乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

生前グリーフケア

2009年04月25日 | 緩和ケア
「がん哲学外来の話」を読み返し、思い出したことがあります。

私は末期がんの母を病院で看取ったのですが、彼女が意識混濁で臨終に向かう頃、緩和の先生がやってきて彼女の手をずっと握っていました。で、反対側で手を握る私は長い沈黙を破り、この本のことを話してみました。
その先生もお読みになったとのこと。でも、「特に何も得るものはなかった」とおっしゃり、あら、どうしてですか?などと、先生と話が盛り上がったのです。

その先生も主治医と同様、外科出身で同じがんの専門医ということを私は存じていたので、話が進むうちに、どうしてもお尋ねしたいことが胸の内に湧き上がりました。
それは、抗がん剤治療の順番、時期、投与期間などなど、、、主に治療に関することでした。あの時、あの薬を先に使っていたら、開始時期を早めた方がよかったのではないか、もっと母に我慢をさせて治療を続ければよかったのか・・・。

主治医には絶大な信頼を寄せていたものの、お尋ねできなかった小さな疑問が私の心の中で澱となって淀んでいました。10年近くも同じ先生と付き合っていると、こんなこともあるのです。病院との関係もこれで最後だと思うと、何だか全てを精算したい気分になったのでした。

するとその先生は、このタイプのがんには抗がん剤があまり効かない。乳がんのように薬の効きが良いわけでもないし、治療も確立していない。どの薬をどの順番で使ったとしても、結果は似通っている。薬のエビデンスは、実際はあまり有用ではない。このがんの生存率は個人差が大きく、エビデンス通りの人は稀なのだから、と。
「それよりあなたのお母さんは、どんな人ですか?」

と、質問返しされました^^;
あら、先生、それは「がん哲学外来の話」の著者も必ず聞く質問って書いてありましたよ、キャッキャッ(>▽<)というわけで、また盛り上がってしまいました。

なぜ先生がそんな質問をされたかというと、患者さんがこういう状況になると、「なぜ私がこんな目にあうんだ」と言うこと多い。しかしあなたのお母さんは全く言わない。そこに関心を持ったとのこと。

私はとっても嬉しくなりました。これこそ、私が最大限、努力をしてきたことなのですから。。。

このブログを共同で始めたyukoさんのアドバイスです。
「死を怖がらせないようにすること」。

末期がん患者の心に、希望を持たせることは本当に難しい。

しかし、やり遂げられるのは家族しかいません。Yukoさんのアドバイスに従い、私も相当のエネルギーを費やす数年間を送りました。
その点を専門家に評価されたことは、兄妹や親族に評価されることより、私にとって、ずっとずっとずぅ~っと嬉しいことなのです。

更に先生は、「このがんには抗がん剤の治療より、日々の過ごし方のほうが重要なんですよ。普段、病気のことは考えず、いやなことをかわして過ごす人のほうが、長期生存する印象があります」。

あら、先生、それも本に書いてありましたわよ( ´艸`)と、またまた盛り上がったのでした。

この本の著者は病理医でしたが、この緩和の先生は臨床医。直接がん患者さんと接しているわけで、ケア時の良いところも悪いところも、美しいところもそうでないところも、実際に直面している。話がリアルでシャープなんです。
結局、1時間近くも時間を頂戴してし(^^;)、私の質問の一つ一つを丁寧に答えてくださいました。

うちなる疑問が全て解決したら、、、1週間前から食欲が全くなくなり激やせしていたのですが、何だか急にお腹が空き、昼食に焼肉定食をもりもり食べる始末。私って、結構たくましい性格してるのねなんて、自分に笑っちゃいました。
で、よっしゃーっと拳を握って気合を入れ、再び病室に戻ったのであります。これって生前のグリーフケアかしらん?と思いながら。。。

参考:グリーフケア


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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)