猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

梟-フクロウ-

2024-02-27 22:14:13 | 日記
2022年の韓国映画「梟-フクロウ-」を観に行った。

盲目の天才鍼医チョン・ギョンス(リュ・ジュンヨル)は、病気の弟
のために、ある秘密を抱えながら宮廷で働いていた。ある夜、ソヒ
ョン世子(セジャ/キム・ソンチョル)が目や鼻や口から血を流して
亡くなる。偶然にも王子の奇怪な死の現場に居合わせてしまったギ
ョンスは、国王・仁祖(インジョ/ユ・へジン)から「何を見た?」
と迫られるも答えることができない。追われる身となってしまった
彼は、謎めいた死の真相を暴くため暗闇を奔走する。

朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」に記された王子の怪死という史
実を基にしたサスペンス。1645年6月27日の朝鮮王朝実録に、清
に人質になっていたソヒョン世子が帰国後間もなく病気にかかり、
命を落とした。彼の全身は黒く変色し、目や耳、鼻や口から血を流
した。側近たちは彼の顔の変色の原因を特定できなかったが、彼は
薬物中毒によって亡くなったかのように見えた、と記録されている
らしい。
盲目の鍼医のギョンスはその優れた腕を買われて宮廷で働いていた。
割と早い段階で「この人、実は目が見える?」と思うシーンがある
のだが、その描き方がとてもいい。ギョンスは長い間清に人質にな
っている間に体調を崩したソヒョン世子に鍼を打つことになるが、
その時に暗闇だとかすかに目が見えるということを知られてしまう。
昼間(明るいところ)は目が見えないが、夜(暗いところ)だとかすか
に見える、「昼盲症」という病気を私は初めて知った。「夜盲症
(鳥目)」は有名だが。
王子に目が見えるのかと聞かれ、昼盲症のことを正直に話したギョ
ンスは王子の信頼を得る。ギョンスが暗闇で弟に書いた誤字だらけ
の手紙を見つけた王子は、ギョンスに拡大鏡を渡す。ギョンスと王
子の信頼と友情がよく表現されていて、このシーンもいい。しかし
その後王子は急死し、ギョンスがそれを発見することになる。宮廷
の医者たちは王子は感染症で亡くなったと推測するが、ギョンスは
あるものを"見ていた"。
サスペンスフルで緊張感が途切れない。とてもおもしろかった。盲
目の鍼医が何を見たのか、ということがポイントになっていて、予
測がつかない。国王・仁祖と王子は政治を巡って意見が対立してい
た。国王は保守的だが、王子は清と友好関係を築いて新たな文化を
取り入れるべきだと考えていた。王子の死後、国王の不安が狂気へ
と変わっていく様子は見ていてドキドキする。私は朝鮮でも中国で
もヨーロッパでも宮廷を舞台にした物語は好きなので、一気に観ら
れた感じ。ソヒョン世子の死の謎は未だに解明されていない。


寒がりノエル






コメント (2)
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