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ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

緑内障とアルツハイマー病に共通要因か 研究報告=ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(英国)

2007年08月08日 | 脳、神経
【8月8日 AFP シカゴ/米国 発】アルツハイマー病の原因物質とされるタンパク質が、緑内障の重要な発症原因でもあるとする研究結果が6日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。

 ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(University College London、UCL)の研究チームは、新しい光技術を使って、アルツハイマー患者の脳に「プラーク」と呼ばれる老人斑を形成するタンパク質「ベータアミロイド」が、眼球最内層組織である網膜の神経細胞が死ぬ原因にもなっていることを突き止めたという。

 緑内障は、前兆なしに徐々に視力が失われてゆく目の病気で、患者は世界中で最大6500万人いる。失明の原因は視神経の損傷。外科手術や投薬治療で失明を遅らせたり、失明の進行を止めることは可能だが、症状の改善は不可能。

 かつては眼圧の上昇が視神経損傷の主因と考えられてきたが、眼圧が正常なまま進行する緑内障もあるため、現在では危険因子のひとつに過ぎないと考えられている。

 ラットを使った実験では、死にかけた網膜細胞がベータアミロイドを蓄積していたことが明らかになった。試験管内の網膜細胞にベータアミロイドを加えたところ、細胞死が誘発された。

 研究チームはまた、アルツハイマー患者の脳でベータアミロイドの蓄積を阻止する働きをする開発中の新薬が、緑内障の発症を遅らせることができることを、動物実験で明らかにした。こうした新薬のうち、Bapineuzumabについては、すでに米国とアイルランドでアルツハイマー病患者を対象とした臨床試験が行われている。

 研究チームではまた、緑内障の治療法においては、このほか2種類の新しいアルツハイマー病治療法を併用した方が、より効果があったとしている。(c)AFP

[AFP BB News / 2007年08月08日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2265017/2009244

緑内障発症にも関連か アルツハイマー原因物質(共同通信) - goo ニュース

受動喫煙で認知症リスク増=30年以上で3割アップ、初調査=カリフォルニア大学バークレー校

2007年06月25日 | 脳、神経
 他人のたばこの煙に長年さらされると、認知症のリスクが高まることが、米カリフォルニア大バークレー校のタデウス・ヘイト氏らの調査研究で分かった。受動喫煙と認知症に関する調査は初めてとみられ、先月開かれた米国神経学会で発表された。
 この研究は、認知症でない65歳以上の男女約3600人を対象に、喫煙や心血管疾患の有無などを調査。心血管疾患のない非喫煙者985人(うち受動喫煙者495人)を6年間追跡し、認知症の発症率を調べた。
 この結果、30年以上受動喫煙しているグループは、受動喫煙していないグループと比べ、認知症発症のリスクが約3割高かった。
 脳に血液を供給する頚(けい)動脈に異常がある場合、この傾向がより顕著であることも分かった。30年以上受動喫煙していて頚動脈の異常がある人は、受動喫煙も異常もない人の2.4倍のリスクだった。

[時事ドットコム / 2007年06月25日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007062500019

パーキンソン病治療に光明?臨床試験、症状改善に成功=コーネル大学

2007年06月22日 | 脳、神経
 【ワシントン=増満浩志】体のふるえなどが起きるパーキンソン病患者の脳内で不足する物質を、遺伝子治療によって増やし、症状を改善することに、米コーネル大などの研究チームが成功した。

 臨床試験の初期段階で、対象の患者は12人だけだが、治療から1年たっても効果は持続している。詳細は23日付の英医学誌ランセットに発表する。

 研究チームは、神経の興奮を抑えるGABAという物質が、患者の脳内の視床下核という部分で不足することに着目。GABAの生成を促す酵素「GAD」の遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、視床下核に入れた。注入は、半身の左右どちらかをつかさどる部分だけに行った。

 その結果、注入部位に対応する半身で、症状が12人とも緩和。パーキンソン病の重症度を表す点数が、注入前に比べて1年後には平均27%も下がった。ウイルスが細胞に感染し、GADを作り出しているらしく、副作用は見られない。

 研究チームは今年後半から、患者の数を増やして効果を確かめる第二段階の臨床試験を計画している。

[読売新聞 / 2007年06月22日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070622it03.htm

パーキンソン病治療に光明?米大学で症状改善に成功(読売新聞) - goo ニュース

コレステロールで脳発達、ラット実験=産業技術総合研究所

2007年06月13日 | 脳、神経
 脳の神経細胞に含まれるコレステロールが増えると、神経細胞が発達するとのラットの実験結果を、産業技術総合研究所関西センター(大阪府池田市)の小島正己主任研究員らがまとめ、13日発表した。

 神経細胞を成長させるタンパク質「BDNF」の働きで、神経細胞のコレステロールが増えることも分かった。小島研究員は「コレステロールとの関係が注目されるアルツハイマー病など、脳疾患の治療薬開発につなげたい」と話している。

 小島研究員らは、ラットの脳から神経細胞を取り出し実験。BDNFを加えると、3日後にコレステロールが4割増えた。この神経細胞では、ほかの神経細胞との接合部(シナプス)で神経伝達物質を放出する「シナプス小胞」の数が2・5倍に増え、情報伝達をする物質が増加し、細胞が発達した。(共同通信)

[京都新聞 / 2007年06月13日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007061300123&genre=G1&area=Z10

産総研:プレスリリース
■脳の発達には脳内コレステロール合成が欠かせないことを発見

(ポイント)
脳機能の発達には、神経細胞内におけるコレステロール合成の促進が重要であることを発見した。
コレステロール合成を促進するのは、脳の成長因子(BDNF)である。
コレステロール代謝と脳の成長因子の関係は、脳疾患の治療薬開発に新たな指針を与える可能性がある。
(概要)
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)セルエンジニアリング研究部門【部門長 三宅 淳】小島 正己 主任研究員は、独立行政法人 科学技術振興機構(以下「JST」という)鈴木 辰吾 研究員と産総研 脳神経情報研究部門【部門長 岡本 治正】脳遺伝子研究グループ 清末 和之 主任研究員らとともに、神経細胞内において脳の成長因子によってコレステロール合成が促進される新しいメカニズムを発見した。
 今回の発見は、脳シナプスにおける神経伝達(図1)が発達していくためには、神経細胞内のコレステロール合成が促進されることが重要であり、その促進因子として脳の成長因子(BDNF)が働いていることを見いだしたものである。
 さまざまな脳疾患に共通する機能障害として神経伝達の変調や発達障害があり、コレステロール合成と神経伝達の関係の発見はこれら疾患の治療薬開発に新たな指針を与える可能性がある。
 本研究の成果は、平成19年6月13日(アメリカ東部時間)に、米国の国際雑誌 The Journal of Neuroscience電子版に掲載される。

(図1説明)
 神経細胞の電気的な活動によって「シナプス終末」から放出された神経伝達物質が「シナプス後細胞」に存在する受容体を活性化する。今回、脳の成長因子(BDNF)によるコレステロール合成の促進が、神経伝達物質の放出メカニズムの成熟に重要であることを見出した。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070613_2/pr20070613_2.html

コレステロール、脳に必須 伝達機能高める 実験で確認(朝日新聞) - goo ニュース

ヒトES細胞:大量培養法開発 パーキンソン病などに朗報=理化学研究所

2007年05月28日 | 脳、神経
 あらゆる細胞に分化する能力を持つヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を大量に培養する方法を、理化学研究所・神戸研究所などの研究グループが開発した。この方法で、脳の神経細胞を効率よく作ることにも成功した。パーキンソン病など神経変性疾患の再生医療につながる成果で、27日付の米科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」(電子版)に掲載された。

 未分化のまま増やしたES細胞の塊をバラバラにし、再び未分化の細胞塊に成長させる方法で、マウスの場合は効率よく増やす方法があった。しかし、ヒトの場合はバラバラにする操作を加えると、ほとんどの細胞が死んでしまい、少しずつほぐしながら増やす効率が悪い方法しかなかった。

 研究グループは、特殊な細胞の死だけに関係するたんぱく質「Rho」と結合して活性化される酵素「Rhoキナーゼ(ROCK)」に注目。ROCKの阻害剤を培養液に添加すると、塊をバラバラにしても細胞がほとんど死ななくなり、培養効率が1カ月当たり100倍以上も向上した。

 笹井芳樹・理研グループディレクター(神経発生学)は「ヒトES細胞の大量培養の道を切り開く画期的な技術開発で、パーキンソン病やハンチントン病など大脳の神経変性疾患の再生医療や創薬開発につながる可能性がある」と話している。【河内敏康】

[毎日新聞 / 2007年05月28日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070528k0000m040097000c.html

理化学研究所 プレスリリース
  ヒトES細胞の画期的培養法開発:大量培養や大脳神経細胞産生が可能に
 - 再生医療や創薬開発を加速する新技術の確立 -


(図2の説明:分散したヒトES細胞のROCK阻害剤による劇的な生存促進
ROCK阻害剤(Y-27632またはFasudil; 10 μM)の培養液への添加により、細胞分散による細胞死はほとんど抑制され、多数の細胞コロニー(単一細胞から増殖した細胞塊)が生じる。
1回の植え継ぎで十数倍程度の細胞数に殖やすことが可能。)
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070528/index.html

ヒトES細胞大量培養に成功 従来の100倍以上の効率(朝日新聞) - goo ニュース

認知症の原因のひとつ? 異常たんぱく質の正体解明=東京都精神医学総合研究所

2007年05月27日 | 脳、神経
 人格が変わったり、異常行動をとったりすることが多い認知症の一種、「前頭側頭型認知症」(FTD)の原因とみられる異常たんぱく質の正体を、東京都精神医学総合研究所のグループが突き止めた。30日から東京都内で開かれる日本神経病理学会で発表する。病気のメカニズムの解明や治療法開発につながる可能性がある。

 FTDは、65歳以下の認知症としてはアルツハイマー病に次いで多い。FTDは、脳に、タウというたんぱく質がたまるタイプと、タウ以外のたんぱく質がたまるタイプに分けられるが、タウ以外のたんぱく質の正体は分かっていなかった。

 長谷川成人チームリーダーと新井哲明主任研究員らは、患者の脳に異常にたまっている物質を詳しく調べ、TDP43とよばれるたんぱく質であることを突き止めた。このたんぱく質は、筋肉が次第に動かなくなる筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者の脊髄(せきずい)にもたまっていることを見つけた。米国グループも同じ結論を発表している。

 アルツハイマー病では、アミロイドベータという異常たんぱく質がたまることが突き止められてから、これを標的とする治療法の開発が進んでいる。今回の成果も治療法の開発につながる可能性がある。

 貫名信行・理化学研究所脳科学総合研究センター病因遺伝子研究グループディレクターの話 ALSと認知症の仕組みがどのように関係するのか、新たな研究が発展しそうだ。

[朝日新聞 / 2007年05月27日]
http://www.asahi.com/science/update/0526/TKY200705260211.html

シナプス小胞:神経伝達物質放出する仕組み解明=京都大学

2007年05月14日 | 脳、神経
 京都大大学院の森泰生教授(生物化学)らの研究チームは、記憶情報などの神経伝達物質を取り込んで神経細胞間に伝える「シナプス小胞」が、伝達物質を放出する仕組みを解明したと発表した。神経細胞内にある小胞を、細胞膜付近にとどめるための“綱”や、綱を巻きつけて細胞膜から離れないようにする“杭(くい)”の役割を果たす2種類のたんぱく質が働いていることが分かった。

 森教授は「神経伝達物質の放出量が減少して起きる、アルツハイマー病の症状を改善させる薬剤開発につながる」と話している。成果は13日、英科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」電子版に掲載された。

 運動調節や記憶、感情などの情報は神経伝達物質に組み込まれてシナプス小胞に詰められ、神経網を伝わる。小胞は細胞の端に達すると、表面が細胞の膜と融合して開き伝達物質を放出。細胞間の連結部分・シナプスで次の細胞に中継される。

 チームは、神経伝達物質の放出にかかわることが既に知られているたんぱく質「RIM1」を人為的に10倍以上増やしたラットの培養神経細胞では通常より多く融合が起き、神経伝達物質の放出量が2.5倍になったことを確認。また、“杭”役のたんぱく質とRIM1の結合を人為的に妨げると、小胞と細胞膜の融合は約6割に減少したことから、RIM1が“杭”役のたんぱく質と結合することで、小胞を細胞膜近くにつなぎ留め、融合を導いていることを確かめた。

 RIM1の働きを強める薬剤ができれば、神経伝達物質の放出を安定化させ、アルツハイマー病の症状を改善する効果が期待できるという。【中野彩子】

[毎日新聞 / 2007年05月14日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070514k0000m040142000c.html

脳プロジェクト:川島隆太教授がスタート 約4億円資金に

2007年05月14日 | 脳、神経
 東北大加齢医学研究所は14日、毎日新聞「脳を鍛えたい」で指南役を務める川島隆太教授が産学連携で得た収入を投じ、脳の動きの解明を目指す新プロジェクトをスタートさせたと発表した。まずは06年度に得た約4億4000万円を研究資金に計上している。

 川島教授は任天堂のゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などに研究成果を提供。昨年度得た監修料のうち、大学などの収入を除き、約4割を投入する。世界で3台しかない「2光子顕微鏡」を購入し、6月初旬にも本格的な研究を始める。プロジェクトの資金のほとんどを産学連携による収入で賄うケースはまれといい、川島教授は「(商品を購入した)世の中の人たちとのかかわりによって研究を発展させることができるのは大変な喜び」と話した。

 2光子顕微鏡は、従来の顕微鏡では不可能だった大脳皮質の深い部分の神経活動を観測できるといい、最終的にはヒトの心と脳の動きの関係の解明を目指すという。【青木純】

[毎日新聞 / 2007年05月14日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070515k0000m040079000c.html

大脳皮質形成の仕組み発見=理化学研究所、慶応大学

2007年05月08日 | 脳、神経
【共同通信】
 理化学研究所(埼玉県和光市)や慶応大などの研究チームは8日、記憶や思考など脳の高次の機能をつかさどる大脳皮質を形成するために必要な酵素が働く仕組みをマウスで発見したと発表した。

 この酵素の作用で働くタンパク質が分かれば、記憶や学習を助ける薬の開発などに応用できる可能性があるという。

 理研脳科学総合研究センター研究員だった大島登志男早稲田大教授(分子脳科学)によると、哺乳類の胎児の大脳皮質では、内側で増殖した神経細胞が外側に向かって順に移動。神経細胞自体も当初は未完成な姿だが、移動中に細長く伸びて成熟した姿に近づき、生後、大脳皮質に規則正しい6層構造が形作られる。

[共同通信 47NEWS / 2007年05月08日]
http://www.47news.jp/CN/200705/CN2007050801000873.html

理化学研究所 プレスリリース

正解、不正解は“別処理”サルの脳内分析で判明=理化学研究所

2007年04月23日 | 脳、神経
 自分の選んだ答えが「正解」か「不正解」かを認識する際には、脳内でそれぞれ別の神経細胞が反応していることを、理化学研究所(埼玉県和光市)などの研究グループがサルを使った実験で突き止め、23日、米科学誌ネイチャーニューロサイエンス(電子版)に発表した。

 実験ではまず、サルに「○」のマークを見せてから水を飲ませることを繰り返して、正解のマークとして「○」を覚え込ませた。

 その上で、2本のレバーのうち片方を押した時だけ「○」が見える装置を繰り返し操作させ、その際にサルの頭に細い電極を刺して、大脳の最前部に位置する「前頭前野」と呼ばれる領域の神経細胞の活動を調べた。その結果、正解のレバーを押して「○」が出た時と、ほかのマークが出た時で、反応する細胞群が別であることが分かった。

[共同通信 / 2007年04月23日]
http://www.47news.jp/CN/200704/CN2007042201000719.html


【「やったー」細胞と「しまった」細胞 脳に別々で存在か=理化学研究所】

 脳には自分の行動が正しかったときに働く細胞と、間違ったときに働く細胞が、それぞれ別々に存在しているらしいことを、理化学研究所のグループがサルの実験で見つけた。

将来、効果的な学習法の開発につながるかもしれないという。米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンスで報告した。

 テレビ画面でサルに正解の図形を覚えさせたあと、左右どちらのレバーが正解か当てさせてみた。最初の1回は当てずっぽうでも、そこで表示された図形を見て選択が正しかっ

たか誤っていたかを知って、2回目以降は正しいレバーを押すようになった。

 この間、おでこの内側にあって、行動の柔軟性と関係が深いとされる大脳の前頭前野内側部での神経細胞の活動を記録した。調べた約350個の神経細胞のうち、16個は正

解が表示できたとき活発に活動し、別の32個は不正解だったときに活動していた。

 正解だけに反応する神経細胞は、左右どちらが正解かわかった後にはあまり反応しなくなった。正解がわからない課題を与えることが、脳細胞を活発に働かせるポイントらしい。

 理研脳科学総合研究センターの松元健二研究員は「学習効果を高めるには正解をほめるだけでなく、間違いを指摘することも大切かも知れない」といっている。

[朝日新聞 / 2007年05月07日]
http://www.asahi.com/science/update/0507/TKY200705070084.html


理化学研究所 プレスリリース 2007.04.23
 正解/不正解から学ぶ脳のメカニズムを発見
 - 脳科学の教育への応用に新たな手がかり -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070423/index.html
(リリース本文)
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070423/detail.html

脳の掃除屋:不要物食べる細胞を解明=九州大学、山梨大学

2007年04月05日 | 脳、神経
 「脳内の掃除屋」と呼ばれるミクログリア細胞が働く仕組みを、井上和秀・九州大教授(神経薬理学)と小泉修一・山梨大教授らのグループが動物実験で解明し、5日発行の英科学誌「ネイチャー」に発表した。アルツハイマー病などの治療薬開発につながると期待される。

 ミクログリアは、脳細胞の大半を占める「グリア細胞」の一種で、脳内の免疫をつかさどっている。例えば、アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質「アミロイドベータ」の脳への蓄積をミクログリアが除去することは分かっているが、具体的な仕組みは判明していなかった。

 研究チームは、生きたラットに神経障害を起こす薬を注射し、記憶にかかわる脳の「海馬」という部分を調べた。薬物刺激によって脳神経細胞が死にかけると、細胞内からDNAの材料として使われている「UDP」という物質が流れ出し、ミクログリアが活性化した。ミクログリアが死んだ細胞に近寄って食べる様子も観察できた。このように脳内の不要物を片付けることによって、新しい神経回路網を作りやすくしているとみられる。

 井上教授は「ミクログリアが脳の健康を維持している仕組みが分かった。これを利用してミクログリアの働きを制御する薬ができれば、アルツハイマー病などの治療に貢献できるかもしれない」と話している。【元村有希子】

[毎日新聞 / 2007年04月05日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/news/20070405k0000m040170000c.html

九州大学大学院薬学研究院 医療薬科学部門 薬理学分野 のページ(New!)
http://210.233.60.66/~yakkou/

塩分取り過ぎ 脳に“抑え役”、濃度検知の細胞=基礎生物研究所

2007年04月05日 | 脳、神経
 脳内の情報伝達を担う神経細胞に栄養分を与えるなどの役目を持つ「グリア細胞」が、体液中のナトリウム(塩分)濃度の上昇を検知し、神経細胞を通じて塩分摂取を抑制させるなどの働きを持つことが、自然科学研究機構・基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)の野田昌晴教授らの研究で分かった。高血圧や胃がんの要因といわれる塩分の取り過ぎを抑える新薬開発に役立つ可能性もあるという。4日の米科学誌「ニューロン」(電子版)に掲載された。

 これまでグリア細胞は、神経細胞の支援役と考えられてきたが、今回の研究で、体液中のナトリウム濃度上昇の検知をコントロールしていることが初めて明らかになった。

 野田教授らは、体液中のナトリウム濃度の上がった際に開くセンサーがグリア細胞にあることを発見。濃度上昇は、細胞内のグルコース(糖)代謝を活性化させ、それに伴い作り出された乳酸が、神経細胞に働きかけ、塩の過剰摂取を抑制するように指示するなどの体内信号が出るという。

 野田教授は、「グリア細胞の役割が分かったことで、塩分摂取を抑制する新薬の開発につながる可能性もある」と話している。

[読売新聞 / 2007年04月05日]
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/070405_2.htm

パーキンソン病、ヒトES細胞で改善・大学助手、動物実験成功=聖マリアンナ医科大学

2007年03月14日 | 脳、神経
 聖マリアンナ医科大学の千葉俊明助手は13日、横浜市で開催中の日本再生医療学会でヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使ってパーキンソン病の症状を改善する動物実験に成功したと発表した。人間に応用できれば、進行したパーキンソン病患者の手足のふるえなどを軽減する有望な治療法になる可能性がある。千葉助手が米コロラド州立大学に在籍していた時の研究成果。
 パーキンソン病は、何らかの理由で神経細胞が死滅し、脳のなかの情報伝達物質ドーパミンが不足して発症する。決め手となる治療法はない。

[日本経済新聞 NIKKEI NET / 2007年03月14日]
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2007031401012h1

脳出血による運動障害、ES細胞で回復=聖マリアンナ医科大学

2007年03月11日 | 脳、神経
 聖マリアンナ医科大学の鈴木登教授らの研究チームは、脳出血の後遺症で運動障害が残ったマウスの脳を、サルの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から作った神経細胞の移植によって機能を回復させることに成功した。人間でも同じことができれば、脳梗塞(こうそく)による体のマヒを細胞移植で治療可能になる。
 同医大のほか京都大学の中辻憲夫教授、田辺製薬などが研究に参加。研究チームは脳の運動機能をつかさどる部分に脳出血を起こし、右半身に運動障害があるマウスの脳にサルのES細胞から作製した神経細胞を移植した。


[日本経済新聞 NIKKEI NET / 2007年03月11日]
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2007031006929h1

授乳が排卵抑制するメカニズム解明、ラットで証明=名古屋大学

2007年03月09日 | 脳、神経
 乳児が母親の乳首を吸うことが刺激となって母親の脳に作用し、生殖機能を抑制するというメカニズムを、名古屋大生命農学研究科の束村博子助教授(47)と山田俊児大学院生(28)らのグループが解明した。米国・内分泌学会誌「エンドクリノロジー」(電子版)に論文が掲載された。

 束村助教授らは、子育て中の母親ラットについて、授乳をさせたものと、赤ちゃんラットと引き離したものとで、脳内を比較検討。その結果、授乳しているラットの方が「メタスチン」と呼ばれる神経伝達物質の量が少なく、乳首を吸われるという刺激によって「メタスチン」の合成が抑えられることが分かった。

 メタスチンは、2001年に日本の研究者の手によって、がん転移を抑える物質として発見された。その後の束村助教授らの研究や欧米の研究で、メタスチンが少ないと排卵しにくいことなどが分かり、哺乳(ほにゅう)類の生殖を制御する最も重要な神経伝達物質と考えられるようになっている。

 今回の研究結果は、不妊治療や家畜の繁殖力を増やす薬への応用が期待されるという。束村助教授は「授乳中の母親の生殖機能が抑制されるのは、次の子供を妊娠しないための摂理と思われるが、その脳内メカニズムは不明な点が多かった。今回の研究で、その中核部分を解明できた」と話す。

[中日新聞 / 2007年03月09日]
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070309/mng_____sya_____006.shtml