乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

公僕

2008年07月11日 | 社会
お役所仕事は時間がかかる、、、

抗がん剤治療中、私の母が脚を骨折して入院。医師から渡された治療予定表では、1.5カ月後に退院予定。退院までに介護グッズの用意や家に手すりをつけておかねばならない。だって私はゲロゲロのヘロヘロ、自分のことで精一杯だもん。

治療予定表が出たら速攻、役所に介護申請書を提出したのに、役人が状況調査に来たのは退院して3か月後のことですた。これじゃ、骨折する前に申請しないと間に合わなかったね(`ε´)

骨折程度じゃ、どーでもいーと思ったのかもしれないけど、重度の病気を抱えた人に配慮がないというのは「公僕」のすることじゃありません。
おかだ先生のブログ「転がるイシあたま」で血圧上がっちゃったエントリーを紹介します。これはもう、福祉の仕事をしてるんじゃなくて、イジメです。
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日本の「福祉」の一例

λさんが役所から病院に電話をしてきました。声がとがっています。「おかだ先生、診断書がまた差し戻しです」
 「λさん、切れないでくださいよ」と私。

 λさんは障害者を対象とした行政からの福祉融資を受けようとしていました。「へー、そんな制度があるんだ」と私は初めて知りましたが「診断書は書きますよ」と用紙を持ってきてもらいました。「先生にはこことここに書いてもらえ、と窓口の人が言いました」と差し出された診断用紙には、たしかに鉛筆でいくつかの項目に丸がつけてあります。これくらいだったらすぐ書ける、とさらさらと書いて渡したら……そこからが長かった。

 まずは「マルをつけてない項目が書いてない」と窓口で差し戻しです。「ここを書いてくれ、とチェックしたのは担当のあんた自身じゃなかったのか」と私はぶつぶつ言いながら追記しました。すると次は「障害部位を図解しろ」と差し戻しです。意味がわかりません。図解するって、脳の解剖図を描いて「この視床のところで直径3センチの出血をした」とマルを描いて塗りつぶすの? 解剖図を描いても良いですけど、私、絵は下手ですよ。あるいは全身の絵を描いて麻痺している筋肉を全部図解ですか? それにはスペースがずいぶん小さいのですが。そもそも「図解の目的」がわかりません。そう問い合わせをすると「だったら文字で書いてあってもかまいません」。

……あの〜、診断名と現病歴の所に「脳出血後遺症、出血部位は左視床。症状は右片麻痺(重度)うんぬんかんぬん」と最初から書いてあるのですが。すると「視床なんて聞いたことがないからちゃんとわかるように書いてくれ」と差し戻し。あれれ、国語辞典に載っていることばなんですけどねえ。

 ……はあぁ(ため息)。お役所の窓口の人が知っている単語しか診断書には書いてはいけないんですね。でも、あなたが何を知っていて何を知らないのか、リストを公表しておいてくれないと、書いても書いても「そんなの知らない」と言われて却下をくらい続けてしまいそうなのですが……

 まあ、そこもなんとかクリアしました。λさんが窓口に足を運ぶのはもう何回目でしょうか。するとこんどは「診断書に、直る日を書いてもらえ」。λさんはチョイ切れしました。後から後からちょこちょこちょこちょこイチャモンをつけるのではなくて、なんで最初に全部言わないんだ、と。それと、障害が直る日を書くって、何?と。だって「症状が固定している(=これ以上直らない)」から障害者認定が受けられたのです。そしてこの融資は「障害者であること」が資格の第一条件なのです。「障害があること(状態が固定していること)」と「直る障害であること(状態が固定していないこと)」とを両方満足させなければ融資をしない、というのは、最初から融資なんかする気がない、と取れます。しかも「何月何日に障害が直ります」なんて証明、誰にできます? もしそれが正確にできるのなら私は医者ではなくて易者をやってTVに出て人気者になっています。

 ここで冒頭の電話になるわけです。
 私も切れそうになりましたが、λさんの血圧が上がっては困りますのでまず落ち着いてもらうことに専念。おかげで私も落ち着きましたが、ほとほとあきれ果てました。ほとほとあきれてふたりでとほほ。伝言ゲームではいけませんから、電話を替わってもらって担当の人と話をしましたが、「融資の期間を決定するのに、診療が終了して労働に復帰できる見込みの日付が必要です。それがないと書類が完成しません」とのこと。「つまり、高血圧性脳出血の人の血圧の治療をある日中止すると約束するのなら金を貸してやろう、ということですか? 

治療を中止なんかできるわけないでしょう」「なら、労働に復帰できる日をきちんと決めてください」 ……つまり、お金が稼げるようになること=返済の保証を誰か(この場合は医者)にさせようというわけですか……それも「日」単位で。

 結局すったもんだで、退院後1年は最低外来通院が必要(そのあとはその時点で判断)ということで話が落ち着きそうになったときにまた先方から一言。「それ、11ヶ月になりません?」
 モウワケガワカリマセン。

 ……もしかしたら「それ」を狙っているのかな? 申請者が怒って「もういい! 金なんかいらない!」と帰って行くのを。お生憎様。λさんは「こんなことで自分があきらめると思ったら、大間違いだぞ」とそこで高らかに宣言していました。

 あとでそのほかの書類を見せてもらいましたが、まあ面倒くさいことがたんと書いてあります。診断書だけの問題ではありません。特に私があきれたのは、所得証明の所。昨年の確定申告の書類を添付したらいいじゃないか、と思ったら「それでは駄目だ」と言われた、とのこと。λさんは年の途中で倒れました。というか、きっちり年末や年度末に倒れる人の方が少ないはずです。

……それのどこが問題か?
 問題なのです。λさんは自営業なので倒れてから無収入となりました。すると倒れた翌月から年末まで(というか、今年に入っても)収入ゼロが並びます。なんの不思議もありません。すると「これでは1年分のきちんとした所得の証明にならないから、却下。きちんと“もし倒れなかった場合の昨年1年分の所得”を根拠となる書面をつけて証明しろ」だったそうです。お役人の好きな「きちんと隅から隅まですべてが記入されて形式的に万端整った書類」以外は相手にしてもらえません。

 そうそう、書類の記入はλさんの自筆でなければならない、とも言われたそうです。右利きで右片麻痺の人に大量の書類の自筆記入を求めるとは、イジメですか? たとえば事故で両手が使えなくなって、それでも残った能力で職業訓練を受けてこれからの人生を頑張ろうという人がやってきたら「仕事ができるようになるまでのつなぎ資金を借りたかったら自筆で書類を全部記入しろ」とやっぱり求めるのかしら。

 日本では「福祉」の名前をかぶってはいても、その運用と実態は福祉(の理念)とはまるっきりかけ離れたものが制度に潜り込んで日々大活躍しているようです。きっと法律にも行政命令にもそんな文面は存在しなくて、机上の書類しか見ない大臣もマスコミも窓口で実際に何が起きているかは知らないんでしょうけれどね。

 ……まあ、飛行機に乗ったりして日本あちこちを旅するのに何億円も支出したなんて例もあったそうですから、「福祉」もいろいろなのでしょうが、「それ」に対して厳しくあるべきという話と、「これ」に対する異様な頑なさは別の問題じゃないかしら?
 ……それとも「福祉の理念」というモノは、机上の空論でしたか? 「お上からのお情け」なのだから、それについて下々がごちゃごちゃ言うことはお上に対して不遜の極み、というのがホンネ?
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私の使っている国語辞典(新明解・三省堂)には、

公僕  [権力を行使するのではなく] 国民に奉仕する者としての公務員の称。
    [ただし実情は、理想とは程遠い]

と、ありますた…(゜▽゜;

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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Bu^che de Noe:l” can be read in Japanese only:-)