猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

枯れ葉

2023-12-25 22:23:10 | 日記
2023年のフィンランド・ドイツ合作映画「枯れ葉」を観に行った。

フィンランドの首都ヘルシンキ。大型スーパーで働くアンサ(アルマ
・ポウスティ)は理不尽な理由で解雇されてしまう。一方、ホラッパ
(ユッシ・ヴァタネン)は酒に溺れながらも工事現場で働いている。ア
ンサとホラッパはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま
惹かれ合う。しかし不運な偶然と過酷な現実が、2人をささやかな幸
福から遠ざけてしまう。

アキ・カウリスマキ監督の最新作。カウリスマキは6年前の前作の時
に、監督引退宣言をして世界中のファンを悲嘆に暮れさせていたらし
い。これは私は知らなかった。ところが前言を撤回し、6年ぶりに突
然新作を発表。いかにもカウリスマキらしい人間ドラマでありラブス
トーリーである。
大型スーパーで働くアンサは、賞味期限切れの食品を持ち帰ったこと
を警備員に密告され、事前通告なしにスーパーをクビになる。同僚で
友人のリーサ(ヌップ・コイヴ)は上司の理不尽な言い分に憤慨し、揃
って仕事を辞める。警備員は以前からアンサが度々賞味期限切れの食
品を持ち帰っているらしいと目をつけていたのだ。でもフィンランド
ってこんなに簡単に従業員をクビにするのだろうか。失業率も多そう
だ(よく知らないけど)。
アンサは職業安定所ですぐに次の仕事を見つける。そのパブに、以前
カラオケバーで出会っていたホラッパが酒を飲みに来て、2人は再会
する。それはアンサの初給料日だったが、オーナーが麻薬の密売で警
察に逮捕され、アンサはまたも仕事を失ってしまう。2人はコーヒー
を飲みに行き、映画を観に行く。それはゾンビ映画だったが、初デー
トでゾンビ映画ってすごいセンスだな、と思った。別にいいけど。ア
ンサは電話番号を書いた紙をホラッパに渡し、「名前は今度教える」
と言った。しかしホラッパはそのメモを失くしてしまい、落胆する。
彼女を捜そうにも名前すらわからず、気のいい友人のフオタリ(ヤン
ネ・ヒューティアイネン)に悲しみを打ち明ける。
更にホラッパは勤務中の飲酒がバレて、今度は彼がクビになってしま
う。アンサは電話がかかってこないことを悲しんでいた。街をさまよ
い、お互いを捜すアンサとホラッパ。ようやく映画館の前で再会し、
アンサは彼を自宅でのディナーに誘う。このディナーのシーンもとて
もカウリスマキ的なのだが、フィンランドの人は本当にいつもあんな
に質素な食事をしているのだろうか。どの映画を観ても食事が質素だ。
そしてアンサはホラッパが来る前にスーパーでお皿とフォークとナイ
フを買う。それは彼女がそれらを1人分しか持っていないということ
で、彼女の孤独な生活を表している。
ディナーの時、自分で持ってきた酒を飲むホラッパに、アンサは「父
も兄もお酒で死んだの。アル中はご免よ」と言うが、ホラッパは「俺
は指図がご免だ」と言って帰ってしまう。アンサはそのことをリーサ
に愚痴り、ホラッパはフオタリに愚痴る。しかしホラッパにとってア
ンサを想う気持ちが彼を変えつつあった。そして彼は酒を断つことを
決心するが、またも2人に不幸が訪れてしまう。
セリフの少なさ、登場人物の表情の乏しさは相変わらずカウリスマキ
流である。そして彼はいつも社会の片隅でささやかに生きる労働者や
失業者を温かい目で描いている。そしてよく名脇役として犬が登場す
る。それがカウリスマキ映画である。本作も温かい気持ちになる物語
だった。


良かったらこちらもどうぞ。アキ・カウリスマキ監督作品です(たく
さんあるので特に好きな作品を載せます)。
マッチ工場の少女
浮き雲
過去のない男
街のあかり
ル・アーヴルの靴みがき
希望のかなた


クリスマスはケンタッキーを食べました。他にも(笑)

コメント (2)
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