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骨転移を阻止するRANKL阻害剤

2007-10-29 | 骨転移
 RANKLと呼ばれるサイトカイン蛋白が乳癌、前立腺癌、皮膚癌の受容体と応答し、骨への転移を命令する、骨転移の鍵であることがトロント大学、およびオーストリア・アカデミー・オブ・サイエンスInstitute of Molecular Biotechnologyの研究者らによって同定されたことがNature誌2006年3月号で発表された。さらに、そのRANKLの活性をブロックすることがすでに知られているタンパクosteoprotegerin (OPG) が転移を阻止するかもしれないとしている。
およそ120年前から、骨組織が癌を育むなんらかの分子を製造しているだろうと予測されてきた。骨は癌の種が移住するのに適した肥沃な土壌である。進行乳癌の70%、前立腺癌の84%が骨に転移する。
実験では、RANKLを阻害するosteoprotegerin (OPG)を投与されたマウスでは骨への転移腫瘍が少なかった。投与されないマウスでは、腫瘍は、長い骨、脊椎、卵巣、副腎などに転移し、最終的に脊髄浸潤から麻痺が起こった。OPG投与マウスでは、骨と脊椎への転移は有意に減少したことを確認した。臓器への転移は減少しなかった。
「RANKLとその受容体を阻害する薬剤は、人において癌の骨転移を阻止する可能性があり、RANKL阻害剤は臨床試験も進んでいることから、骨転移が予想される癌では診断された時点からこの薬を服用し始めれば、どれだけ多くの骨転移が阻止できるか知れない。」と研究者は示唆する。 
同時に上記の発見はマウスの実験であり、臨床に応用するには十分注意をすべきである。RANKL阻害剤は現在第3相臨床試験まで進んでおり、がん患者においてもすぐに試験が行われるかもしれない。上記発見では、生存に関与するかどうかは確認されていないが、癌疼痛やQOLに貢献することだろう。
トロント大学原文記事2006/3
 
 カルシウム不足が、癌の骨転移を促す
マウスの実験で、食事、およびビタミンD不足によるカルシウム不足が乳癌の骨吸収を加速し、骨での増殖を促進したとCancer Research誌10月1日号で報告された。腫瘍を移植後0.1%のカルシウムのみ与えられたマウスでは、通常の0.6%の食餌を与えられたマウスに比べ、2次的副甲状腺機能亢進症を起こし、骨のターンオーバーが亢進され、溶解性病変領域43%増加、腫瘍領域24%増加、および癌細胞増殖が24%増加した。
osteoprotegerinを投与すると、溶解性病変領域は完全に阻害、腫瘍領域、癌細胞増殖も減少した。急速な腫瘍の進行は、高カルシウム血症や副甲状腺機能亢進症よりむしろ骨吸収の増加によって起こると考えられる。
「カルシウム不足やビタミンD不足は、容易に評価し、改善できます。乳癌の転移リスクの高い女性における試験を迅速に行うべきです。」ロイター2007/10/19

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*osteoprotegerinは、骨粗鬆症薬denosmab(AMG162、AMGN-0007?)とみられます。 過去Tips
参考:denosmab記事(日本乳癌情報ネットワーク)


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