ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

聖書劇――舞台

2015年04月21日 | 観る



     劇を演じるには、舞台がなくてはなりません。

     舞台は、あるメッセージを表明するために、特別に切り取られた空間とでもいうのでしょうか。
     観客は、そこが表現芸術のための場所であり、そこは、非日常または、異次元の世界であることを
     了解して、それゆえに集まる人々です。
     いえ、非日常と異次元の世界を求める気持ちがある人々がいるところに、
     舞台が成立するのではないでしょうか。

     ローマの円形劇場のような立派な施設から、歌舞伎の発祥場所だと言われる「河原」まで、
     舞台の形は多様です。
     着飾って劇場に行き、優雅にグラスを傾けながら芝居を観る階層だけが演劇を求めたのでなく、
     その日の暮らしがやっとの庶民もまた、
     芝居が好きであった証拠でしょう。

     私たち人間は、胃袋を満たすだけでは満足できないのです。
     胃袋が満たされなくても、それゆえに、
     見えないものを待ち望むことができるのが、人間が犬猫と違うところでしょう。
     そう。
     劇は確かに「見えるもの」なのですが、そこで人が観ているのは、「見えるものではない」
のです。


                  


     ともあれ、
     芝居を演じるには、舞台が必要です。

     舞台は、かならずしも、演壇になっていなくてもよいのです。広場でも、道端でも、
     ひょっとして、駅のプラットフォームだったり、
     電車の中だったり、屋根の上だったり、「大きな栗の木の下」だったりも、ありでしょう。
     ただ、こんにちの日本では、なかなか「どこでも」とはいきません。
     およそ、国のすみずみまで人々が住んでいて、
     「だれのものでもない」場所などありません。

     規制と統制とが行き届いているので、道端も広場も事前の届け出と許可なしには、使用できません。
     およそ囲いのある場所は、使用料もばかになりません。

     これらの制約は、多分、パフォーマンスを志している人たちすべての、頭痛の種かもしれません。


                     ★★


     そんなわけで、学生なら学校の体育館の舞台、社会人なら市民会館の小ホール、
     シニアなら地域の集会所と、プロならぬ人たちは舞台を求めて苦労するのです。

     聖書劇は、さいわい、教会で公演することができます。

     ただ、教会の舞台は、もともと劇上演用に作られているのではありません。
     まれに、とても立派な教会堂を持っている教会があって、舞台の広さも十分で、
     照明や音響もすばらしく、カーテンや緞帳を取り付けられる設備もあったりします。
     しかし、まさに、そんな会堂を持つ教会のほうが少ないのです。
     

     私たち、MCC劇団の場合、ほんとうに小さな演壇を使っています。ときには、
     演壇のまわりや袖にあたる上手下手、
     客席の通路も、芝居の空間と見なされます。役者同士がぶつかりあわないように、
     声だけの演者を使ったり、効果音やピアノの伴奏で、ドラマチックな味付けをします。

     小さな舞台でも、演じる世界は、普遍的なメッセージをもつ「大きな」聖書の世界です。


     もちろん、どのようなところであっても、そこが私たちの「働き場」です。

     それでも、ときおり、思うのです。
     どこか、もっと大きな劇場で、たくさんの観客を前に芝居ができたら、
     10分~30分くらいの長さではなくて、幕間があるような骨格の大きな芝居をかけることができたら・・・。






      
     
           

          
     
     


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2 コメント

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聖書劇 (すみれれもん)
2015-04-22 08:50:37
 ここの所 聖書劇に対する熱い思いが書かれていて
まさこさんが 今とっても夢中になっている事なんだって!
いつも 何かに向かって邁進しているまさこさん 素敵です。 ほんとただの おばさんではありませんね。^^

書くことは まさこさんの真骨頂ですもんね!
応援しています。^^
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熱中症!?のおばさん (さとうまさこ)
2015-04-22 11:07:13
ご理解くださってありがとうございます。
すみれれもんさんこそ、新たなステージに入られたのではありませんか。粘土も6年を過ぎて楽しそう。
私の強みはただ、馬鹿みたいに続けられることだけです。
このように励ましがいただけるのがうれしいのかもしれません。
いつか、劇を見に来てくださいね。
 
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