ういーくえんど・なちゅらりすと

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崖の住人

2023-03-02 09:03:56 | その他の昆虫
肌寒い週末。
北風に追われるように薄暗い穴に潜った。
古い防空壕の跡。
大戦中、各地に掘られた穴は、もうほとんどが埋められたりしているのだろうが、ここ三浦半島にはまだまだ人知れず残されている場所もある。
もちろん、崩落の危険がついてまわるし、立ち入るのは絶対にお勧めしない。
ただ、そんな場所で期待してしまう昆虫も、またいるのだ・・・

足元の岩を動かしながら探しては見たものの、やはりというかヒットはなし。
まあ仕方ないか。
お約束の気色の悪いマダラカマドウマの幼虫を撮影するだけで良しとしよう・・・



ちなみにこの場所は単なる掘り抜きなのだが、石灰分がしみ出して、鍾乳石のような状況となっている。
この場所は砂岩だから、地層に含まれる貝化石がこの疑似鍾乳石の起源だろうか。



三浦半島北部には多い古い石切場の跡。
地衣類が繁茂するこんな崖にはお馴染みのコマダラウスバカゲロウ幼虫。




寒い季節だからきっとみんな獲物もなく縮んでいるのかと思いきや、けっこう立派な個体も。
非効率的な捕食行動に思えても、ちゃんと成長できているんだなぁ、と妙に納得。

極寒の週末

2023-01-30 16:00:58 | その他の昆虫
一月の週末というのは仕事柄、けっこう忙しい。
ひたすら精神が消耗する入試というやつが待っているからだ。
ようやくそれらを乗り越え、休みがやってきたと思えば極寒。
それでも日だまりは少しだけ、暖かい。

ナナホシテントウは真冬でも活動してくれるありがたい虫。
どこまでも見つけやすいし。


ちょいと驚いたのはコガタルリハムシ。
いや、成虫越冬なのは知っていたが、まさかこの気温の中、活動しているとは。



そう思っていたらツチイナゴも飛び出した。


どれも暖かくなれば見向きもしないとは言わないが、かなり無視してしまう奴ら。

翌日は川へ向かった。
今、川の水量はほぼ最低に近い。
そうなるといくら流水でも水温はかなり低くなる。
そのため、感覚的にはヤゴも捕れにくくなる・・・ような気がする。
それでも何故向かうのかって?
やっぱりそういうシーズンなのだから・・・

3時間、粘った。
捕獲できたのは4個体。やれやれ・・・
このアサヒナカワトンボは、ミズカビもついてあまり元気がない。
羽化までいくといいのだが。


ダビドサナエが2つ見られたのはまあまあ良かったのだが・・・あとは極小のハグロトンボだけ。


あまり水質の良くない場所であったことを差し引いても、効率が悪すぎる。
次はもう少し水ぬるむ季節にするかなぁ。
凍り付いた岸辺でさすがに悩んだ。

ミノムシに寄生するハチ

2021-06-04 11:08:55 | その他の昆虫
勤務時間の関係でぽっかりと突然出来た5月終わりの平日の休み。
遠出するご時世でもない。
どうしたものかな・・・
結論は、普段行かない近くに行ってみよう、だった。

自宅からそれほど遠くない公園。
いろいろとおもしろい虫の記録がある場所ではあるが、なかなか足が向かない場所でもあったりする。
すこしだけ咲き残りを期待していたシロバナハンショウヅルは全部実になっていた。そりゃあそうか、今年の春は早かったもんなぁ。

小さな水辺にたどり着くと、これがびっくりするくらいに静か。
何もいない。
まあ時間も早いし、日が当たりはじめたばかりみたいだから仕方がないか。
一周してからまた最後にくればいいとして・・・なんかないかな?
水辺に出ると羽化殻を探す、トンボ屋の習性。

早速目に入ったのは緑の草に茶色い塊。
・・・何だミノムシか。
でもよく見ればこのミノ、地衣類なんかで出来ている。
どうやら水辺の出身ではないようだ。
落っこちてくるような木もないし・・・こいつ、歩いてきたのか?
そんなことを考えつつも、他へ視線を向けようとしたとき、まとわりつくように飛ぶ蜂がいることに気がついた。


なかなかきれいなヒメバチの仲間かな?
これはもしや・・・
しばらく眺めていると、ハチは徐々にその距離をつめ、触角で触りはじめた。


やがてミノに取り付いて、入口を確認するように触角で触れ・・・



おもむろに産卵管をさし込んだ。
その後少しの間、体勢を変えたり動いていたが、やがて飛び去っていった。



やはりこのミノから次に出てくるのはハチなのかな?
オオミノガが中国で大量放逐され日本まで飛来したオオミノガヤドリバエによって激減したことは知っていたが、こんな大きなヒメバチもミノムシに寄生する奴がいるとは。

調べてみるとキオビフシダカヒメバチというのがひっかかった。
行動からしてミノムシの寄生蜂だし、模様もよく似ていて間違いなかろう。
そして・・・三浦半島では記録がない?・・・どころか神奈川では記録がない?・・・ようだ。
こんなもの、採集してないと報告なんか無理だし、あのミノムシももう見つからないだろうしなぁ。
次の機会、なんてないだろうなぁ・・・

強風から逃げて、からの大物

2020-07-13 11:31:53 | その他の昆虫
このところ、神奈川南部はずっと南風が吹いていた。
こんなときは・・・そうだ、海へ行こう!

え、意味が分からないって?
そうだよなぁ。
南風が吹き続けると、普段は外洋にいる生きものが打ち寄せられることがある。
有名なところではカツオノエボシ。
強力な毒を持ついやなクラゲだ。
もちろん、狙いはクラゲではない。
外洋性のアメンボ。ウミアメンボの仲間に出会えるかもしれない。

地球上の至る所に進出した昆虫だが、それはあくまで陸上の話。
海に適応できたものはごく少数で、ウミアメンボの仲間というのはその少数派。
普段は見ることができないからこんな風のとき。しかも、今年は県内の海水浴場はすべて閉鎖。ということは、海岸ででかいカメラを持って歩いていても通報される心配もない!

ところがそんなに簡単な話ではなかった。
まず、海水浴場はやっていないのに駐車場はみな有料。
時間制ならともかく、1回2000円といわれると、使う気にもならない。
思い切って城ヶ島まで行く手も考えたが、ちょっとした発想の転換でなんとか海岸へたどり着いた。
が、やはり間違っていた。

海浜植物の花はきれいだが、外洋性のクラゲが一つもいない。
打ち上がっているのはミズクラゲにアカクラゲ。こいつらはすぐ近くにいるくちだ。
何を読み違えたのかわからないが、とにかくこれは無駄足。
そうなると今度はこの風が邪魔になる。いや、そもそも風が強いから考えたのだから・・・
いずれにしても直接風が吹かないような場所を目指さねば。

思いついて向かった谷は部分的には確かに風が弱かった。
だがそうなると蒸し暑くて、蚊がすごい。
そもそもこういうはじめにケチがついた日はまあ何をやっても無理なんだよなぁ。
そんな思いに駆られながらも、倒木を積み上げた場所までやってきた。
ずいぶん草が茂って見にくくなったが・・・おや?



体長は3センチくらいか、大きめな甲虫が歩いていた。
タマムシの仲間かな?
何枚か撮影し、おもむろに捕まえてみると・・・手の中でいきなり跳ねた!
え?コメツキムシだったんか?!

調べてみるとフタモンウバタマコメツキのようだ。
南西日本に多いというから、最近になってこっちでも増えているんかな?
それくらいで思っていたら、どうも正式な記録は県内では40年も前の1例くらいらしい。
この大きさだから無視され続けてきたってことはないだろう。
おやまあ、ずいぶんとレアな奴に行き当たったようだ。
ウミアメンボは大外れだったが、まあこんなときもあるものか。