猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

検察側の罪人

2023-05-09 21:50:05 | 日記
2018年の日本映画「検察側の罪人」。

東京地方検察庁刑事部に配属された検事の沖野啓一郎(二宮和也)は、
有能で人望もある憧れのエリート検事・最上毅(木村拓哉)と同じ部署
になり、懸命に仕事に取り組んでいた。ある時、最上と沖野は都内で
発生した犯人不明の殺人事件を担当することになった。やがて、過去
に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の容疑者だった松倉(酒向芳)
という男の存在が浮上し、最上は松倉を執拗に追い詰めていく。最上
を師と仰ぐ沖野も取り調べに力を入れるが、松倉は否認を続け、手ご
たえがない。沖野は次第に、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとし
ているのではないかと、疑問を抱き始める。

雫井脩介氏の小説を原田眞人監督が映画化した社会派ミステリー。新
米検事の沖野は研修時にエリート検事の最上の講義を聞いてとても感
銘を受ける。それから5年、沖野は東京地方検察庁刑事部に配属され、
最上と同じ部署になる。ある日最上と沖野は老夫婦殺害事件の担当と
なった。夫婦は工場を経営している他に、個人で金貸しをしていた。
借用書のリストから数名の容疑者が浮上するが、その中から最上は松
倉という男を最も怪しいとにらむ。しかし松倉は容疑を認めず、なか
なか逮捕することができなかった。
最上は松倉を犯人と決めつけ、捜査を続けた。そして23年前の松倉
が少年の頃に犯した事件の資料を取り寄せる。松倉は少年の頃、自分
の兄と女子高生の2人を殺害した容疑がかかっていたにも関わらず、
逮捕できないままうやむやになっていたのだった。そして今度は老夫
婦殺害の容疑。最上は今度こそ逮捕する、有罪にするという気持ちを
強くした。最上と沖野の取り調べに追い込まれ、松倉はとうとう少年
の頃に兄と女子高生を殺害したことを認める。しかし、老夫婦に関し
ては自供もせず証拠もないままだった。
そんな頃、最上の大学時代の親友で政治家の丹野(平岳大)が自殺した
とニュースで知り、最上はショックを受ける。2人はいつも正義につ
いて話していたので、松倉が人を2人も殺しているにも関わらず、少
年法や時効によって裁かれず、知られることもないことに最上は強い
憤りを感じる。その後証拠が発見され、松倉は老夫婦殺害事件で逮捕
されるが、沖野と事務官の橘沙穂(吉高由里子)は不審なものを感じる。
彼らは松倉は冤罪なのでは?と思い始める。
悲しい物語というか、やり切れない思いになる映画だった。最上と沖
野の行動や考え方を見ていると、正義とは何なのか、そして正義は正
しいのか、ということを考えさせられる。最上が絶対に松倉を有罪に
しようという思いは、もちろん正義から来るものであるが、実は私怨
でもあるのだ。最上が何が何でも松倉を犯人にしようとしているので
はないかという行動に、沖野と橘は執念のようなものを感じ、最上に
対して疑惑を抱く。それはもちろん沖野と橘にとっての正義だ。殺人
事件の被害者遺族にとって苦しみ、憎しみはずっと続くのだというこ
とを改めて感じた(最上は遺族ではないが)。ラストシーンは、沖野は
これからどういう道を進んでいくのだろうかと思った。




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コメント (2)
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