がんの情報Tips

海外のがん情報を紹介。『海外癌医療情報リファレンス』https://www.cancerit.jp/関連ブログ。

FDA研究者からオバマ大統領への書簡

2009-05-24 | トピック
 オバマ大統領就任直前に送られたFDA科学者からの機能「崩壊」についての内部告発

連邦の科学者グループは、FDAの広範囲の不正行為についてオバマ政権移行作業チームにクレームを直訴する書簡を送った。
この書簡の中には、「この手紙はFDAの医療機器のための審査過程が現在のFDAのマネジャーらによって崩壊し、歪められてきたことをあなたに知らせることを目的としています。その結果、アメリカ国民を危機にさらしています。」と書かれていた。このセンターは、ステント、乳房インプラント、MRI他の画像機器などを取り扱っている。政権移行作業チームに送られた9人の科学者の懸念は、数年前に鎮痛剤Vioxxにかかわる安全総崩れとなったFDAのドラッグレビュー部門の苦情を含んでいる。FDAは返答を公開しない意向であるが、対策を検討しているとの表明がなされている。

その文書で、有効性が疑わしい、そして、100%安全でないかもしれない医療機器の承認に、当局マネジャーらが科学上の論争を押しつぶすため威圧の手段を用いているとFDA反対者は申し立てた。
機器について自分たちと相容れない、一致しない科学者および臨床家がいれば、マネジャーらはその重篤安全性と有効性について無視し、…FDA専門家に対して威嚇、命令、罵りをもって科学的評価、結論、推奨事項を違法にも修正させ、臨床および技術的データを科学的に無効なものであると受け入れさせてきた。現在、FDA内部では、正しい職員が不正な職員に怯えている空気がある。」という。
この文書は、科学者名の一部が編集されてプレスに送られてきたものを国会議員が明らかしたものである。

FDAのスポークスウーマンのジュディ・レオンは 「私たちはそれらがどんな問題でも政権移行作業チームのメンバーと非常に緊密な連携をとり、対策を実施します。」と 応答した。
民主党と共和党の議員は、FDAを再構築し、実務者レベルの信用を回復するコミッショナーを科学者と医療関係者に任命するようオバマ氏に促している。反面、産業界はFDAの承認が遅れるのではないかと懸念している。

書簡の中で、科学者らはマンモグラフィ・コンピュータ誘導検知装置(CAD) *訳不明(mammography computer-aided detection devices)を名指しし、推進すべき技術ではなかったと言及している。その機器は、乳癌の検知を向上させると考えられるが、擬陽性による不要な生検に導くと研究で示されている。
2006年以降、FDAの専門家が、より良い臨床上の証拠なしで装置を承認しないようにとの勧告を5回行っていると書かれていた。 昨年の3月に、外部アドバイザーのパネルは、FDA内の科学者の懸念の一部を支持したが、それにもかかわらず、FDAのマネジャーは、反論を却下して承認の命令を下した。
手紙にはFDAトップマネジャーが「医師と科学者が承認を拒否したとき、承認の推薦を彼らに命令、強制、威圧、次に報復によって、最も乱暴な不正行為を遂行した」と書かれていた。
2008AP通信。原文記事より抜粋
過去ちっぷ


9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まぁ、道具は使いようというところ? (ちゃしば)
2009-05-26 20:13:29
こういう記事もhitひまひた。
http://www.dotmed.com/news/story/3689/
NEJMではnegative, ACRではpositive。
でも、こういう場合は評価が定まらないと日本語では表現されると思います。ただ、評価母体がどこかによるバイアスも出ることを考慮する必要があります。
新しい技術は一般的に、患者さんへの恩恵だけでなく、それによる経済効果も大切にする場合も多々あるわけです。エビデンスが弱くても、結果は後付けというものも多いことは歴史的に証明可能な現実でもあります。
医療というと一般の人は、公益とか、倫理が優先される高潔な世界と信じたくなるものだと思いますが、残念ながら政治の世界に通じる面もあることを忘れてはならないと思います。さもなければ、あまり裏付けのないものにさんざん投資させられたあげく、誰も責任を取らないというおぞましい結果となる事例も多々あります。
ただし、このCADについては現時点ではどれが正当な評価になるのかは分からないとすべきかなぁ。。と個人的には思います。
※実際、臨床で用いられて練成されてゆくような技術も実際にありますから。
返信する
承認過程は別ですぅ・・ ()
2009-05-27 11:33:31
お示しの URL…
「CAD(コンピュータ誘導検知マンモグラフィ?)はマンモグラフィーの精度を下げる」
NCI の試験によって、CADは見分けがつかない偽陽性を増やして不必要な検査に導く。再検査となった女性は32%、生検を行った女性は20%増加した。… FDA が1998年に承認してから、大規模な有用性の証明もなしに、現在、米国では10%のマンモグラフィーに備えられている。…


CADだけではなく、国家においてこんな不正行為での承認が横行するのは許されないと思いますが。
返信する
立場上、書けないっす(^_^;)。本音は (ちゃしば)
2009-05-27 12:50:18
上記、私のコメントを深読みしていただければ意図が伝わるかもしれませんが、米国では(と、強調しておこう。一応)専門雑誌や学会自体が自らの会員や、関連企業の恩恵となるような結果に論文や、研究などを誘導している傾向があります。これは専門性の高い分野で企業との関連が強い領域ではなおさらです。
FDAも専門性の高いものについては、まったく新しい概念で安全性を確認すべき器具・機器についても従来の改変として安易に認可する傾向もあります。たとえば、グリアサイトとマンモサイトの関係についても、Tipsでも書かれていたですよね?

たとえば、米国放射線腫瘍学会(ASTRO)は会員用ニュースで、議会へのロビー活動の報告をしているくらいですから、FDAとか、政府とか、その程度だけの歪曲では片づけられない複雑な利害関係も絡み合っている、恐ろしい世界だと個人的には思ってますがね・・・。
返信する
シクシク (bre)
2009-05-27 15:38:02
バイアスだとか政官癒着だとかマンモグラフィーだけを強調して勧める啓発運動だとか、立腹のタネはつきまじ!
実際、後になって効果がないと分かった抗癌剤治療を受けざるを得なかった弱い立場の患者としては本当に悲しい限りです。
医療と教育は採算事業にしてはいけないと思うんですが、採算を度外視できるほど性善説で動く世の中ではないでしょうし、善人なら何をやってもよい結果になるというほど単純なものでもないのでしょうが…。
コメント欄汚しすみません。
返信する
そんなことはない! (ちゃしば)
2009-05-27 17:42:43
患者さんあっての医療です。私は、breさんの言葉は多くの患者さんやご家族の本音として、学会中枢や薬剤や機器を審査する人たち、そして企業の人たちに伝わってほしいと思っています。
ただ、私は個人的な感覚や信条での誘導はできない立場ですから、可能な限り陰に隠されたエビデンスを伝えようとしています。リファレンスのPubMedでは、よそで取り上げられないものや、取り上げられていても上っ面だけのものもできるだけ紹介しようとしています。
どんなに『取り付く島のない』団体や、官公庁などであっても、隠しきれないさまざまなものが表に出てくれば変わらざるを得ないことは、ここ数年の日本の政治・経済などでみんなが分かってきたと思います。
おかしいことは、おかしい・・・そう言える世界にしたいですね。

それとひとつだけ追加・訂正しますよ。
>実際、後になって効果がないと分かった抗癌剤治療を受けざるを得なかった弱い立場の患者としては本当に悲しい限りです。
これは正確には正しくない。『後になって効果がないだけでなく、有害でもあると分かった・・・』としたほうが、現状を表していると私は思っています。エビデンスはいくらでも出せますよ。
返信する
あ、ごめんちゃい(^_^;) (ちゃしば)
2009-05-27 18:03:05
一般的な事例についての話であり、breさんの治療を指してはいませんからね(^_^;)。
(そもそも、どういう治療経過かもよくわかってないので)
返信する
フォロー、ありがとうございます ()
2009-05-27 21:13:12
ちゃしば先生、そうした立場で考察くださること、貴重なことと受け止めています。国に限らず、あり得ることだと思います。他山の石として、冷静に受け止めないといけないですね。

PubMedの抄録は難しいですが、一般にもできるだけエビデンスに触れることの啓蒙に貢献するかと思います。いつもお疲れさまです。
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/pubmed/

過去チップ、この記事ですね。今回とつながっていたんですね。
http://blog.goo.ne.jp/cancerit_tips/e/e6fb65b36e5325bdb80d39c11ef6fdb3

breさ~~~~ん
お怒りはご尤もです~~
いつも、的を得たご意見、うんうん、、、と頷きながら拝見します~
世の中、矛盾することだらけ、わからないことだらけですが、これからも一喝してくださいねー
ちゃしば先生も、こういってくださってますし~
返信する
ありがとうございます~ (bre)
2009-05-28 22:32:34
コメント欄に書き込んでからドキドキしていましたので、
ちゃしば先生と希さんにそう言っていただけてホッとしました。
口のワリには気の小さい癌患者です~。
返信する
よろしくー ()
2009-06-01 08:06:21
いつでも、コメントお待ちしています。
返信する

コメントを投稿