとしか言いようがなく、しかも記憶に残り、人々を考えさせる業績」に贈られる年恒例のイグ・ノーベル賞の第17回授賞式が4日夜、米ハーバード大学サンダース・シアターで催され、牛の糞(ふん)からバニラ香料成分を抽出した日本の山本麻由さん(26)が化学賞を受賞した。


国立国際医療センター研究所に所属する山本さんが受賞した研究内容は「牛糞からバニラの芳香成分vanillinの抽出」。牛の糞ときいて、会場からはどよめきが起こった。壇上では、牛の糞から抽出した香料を使った「バニラ」アイスクリームが式に多数参加した本家の「ノーベル賞」受賞者に配られ、教授らは意を決した表情で口に運んでいた。


今年の授賞式のテーマは「チキン」。このテーマは、授賞者選考には関係ないものの、式典途中に演じられるミニ・オペラや、過去の受賞者のスピーチ、授賞トロフィーなどのモチーフとなった。


式典中の注意事項として、鶏の投げ込みが禁止されたほか、授賞式の風物詩となっている紙ヒコーキについては、「航空関連テロ」対策が強化されている昨今の情勢を踏まえ、飛ばすことが原則禁止となった。しかし、サンダース・シアター基準に準ずるものだけは投げ飛ばすのが許された。


毎年、壇上の紙ヒコーキを掃除する役目を担うのはノーベル賞受賞者のロイ・グラウバー教授。今年もすげ笠をかぶってほうきを手にした姿で登場、壇上で紙ヒコーキを待ち構え、喝さいを浴びた。


今年の受賞一覧は以下の通り。


○化学賞:「牛糞からバニラの芳香成分vanillinの抽出」 牛の糞からバニラ香料成分の抽出に成功した、国立国際医療センター 研究所の医療生態学研究部の山本麻由氏に授与。壇上では、この抽出した香料を使ったアイスクリームが歴代のノーベル賞受賞者に配られた。


○医学賞:「剣飲みとその副作用について」の研究で、英国グロスターシャー州の放射線医師ブライアン・ウィットコーム氏と、米国人協力者のダン・メイヤー氏に授与。世界的に有名な剣飲みのパーフォーマー、メイヤー氏が研究に協力し、3カ月間で約2000本の剣を飲んで、その際の生体反応について調査した。授賞式では、壇上でメイヤー氏が剣飲みの実演を行い、盛大な拍手を受けた。


○物理学賞:「シーツの皺(しわ)のつき方について」研究した米ハーバード大学のラクシミナラヤナン・マハデバン氏と南米チリのエンリケ・セルダ氏に授与。


○生物学賞:「寝床で一緒に眠り、ムズムズ感を引き起こすダニ、昆虫、クモ、シダ類、菌類の全統計調査」を実施したオランダのヨハンナ・ファン・ブロンズウィック博士に授与。


○言語学賞:「ラットは日本語の逆さ言葉とオランダ語の逆さ言葉を聞き分けられない」ことを示したバルセロナ大学の研究チームに授与。


○文学賞:「アルファベット順に並び替える際に、英語の定冠詞『the』によって引き起こされる混乱」について研究した、オーストラリア・ブルーマウンテンズのグレンダ・ブラウ氏に授与。


○平和賞:「同性愛爆弾」を開発した米空軍ライト研究所に授与。この化学兵器は、敵の兵士間に広く、同性愛の感情の芽生えさせるという。


○栄養学賞:「底がないスープ皿で自動的に給仕される場合における、人間の食欲の限界について」を研究した、コーネル大学のブライアン・ワンシンク氏に授与。


○経済学賞:「銀行強盗を捕らえるネットの開発」で特許を取得した、台湾のクオ・チェン・シェ氏に授与。しかし、シェ氏の行方は数年前から分かっておらず、司会者は同氏についての情報提供を呼び掛けた。


○航空学賞:「バイアグラに時差ぼけ解消の効果」があることを発見した、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにあるキルメス国立大学の研究者、パトリシア・アゴスティーノ氏とサンティアゴ・プラノ氏に授与。両氏は今年、男性の勃起(ぼっき)不全治療薬「バイアグラ」が時差ぼけの解消に有効だとする研究結果を発表し、話題となった。

[cnn.co.jp / 2007年10月04日]
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200710050006.html

「動かせて痛みなし」新麻酔薬の可能性=ハーバード大学

2007年10月04日 | 創薬
 手術した部分をすぐに動かせて、痛みは感じない――そんな新しいタイプの麻酔薬の開発につながる局所麻酔の方法を、米ハーバード大などのグループが見つけた。4日付英科学誌ネイチャーに発表する。

 現在の局所麻酔は痛みを感じる神経だけでなく、運動神経などすべての神経の働きを抑えてしまう。体を動かしたり温度を感じたりできないのが難点だった。

 グループは、痛みを感じる神経細胞の多くに、唐辛子の主成分「カプサイシン」を受け止めるたんぱく質があることに注目。このたんぱく質にカプサイシンがくっつくと、細胞膜に穴をあけたような構造になる。グループは、この穴を通して細胞に入り込み、神経細胞の興奮を抑えることができる分子を見つけた。

 ラットの足に、カプサイシンとこの分子を注射すると、痛みを感じなくなったが、運動神経は正常で足を動かし続けることができた。

 生理学研究所の富永真琴教授は「臨床応用は今後の課題だが、まったく新しい選択的な局所麻酔薬をつくる可能性を開く成果だ」と話している。

[朝日新聞 / 2007年10月04日]
http://www.asahi.com/science/update/1003/TKY200710030347.html

アルツハイマー病進行の仕組み解明=熊本大学

2007年09月13日 | 創薬
 熊本大薬学部付属創薬研究センターの水島徹教授(39)らの研究グループは10日、アルツハイマー病の原因となるたんぱく質「ベータアミロイド」の生成を促進させる物質を突き止めたと発表した。アルツハイマー病は脳挫傷や脳卒中などで症状が進行することが知られており、水島教授は「脳内の炎症が病気を進行させる仕組みが分かった。今後の新薬開発に役立てたい」としている。

 研究は2005年7月から、小野薬品工業(大阪市)と共同で実施。今回の成果は今月3日、米国生化学会誌の電子版に掲載された。

 水島教授によると、ベータアミロイドの生成を促進するのは、「プロスタグランジンE2」と呼ばれる生理活性物質。炎症の発生を細胞に伝える働きをすることで知られているが、新たに神経細胞の表面にある「受容体」と呼ばれるたんぱく質と結合し活性化することで、脳にベータアミロイドを蓄積させることがわかった。

 受容体はEP1~EP4の四つがあり、マウスを使った実験でEP2とEP4がベータアミロイドの生成を促進することが判明。一方、受容体の働きを止める薬を使うと、ベータアミロイドの生成が抑制されることが確認されたという。

 アルツハイマー病の国内患者は約200万人。炎症などが原因で引き起こされる場合が多いと見られている。アルツハイマー病に詳しい北海道大大学院薬学研究院の鈴木利治教授(51)は「進行のメカニズム解明は大きな成果。治療薬開発へ新たな道が開かれることを期待したい」と話している。

[読売新聞・九州発 / 2007年09月13日]
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07091104.htm

女性ホルモン:「破骨細胞」調節し骨量維持=東京大学

2007年09月07日 | 創薬
 骨を作る細胞に作用していると考えられていた女性ホルモンが、骨を分解する「破骨細胞」の寿命を調節して骨量を維持していることを、東京大などの研究グループが突き止めた。これにより、女性ホルモンの欠乏によって閉経後に骨粗しょう症を発症するメカニズムの一端が明らかになった。新しい治療薬開発にもつながる可能性があり、7日付の米科学雑誌「セル」(電子版)に掲載される。

 健康な人では、骨をつくる骨芽細胞と、骨を分解・吸収する破骨細胞との働きが釣り合い、一定の骨量が保たれる。閉経などにより女性ホルモンが欠乏するとこのバランスが崩れ、骨がすかすかになる骨粗しょう症を引き起こす。しかし、そのメカニズムは分かっていなかった。

 研究グループは、さまざまな細胞に存在し、女性ホルモンに結合する受容体に着目。骨表面の破骨細胞からこの受容体をなくしたマウスを、遺伝子操作によって作った。

 このマウスは足の骨と背骨で骨量の低下がみられ、通常のマウスに比べて破骨細胞の数が増えていることが分かった。

 通常のマウスの破骨細胞に女性ホルモンを投与すると、「アポトーシス」と呼ばれる細胞死を引き起こす遺伝子の働きが活発になり、破骨細胞の細胞死が進んだ。しかし、女性ホルモン受容体を持たないマウスの破骨細胞では、遺伝子の働きに変化はなく、細胞死も進まなかった。

 グループの同大分子細胞生物学研究所の加藤茂明教授は「女性ホルモンは骨を吸収する細胞が長く居座らないようにする働きをしていた。破骨細胞の女性ホルモン受容体を活性化させる物質が見つかれば、新たな治療薬につながるかもしれない」と話している。【下桐実雅子】

[毎日新聞 / 2007年09月07日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070907k0000m040166000c.html

C型肝炎ウイルス:肝細胞の脂肪使い増殖、解明=京都大学

2007年08月27日 | 創薬
 C型肝炎ウイルス(HCV)が細胞内で増えていく仕組みを、下遠野邦忠・京都大名誉教授(現慶応大教授)らのチームが初めて解明した。HCVが持つたんぱく質が、細胞内にある脂肪の塊「脂肪滴」を利用して新たなウイルスを作っていることが分かった。肝臓に脂肪が増えるとHCVも増えるため、下遠野名誉教授は「余分な脂肪滴の蓄積を防ぐ薬剤ができれば、HCVが原因の肝疾患の進行を抑制することが期待できる」と話している。

 HCVに感染すると、高い確率で慢性肝炎や肝硬変などになる。肝臓がんで死亡した人の約8割が感染しているといい、感染すると肝臓に脂肪がたまりやすくなる傾向があることも分かっていた。チームは、培養した肝細胞にHCVを感染させ、ウイルス形成の仕組みを調べた。

 HCVは、自らが持つ10種類のウイルスたんぱく質のうち「コア」と呼ばれるたんぱく質が、水と結合しにくい性質を利用して脂肪滴に近づき、脂肪滴の膜に張り付く。他のウイルスたんぱく質はそこに引き寄せられ、脂肪滴の周辺で新たなウイルスを作っていた。ウイルス形成の足場として、脂肪滴が使われているとみられる。

 成果は肝臓脂肪症の仕組みの解明や、コアが脂肪滴に近付くのを防ぐ薬剤の開発など、HCVの新治療につながるという。研究結果は26日(ロンドン時間)、科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」電子版に掲載された。【中野彩子】

[毎日新聞 / 2007年08月27日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070827k0000m040139000c.html


【C型肝炎ウイルス、細胞油滴表面で増殖 京大研が解明】(朝日新聞)

 国内で約200万人が感染しているといわれ、肝臓がんの大きな原因になっているC型肝炎ウイルスが、肝臓の細胞中にたまった油滴(脂肪滴)の表面で増殖していることを、京都大ウイルス研究所の研究グループが解明した。C型肝炎ウイルスが肝細胞に感染すると脂肪肝になりやすく、増えた油滴表面でウイルスが増殖する悪循環が起こるとみている。英科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」の26日付電子版に発表した。

 研究は、今春まで京都大ウイルス研に在籍していた国立遺伝学研究所の宮成悠介・博士研究員と、下遠野(しもとおの)邦忠・慶応大教授(京大名誉教授)らが中心となった。

 研究グループは、肝がん由来の培養細胞にウイルスを感染させ、ウイルスが細胞のどこで増殖するのかを調べた。その結果、油滴の表面には、ウイルスの核をつくり、発がんに関係するとみられるコアたんぱく質や、ウイルスの遺伝子であるリボ核酸(RNA)、その他の関連たんぱく質があることがわかった。

 藤田保健衛生大の臼田信光教授と協力して電子顕微鏡で観察したところ、油滴の表面で感染力のあるウイルスがどんどんつくられていることが確認できた。コアたんぱく質には、ウイルスをつくるだけでなく、細胞内の脂肪を増やす働きがあることもわかった。

 下遠野教授は「油滴の表面にコアたんぱく質がくっつかないようにしたり、細胞内に脂肪が蓄積するのを阻害したりする新しい薬の開発につながる可能性がある」と話している

[朝日新聞2007年08月27日]
http://www.asahi.com/health/news/OSK200708270024.html

C型肝炎ウイルスは中性脂肪で増殖、京大グループが解明(読売新聞) - goo ニュース

二日酔いの原因物質、排出速める薬販売=エスエス製薬

2007年08月22日 | 創薬
 エスエス製薬は9月3日から、二日酔いやだるさを改善する大衆薬「アルケシクール」を販売する。アルコールを分解する酵素を活性化するほか、二日酔いの原因物質の排出を速める。希望小売価格は、12錠入り599円、72錠入り2100円。

[朝日新聞 / 2007年08月22日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200708220288.html

(写真:エスエス製薬の二日酔い治療薬「アルケシクール」)

持田製薬、肺高血圧薬の治験開始へ

2007年07月15日 | 創薬
 持田製薬は今年度中をめどに、肺動脈の高血圧の治療薬について、人を対象に安全性や有効性を確認する臨床試験(治験)を国内で始める。呼吸困難や疲れ、めまいなどを引き起こし、心不全の恐れもある病気で、現在は外科手術を施したうえで薬を投与している。新薬は皮下注射で薬を投与できるため、在宅や長期の治療が必要な患者の負担を軽減できる。

 治験を始めるのは「リモジュリン」と呼ぶ新薬候補で、2012年の発売を目指す。血管の内側を広げる効き目があり、肺動脈の血圧を下げる。小型ポンプを使って静脈や皮膚の下に薬を持続的に投与して治療をする。(07:00)

[NIKKEI NET / 2007年07月15日]
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070715AT5TA4K0114072007.html

持田製薬 ホームページ
http://www.mochida.co.jp/index.html

ES細胞で新薬安全確認 サルの心筋細胞=リプロセル社

2007年06月14日 | 創薬
 新しい薬が不整脈を起こさないかどうかを調べる開発段階で欠かせない確認試験に、サルの胚性幹細胞(ES細胞)から分化させた心筋細胞を使う事業を始めると、バイオベンチャー企業「リプロセル」(東京都港区)が14日、京都市内で発表した。

 同社によると、新薬候補の化合物が不整脈を起こさないかどうかを調べる試験を製薬会社から請け負い、カニクイザルのES細胞から分化させた心筋細胞に化合物を投与、電気信号を調べる。

 これまでは遺伝子操作でつくった細胞を使っていたが、ES細胞を分化させた心筋細胞は拍動するなど本物に近く、より正確で費用は従来の半額で済むという。

 京都大と共同研究している特定非営利活動法人(NPO法人)「幹細胞創薬研究所」(京都市)が、サルES細胞から心筋細胞を効率的に分化させることに成功。リプロセルは同研究所から技術の使用許可を得た。

[共同通信 / 2007年06月14日]
http://www.47news.jp/CN/200706/CN2007061401000807.html

新薬安全確認にサルの心筋細胞 本物に近く、ES細胞から分化(共同通信) - goo ニュース

株式会社リプロセル ホームページ
http://www.reprocell.com/