乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

がん哲学外来の話その1

2009年04月17日 | 患者の気持ち
樋野興夫著「がん哲学外来の話」、最近、ようやく読みました。

「がん哲学外来」は、昨年、順天堂大学医学部付属病院に特設された外来で、「医師と患者が対等の立場でがんについて語り合う場」がコンセプトです。

著者は、「深く悩んだことのある人なら分かると思うが、人からどんな慰めの言葉をかけられても、すっきりとはいかない。何かを納得してそこから抜け出すためには、自ら、自発的に、自分の中で組み立てていかなければならない。その時に、“言葉”があると、それを核とし、その周辺に理論を構築していくことができる」という哲学をお持ちです。

よっしぃ先生のブログで、オススメ本として紹介されたので、内容についてはそちらで参照下さい。

で、長年がん患者を介護していたがん患者の私が、読んでおもしろかった部分を紹介しましょう。


【第一話】 「人生いばらの道、にもかかわらず宴会」

 ある男性患者は、夫婦関係について悩んでいた。再発の不安が強く、妻に毎日それを訴える。もちろん妻は心配する。最初は親身になって聞いていたが、次第に苦痛になってくる。ついに、自分も体調がすぐれないと言い訳をし、夫との会話をさけるようになった。


夫ががんと闘っているのにひどい妻だと思われがちだが、妻をそこまで追い詰めてしまったのは夫。最終的には夫婦仲が疎遠になってしまいやすい。こういうケースは多い。
自分ががんになって大変なのと同時に、家族も病人を支えようと奮闘している。その疲れを癒やせるのは、ほかならぬ患者本人の笑顔である。
「頭ではわかっている、でもできない」と、正直に言う患者もいる。まずは「病気であっても人生を楽しむことはできる」と決意させ、意識的にそのように振る舞う努力をさせる。「人生いばらの道、にもかかわらず宴会」と、人生を楽しむことを家族全員で話し合うことを勧める。


病人の不安を聞いてばかりだと、私もすっごーく気持ちが暗くなります。「私だってがんなんだから、もーいーよ」って、ウンザリです。だから、この妻の気持ち、よーくわかるなあ。。。

「あの楽しかった花見に、また一緒に行けるといいねえ」などと、共通の目標とか希望とかを持つのがいいです。ほんの数週間先の具体的で小さな目標がいいんです。


【第二話】  「使命感」次第で寿命は延びたり縮んだりする

 かなり進行した胃がんで大手術した人がいたが、10年以上たっても再発しない。彼の父はがんの専門医、その息子の自分ががんで死ぬわけにはいかん、他の病気ならいい、、、という単純な思いが使命感となった。
 

著者は彼のような例を何人か知っていて、共通するのは使命感といいます。社会的な使命感ではなく、個人的に大事に思っている使命感。
「精神論」ではなくて、使命感が現実の行動に反映されることに力点を置いています。「死なない」の決意が治療に積極性を持たせ、心の柔軟性や弾力を作る。その人のなかでの優先順位が「がん」ではなく、「使命を果たすまで生きる」ことになるのがよいといいます。

もう一点、「忘却力」も重要なポイントです。
がんであることを忘れられなくても、生活の優先順位の下に位置させる。必要な治療は淡々と受け、後の時間は人生を楽しむために使うこと。
エビデンスはないが、長寿のお年寄りを見ても、たいては嫌なことは淡々と行い、あとに引きずらない人は多いといいます。

この話で私が思い出すのは、ある保険会社の、障害児を持つ親の寿命調査です。障害のない子どもを持つ親より、寿命が有意に長かった、、、「この子を残して死ねない」の使命感を感じます。


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なかのひと

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