猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

パッション(フランス・ドイツ映画)

2022-10-10 21:56:13 | 日記
2012年のフランス・ドイツ合作映画「パッション」。

自らの地位を広告会社の重役まで押し上げた、野心的な女性クリスティーン
(レイチェル・マクアダムス)。アシスタントのイザベル(ノオミ・ラパス)は、
そんなクリスティーンに憧れを抱いていた。しかし、狡猾なクリスティーン
にアイデアを横取りされ、大勢の同僚たちの前で侮辱され、恋人にも裏切ら
れてしまったイザベルは、クリスティーンに対して殺意を抱くようになる。

ブライアン・デ・パルマ監督によるサスペンス・ミステリー。ベルリンの広
告会社で働くイザベルは、美人で有能な上司のクリスティーンを羨望のまな
ざしで見ていた。2人は仲が良かったが、ある日クリスティーンがイザベル
の手柄を横取りし、イザベルはショックを受ける。更に恋人にも裏切られ、
同僚たちの前で恥をかかされたことから、イザベルはクリスティーンに殺意
を抱くようになる。女性社員が女性の上司からアイデアを横取りされるのっ
て昔の映画「ワーキング・ガール」でもあったが、あちらはコミカルな感じ
だったのに比べて、本作はドロドロしていてスリリングだ。
イザベルがクリスティーンに手柄を横取りされたことは社内でも噂になり、
皆イザベルに同情するが、重役であるクリスティーンに対して何も言えない。
イザベルは安定剤に依存するようになり、体調不良であることが多くなる。
そしてある夜クリスティーンが絞殺され、現場に残っていたスカーフの切れ
端がイザベルのスカーフと同じものであると思われ、イザベルは事情聴取を
受ける。イザベルは「薬を飲んでいたのでボーッとしてよく覚えていないが、
自分が殺したと思う」と自供する。しかし弁護士が来てからは無実を主張し
始め、アリバイについて必死になって話す。
イザベルの元恋人も捜査線上に浮かび、警察はイザベルか元恋人が犯人であ
ると目星を付ける。これがなかなかわからない。元恋人の方はそんなに怪し
く見えないのだが、イザベルは本当にわからない。イザベルが殺したのか?
そしてある第3者の存在。私はその人が犯人なのではないかと思ったが、終
盤のどんでん返しにびっくりさせられる。この辺りはデ・パルマらしい展開
である。終わり方も「殺しのドレス」を思い出す。イザベルがバレエを観劇
しているシーンの画面分割もデ・パルマっぽくていい。
イザベル役のノオミ・ラパスってよく名前を聞くが、ちゃんと見たのは初め
て。あまりきれいな人ではない。クリスティーン役のレイチェル・マクアダ
ムスは美しかった(嫌な女の役だけど)。おもしろかった。


良かったらこちらもどうぞ。ブライアン・デ・パルマ監督作品です。
殺しのドレス
愛のメモリー
悪魔のシスター
レイジング・ケイン



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危険な愛

2022-10-05 22:11:25 | 日記
1973年のオランダ映画「危険な愛」。

彫刻家の青年エリック(ルトガー・ハウアー)は、ヒッチハイクで知り合った
若い女性オルハ(モニク・ヴァン・デ・ヴェン)と恋に落ちる。やがて2人は
オルハの母親の猛反対を押し切って結婚し、幸せな日々を送り始める。しか
し、良き理解者だったオルハの父親の死をきっかけに2人の結婚生活は破綻
していく。

ポール・ヴァーホーヴェン監督のオランダ時代の作品で、ルトガー・ハウア
ーの映画デビュー作。オランダで大ヒットしたそうだ。といっても万人受け
する映画ではないのは確か。グロテスク、エロティック、汚い、下品のオン
パレード。悪趣味とも言える作品なのだが、不思議とおもしろく観られる。
彫刻家で奔放な青年エリックはヒッチハイクをしていて、オルハという女性
の車に乗せてもらう。意気投合する2人だが、オルハは事故を起こしてしま
い、大ケガをする。その後回復したオルハとエリックは結婚を希望するが、
オルハが未成年であることから彼女の母親に大反対される。しかし父親が味
方になってくれて結婚にこぎつける。
冒頭のシーンは何だったのだろう。エリックの妄想だったのか、現実だった
のか。そしてとにかくヌードシーンが多い(もちろんR18指定である)。もう
裸、裸、裸。グロテスクで汚いシーンも多く、1歩間違えれば変態映画にな
るかもしれない。それでもやっぱり純愛映画なのだろうと思う。エリックも
奔放だがオルハもかなり奔放で、彼らは正気の沙汰ではないような行動をよ
くとっている。それでも幸せに暮らしているのだから、心に通じ合うものが
あるのだろう。しかしそんな生活も長くは続かず、オルハの父親が危篤だと
いう連絡があり、2人は駆けつけるが父親は息を引き取ってしまう。
オルハは父の死をきっかけに実家に帰ってしまうのだが、これがよくわから
なかった。ショックすぎたのか、あるいは母を1人にしておけないと思った
のか。そしてエリックとオルハの関係は壊れていってしまう。やがてオルハ
は金持ちのアメリカ人と交際を始め、結婚してアメリカに行くと言い出す。
オルハを失ったエリックの悲しみの表情が何ともいえない。エリックはいわ
ゆる「変な人」だが、オルハへの愛は本物だったのだろう。海辺でケガをし
たカモメを連れて帰り、手当をしてから海に帰すシーンのエリックの淋しそ
うな表情がとてもいい。
多分数年経っているのだろうが、エリックとオルハは再会し、オルハがコー
ヒーを飲もうと言うので喫茶店に入るが、エリックはオルハの様子がおかし
いことに気づく。途中までの変態映画っぽさと打って変わって、終盤はとて
も切ない展開になる。やっぱり彼らの愛は本物だったのだろう。でもラスト
シーンはとてもあっけなく、悲しかった。ルトガー・ハウアーという人はす
ごく印象に残る俳優だと思う。


良かったらこちらもどうぞ。ポール・ヴァーホーヴェン監督作品です。
ELLE エル



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