猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

運命の女

2020-10-06 22:16:28 | 日記
2002年のアメリカ映画「運命の女」。

専業主婦のコニー(ダイアン・レイン)は会社を経営する夫エドワード(リチャード・
ギア)と9歳の息子チャーリー(エリック・パー・サリヴァン)と平穏な日々を過ごし
ていた。ある日、チャーリーの誕生日プレゼントを買いに出かけたコニーは、フラ
ンス人の青年ポール(オリヴィエ・マルティネス)とぶつかってしまう。その時彼女
は膝をケガしてしまい、彼は不注意を詫びて、自分のアパートで彼女のケガの手当
てをする。以来、何度か彼を訪ねることになったコニーは、やがて越えてはならな
い一線を越えてしまう。

エイドリアン・ライン監督の不倫映画。主婦のコニーは夫エドワードと息子チャー
リーと平凡だが幸せな日々を過ごしていた。ある日コニーはチャーリーの誕生日プ
レゼントを買いに街へ出かけた。帰りがけにまっすぐ歩けない程の強風が吹いてお
り、タクシーはなかなか捕まらなかった。そして大量の本を抱えた青年とぶつかっ
てしまう。その青年はポールというフランス人でブック・ディーラーをしていた。
ポールは膝をケガしたコニーの手当てをするため彼女を自分のアパートに招き入れ
る。彼女が帰る際、ポールは1冊の本を渡し、その本の中にはポールの名刺が挟ん
であった。
もうこの時点でダメだなーと思う。コニーは後日ポールに電話をかけてしまう。い
や電話しちゃダメでしょ。もうここでお互いに下心があるのが見てとれる。コニー
は何度かポールの家を訪れ、それでも自分は既婚者だからと気持ちを抑えていたが、
ポールはとても魅力的な男。とうとう関係を持ってしまう。それからのコニーはポ
ールとの情事に溺れてしまうようになる。やがてエドワードは妻の様子がおかしい
と疑念を抱き始める。
バカだなあ、コニー。あんなに心から愛してくれる優しい夫がいるのに。平穏で幸
せな生活だっただけについ刺激を求めてしまったのだろうか。コニーはポールと一
緒に眠ってしまい、チャーリーの学校のお迎えの時間に遅れたりするようになって
しまう。チャーリーは教師と一緒にずっと待っていた。こうなるともう本当にダメ。
不倫もルールというか節度を守らなくては。コニーは街でポールが女性と一緒にい
るのを見て、怒ってポールの家へ行き問いただす。ポールは友人だと言うが、いや
いやコニーあなた既婚者でしょ。
ダイアン・レインがきれいでセクシー。ダイアン・レインもリチャード・ギアも演
技がうまいので、揺れ動く心情が繊細に描写されていて良かった。後半はまさかあ
んな展開になるとは…ひたすらエドワードが気の毒。同じエイドリアン・ライン監
督の「危険な情事」ほど怖くはないが、結構サスペンスフルである。ラストは後味
は悪い。あの時強風が吹いていなかったら。あの時タクシーがすぐ捕まっていたら。
これも運命なのだろうか。不倫は程々に、という映画。




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23年の沈黙

2020-10-01 22:37:28 | 日記
2010年のドイツ映画「23年の沈黙」。

とある田舎町で13歳の少女が失踪し、麦畑で自転車だけが見つかった。その場所
では23年前の同じ日にも、自転車に乗った11歳の少女が強姦・殺害されており、
犯人は未だ謎のままだった。当時事件を担当していた元刑事クリシャン(ブルク
ハルト・クラウスナー)は、同一人物による犯行だと考えて捜査に乗り出す。一方、
23年前に少女の殺害現場に居合わせながら何もすることのできなかったティモ(
ヴォータン・ヴィルケ・メーリング)は、逃げるように町を離れて名前を変え、現
在は幸せな家庭を築いていた。今回の事件を知り衝撃を受けた彼は、吸い寄せら
れるように町に舞い戻る。

サスペンス・ミステリー映画だが、最初から犯人はわかっているので、23年前の
事件や今回の事件に関わった加害者や刑事たちや被害者遺族たちの心情を描いた
群像劇というか人間ドラマみたいな感じ。建築関係の仕事をし、妻と子供たちと
幸せに暮らしているティモは、実は23年前の少女殺人事件に関わっていた。友人
ペア(ウルリク・トムセン)が少女を強姦、殺害するのを側で見ていながら止めら
れなかったのだ。彼らは小児性愛の性癖でつながっていた。事件は未解決だった
が、罪の意識に苛まれたティモは町を離れ、名前を変えて生活していた。そこへ
23年前と同様の事件が起き、ティモはショックを受ける。
冒頭の11歳の少女の暴行シーンがとても生々しく、胸が悪くなる。いろんな犯罪
があるけれど、子供に対する暴行というのは1番悪質で許し難い気がする。元刑
事クリシャンは23年前の被害者の母親の元を訪ねるが、彼女の中では当たり前だ
がまだ事件は終わっていない。娘の部屋はそのままだ。気丈に見える母親の深い
悲しみが伝わってくる。そして今回行方不明になった少女の両親も半狂乱になっ
ていた。生きているのかもわからない。娘からの留守番電話が最後になってしま
ったのはとても痛ましい。
クリシャンは事件の背景を「犯人の孤独」だと推測する。犯行は何らかのメッセ
ージであると。実際それはペアからティモへのメッセージだった。でも何故23年
後に同様の殺人を犯してまでペアがティモに会いたかったのかよくわからなかっ
た。そこまで孤独だったのか。家庭を持っているティモと違ってペアはずっと1
人暮らしで、部屋にはたくさんのロリコンDVDなどがある。主犯のペアが罪に向
き合っておらず、共犯(傍観者)のティモがずっと罪の意識を抱えて生きてきたと
いう対比は興味深いものがあった。
ラストは賛否分かれるところだろう。もやっとする人も多いと思う。映画を観て
いる側だけが真相を知っているのだ。そしてどこの国にもあるのだなあと思った
のが、警察の無能さ。せっかく若い刑事が一生懸命推理し、真実に辿り着きかけ
たのに、「23年も前の子供の証言なんかあてになるか」と一蹴してしまう上司。
事件を終わらせてしまいたくて仕方ないのだ。何とも言い難い悲しいラストだが、
私はとてもおもしろかった。DVDのパッケージの写真が印象的だ。




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