猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

私が、生きる肌

2017-04-21 11:20:58 | 日記
2011年のスペイン映画「私が、生きる肌」。
世界的な形成外科医ロベル・レガル(アントニオ・バンデラス)が暮らす豪邸の一室に、
ベラと名乗る美しい女性(エレナ・アナヤ)が、レガル家で古くから働く初老の家政婦
マリリア(マリサ・パレデス)の監視の下、軟禁されている。ベラはロベルの妻ガルに
瓜二つであるが、実はガルは12年前に交通事故で全身火傷を負い、自分の姿に悲観し
て自殺していた。その後、ロベルは妻を救えたかもしれない「完璧な肌」を作り出す
ことに執念を燃やし、自らの開発した人工皮膚を使って、ベラを実験台にして彼女を
亡き妻の姿に作り変えていたのだ。

なに映画だろう、これ。ジャンル分けが難しいが、おもしろかった。形成外科医ロベ
ルの家の一室に軟禁されている美女。部屋は広く、待遇は悪くない。家政婦のマリリ
アが食事を運んでくる。ロベルの妻は交通事故で全身火傷を負い、命は助かったもの
の自分の姿に悲観して投身自殺をした。夫婦の間には娘がいたが、娘は母親が自殺す
るのを目撃して以来情緒不安定になっていた。そしてあることが原因で発狂してしま
い、娘もまた投身自殺をしてしまう。妻と娘を失ったロベルの悲しみと怒りは、彼を
異常な行動に駆り立てていく。
レガル家にはまだ他に秘密があって、これがなかなかややこしい。一連の不幸の原因
は家政婦のマリリアの出来の悪い息子にあった。こいつがいなければ、ロベルの妻は
死なずに済んだのだ。そしてまたその息子がマリリアの元にやってきた。そこで更な
る事件が起きてしまう。マリリアと息子に関する秘密も意外なものだった。
ロベルの娘もちょっと…病みすぎではないかと思った。子供の時に母親が自殺するの
を目撃して、それ以来情緒不安定になっているのはわかるが、あそこまで発狂しなく
ても、と思う。最後は父親の顔さえわからなくなってしまうのだ。そして自らも母親
と同じように投身自殺をしてしまう。この物語で1番気の毒なのは誰だろう。妻と娘
を失ったロベルか。ロベルの実験台にされたベラか。ベラの正体がわかるシーンは、
驚愕に値する。腕のいい形成外科医の狂気の物語である。



良かったらこちらもどうぞ。同じペドロ・アルモドバル監督作品です。
ボルベール<帰郷>




全般ランキング

人気ブログランキング

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする