ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

三月

2018年03月16日 | 季節


      三月は、ふしぎな月です。
      一か月前、雪で閉ざされていた町々に、まばゆい陽光が照り付けるのです。

      よそよそしい枯れ木に、花が咲き、なんと数日通らなかった道端の柳が
      みずみずしい新芽を吹いているのです。
      不愛想に見えた土に、タンポポが開き、シロツメクサの幼い葉が顔を出しています。


         ❀ ❀ ❀

      冬服が目障りになり、
      空の雲に、天使の羽衣を見て、それをまとう乙女を思うのです。
      若い女性たちは、一足先に春の装いになっています。
      自分も、
      季節を先取りして、薄物をまとって歩いていた三月があった。たしかに。


     「桜を見に行きましょう。いつがいい? どこにする?」と、お誘いがありました。
      ほんとに桜が咲くのでしょうか。
      どうして、いっせいに、あんなにたくさんの花が咲くのでしょう。

      もちろん、だれにもそんなことは言いません。

      降り注ぐ陽射しと豊かな雨に、
      ただ頭を下げて、打たれ続けるだけです。

           


      もう、桜のように、花をつけることは出来ない。
      タンポポのように不敵に笑うことは出来ない。
      そんな日々は、過ぎてしまった・・・。

      チェストから、白いスカートを出して、
      ちょっとあててみる。

      まだ、着ることができるかしら。
      もし、スニーカーがあったら、
      白いスニーカーを見つけたら、
      着ることができるかしら。

      桜と、タンポポと、柳の新芽の下を、、堂々と歩くことができるかしら。

      もし・・・。




      

      


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