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定年後の伊豆高原 バラと酒と音楽と

伊豆高原に終の棲家を建築し永住。カミサン、愛猫ジローとの伊豆での老後は如何に。薔薇・酒・音楽・日々の徒然。

入院顛末 その8 DOUTOR+コンビニ

2011年02月23日 | バラ日記

家内が入院してた頃の順天の二階は病院内レストランって感じだったよね。和食と洋食と中華が一つになった食堂って感じだった。和洋中華といったって、天丼かつ丼ざる蕎麦、餃子炒飯ラーメン、ハンバーグとカレーとかの絞込みメニューだったけど。味は…病院内食堂ってどこでもこんなものでしょうって味だったね。だから昼時になると、近所の蕎麦屋か三津浜海岸通りまで車飛ばして分厚い刺身定食とするか迷ったものだった。

ところがすっかり様変わり。なんと、病院二階にDOUTORとコンビニがオープンしてるではないか。
現役時代は職場の周りにも通勤途上にも自宅の周辺にも、ドトール、スターバックス、タリーズとかの洒落たカフェがいくらもあったし、美味いカフェラテ・カプチーノは勿論、サンドウィッチやスイーツも企業戦士の息抜きの場だったっけ。そういう味は伊豆高原に移ってからは随分とご無沙汰になってしまった。観光客向けの店は多いけど、垢ぬけた味と洒落た雰囲気を提供する飲食店は極めて少ない。

ところが、伊豆長岡の順天堂病院の二階にはDOUTORがあるんです。病院は日々進化しているんです。

痛みも日一日と薄くなって体力も回復してくると…一日が長くなるでしょ。暇な時間を持て余すようになる。当然、病院食のみでは我慢出来なくなる。

小腹がすいたねぇ。で、パジャマ姿でヨロヨロヒョコヒョコ、病室のあるフロアーから一階のロビーを廻ってもあっという間。で、二階フロアの一角にあるDOUTORとコンビニに足が向く。普通の人も、そうでない人も、お医者さんも、研修医も、看護婦さんも、介護師さんも、事務員さんも、掃除のオバサンも、尿袋ぶら下げた人も、点滴を引きずっている人も、車椅子の人も、糖尿病の患者も、高血圧の患者も、泣いている人も、笑っている人も、怒ってる人も、そしてパジャマ姿の僕も、喧騒の店内をウロウロしている。

メニューを見る。
コーヒーだけでも、ブレンド、アメリカン、エスプレッソ、カフェラテ、カプチーノ、カフェモカ、ココア、キャラメルナントカ…
スイーツも、チーズケーキ、ミルクレープ、タルト、トルテ、スフレロール、
フードは、ミラノサンド、ミラノA、ミラノB、ミラノC、カルツオーネチキン、カルツオーネペスカトーレ…いずれも高カロリーである。
となりのブースでは天ぷら蕎麦が売れている。
コンビニではスイーツがずらり。

(更に銘柄のビール、ウィスキー、焼酎がずらり。バニーガールが「あらジローさん、お久しぶり!そろそろ退院ね、寂しくなるわ、今日はゆっくりしてってね。いつものマッカラム、ロックのWでいい?」なんて設営してくれたら、まさにここはパラダイスなんだけど。病院大繁盛間違いなしね。そうだ、伊東市民病院も建て替えするし、このアイデイア上申してみようかな。)

「いらっしゃいませ~、店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」
あのさ、このパジャマ姿で外に出られる?病室に持って帰る訳にいかないし。店内で食べるしかないっしょ。なんて意地悪爺丸出しの返事はしないで、素直に (店内で食させていただきま~す)。いい子にしてなくっちゃ。

これ、五日間続けたけど、結果どういう事になったか。

看護婦さん登場「今日は体重測りましょうね」

ガ~~~ン、絶句…なんと

4㌔も増加してんじゃないの。

入院して回復が順調にいくと、パラダイスにヨタヨタと足を運び、カロリー過重摂取で血糖値増加、生活習慣病復活で再入院へ。
これって病院事務局の陰謀じゃなかろうか。


入院顛末 その7 傷口を見て卒倒

2011年02月18日 | バラ日記

先生「切除した血管腫の組織検査の結果ですけど…」

ついに宣告の時が来たか…悪性の文字が頭をよぎる。

人間五十年、いや六十五年、下天のうちをくらぶれば夢幻のごとくなり…。覚悟を決めなくっちゃね。でも未だ逝きたくないなぁ。残されたカミサンの事が一番心配だし、やりたいことだって一杯残ってるんよ。ギターも中途半端、せめてGuitarBoogieくらいマスターしなくっちゃ。飲んでないシングルモルトもいっぱいあるし、シカゴで本場のブルースを聴いてみたいし、老いらくの恋もチャンスがあれば…

「なにをブツブツいってるんですか」
あっ、いえ、で、ど、どうなりましたか

「ま、良性ですねぇ、腫瘍も完全に取り切りましたし、問題無しね。」
ホントですか~、良かったぁ、ほんと…ヨカッタ(さぁ、後顧の憂い無く遊ばなくっちゃ)


「そろそろ、毎朝シャワーを使いましょうか。傷口をきれいに洗い流ないと回復が遅れるので」
大丈夫なんですか、お湯なんかかけちゃって

「ぬるいお湯を静かにかけて、無刺激性の石鹸で柔らかく汚れを洗い流すんです」
はぁ…

次の朝、浴室に連れて行かれる。看護婦さんが洗ってくれるそうだけど、傷口ゴシゴシされちゃかなわないから自分で洗います。
シャワー椅子に座って、ぬるめのシャワーをゆっくりガーゼの上からかける。ガーゼを通して湯が浸み渡っていく。うん、大丈夫、痛くない。ゆっくりゆっくり、ガーゼを剥がしていく。正面の鏡をみながらゆっくりと…傷にひっかかる、慎重に…お湯をたっぷりガーゼに…。ちょっと痛い…。なんか怖い。

ガーゼの下から血がダラダラと流れてきた。おい、これ、大丈夫なんか?血が…流れてるよぉぉ。ガーゼが取れた…ふぅぅぅ、ここまででもう、すっかり疲労感が。怖々と鏡を見る。

な、何なんだ!

手のひら大の傷跡は赤黒い血にまみれ、網目に刻まれた皮膚が肉に乗っかってるって感じだ。自分の体なのに見るに恐ろしいよ。ワナワナしちゃう。

この大きな傷に湯をかけ、石鹸の泡で傷口を超柔らかくシャワシャワさせて洗う。多少しみるけど痛みはそれ程でもない。痛みよりも精神的にすごく緊張してしまう。ようやく洗い流して脱衣場に立つ。ナースコールで看護婦さんを呼ぶ。ガーゼで軽く傷口を押さえ、病室のベッドへ。しばらくすると先生が処置にやってくる。傷口を消毒し、皮膚の再生を促す薬をスプレーし、ガーゼに塗り薬をたっぷりつけて胸に貼り付ける。

これを毎日繰り返すのよ、朝食をとると、シャワー室。その後の医師による処置。もう午前中はグッタリなんよ。そのあとは昼食を食べた頃に痛みの残渣が消えてくると…、もうやる事ありません。退屈の時間がやってくるのよね。TVもつまんない、新聞も隅まで読んじゃうし、本も十冊は読みこんだ。PCに仕込んだJazzも延々と聴いてはいられないし。となると…さ迷い出たくなるのよね。

少しは歩いて筋肉の衰えを防止しなくっちゃ。
9階のフロアーをヨタヨタしながら一回り、次の日は二廻り、その次の日は…エレベーターに乗って二階に遠征する。

二階に何があるかって?

パラダイスがあるんよ。知りたい?


入院顛末 その6 サディスト

2011年02月13日 | バラ日記

何か下の話ばかり続いちゃってスミマセン。で、悲劇の続き。

形成外科の医師チームは、助教のU先生、講師のY先生、S先生、の三人で構成されている。日々の回診はU先生を筆頭にチームで来る時もあれば、Y先生、S先生、が代わる代わる回診に来られる時もある。時には研修医や学生さんも引き連れて大勢で回診にくる時も。まぁ、大学病院の性格上それは止むを得ないが。

さて、下の大小が治まってほっとした頃、つまり手術後一週間を経過したある日、恐れおののく日がやってきた。U先生以下チーム全員の回診で、

「そろそろ皮膚が定着した頃なので、ガーゼを剥がしますね。」

胸にギブスをつけたように分厚いガーゼが貼り付けられていたが、それを剥がすというのだ。これ、すっごい緊張する。
いったい僕の胸はどうなってるんだろう。皮膚が定着した頃っていうから、もうすっかりきれいな皮膚に生まれ変わっているんだろうか。
太股の皮膚を剥がして貼り付けた訳だから、足の毛が胸に生えちゃってるんじゃなかろうか。未だ痛みが強いし、なんか…ガーゼを剥がされるのが恐ろしいよ。

「じゃ、ゆっくり剥がしますね…」
動かないように幅広のテープがたくさん貼り付けられていたが、そのテープを少しずつ剥がす。もう、緊張で体全体が強張る。脂汗がジットリ。自分の胸は殆ど見られないから、ベッドの枠を握りしめて天井を仰ぐのみだ。メリッ、メリメリって音が(大袈裟なんだけどそう聞こえちゃう)。

「開けますね…」
う、うっ、い、

メリッ…
い、い、~~~~~~ぁぁぁい

「もう少し…」
おっ、おーーー、うぅぅぅぅーーー

「もうちょっと」
あひ~~~~~
恥も外聞も無く悲鳴をあげちゃう。

「男の子でしょ、泣かないの!」なんて自分に言い聞かせても、やっぱり痛いものは痛いのよ。看護婦さんが気の毒そうに見つめる。可愛子ちゃんの看護婦さんの同情を引こうと、悲鳴にも力が入る。
あひ~~~~~~、ふふぇぇ~~~~、いヒ~~~~~~~、

ベロって音がしたようだけど??
チームの先生方や看護婦さんたちの視線が僕の胸に集中する。時間が瞬間的に止まったような、面々の凝視を受けて僕の体は緊張で硬直する。少しの間をおいて

「うん、うまく定着しているようですね。じゃ、消毒しますからね」
再び緊張が走る。
ピンセットの先には消毒薬をたっぷり含んだ綿が。移植した皮膚をなでる。

い、いいい、痛ぁぁ、おぉぉ、んん…
○△□♯×♭?
意味不明の言葉がほとばしる。

ほんと、ズッシーーンっていうかキリキリーっていうかジュワーっていうか、せいぜい2~3分の間なんだけど、僕にとってはすっごく長い時間に感じる訳。消毒が終わると、皮膚の再生を促すとかいう薬を傷口にスプレー。し、しみるぅぅ~~~。更に、分厚く大きなガーゼに何やら薬を塗り込んで、それを傷口に載せる。そして幅広のテープで動かないように頑丈にとめる。

「はい、終わりましたよ、お疲れ様です」
あ、アヒカドウコザイナス…

「明日から毎日、ガーゼの交換と消毒を行いますね」
(毎日?この痛みが?)

センセ、歯医者さんで治療する時にも、最近では笑気ガスとかいう麻酔で眠っているあいだに治療するじゃないですか
「そのようですね」

消毒の時も・・・麻酔なんかで・・・

「ん?」

眠っている間に出来ませんかね
「う~ん、毎日麻酔かける訳にいきませんからねぇ、ま、痛くないように、優しくやりますから大丈夫ですよ」

(後ろで控えていたS先生が、ふ…と笑ったような…気がした。)

消毒の後、緊張感と処置の痛みで疲れてしまい眠ってしまう。
そして、毎日のガーゼ交換と消毒の処置は繰り返されるのであったが、先生によってガーゼの剥がし方や消毒の仕方が違うのである。
主治医のU先生は優しいのね。イケメンのY先生も優しいのね(Y先生はナースセンターの憧れの君じゃないかなぁ、僕の若い頃に似ているなぁ、うん)。だが、冷酷非情・クールなマスク(でも結構美人なんだけどね)・メスをふるうのが生き甲斐なんて感じのS先生の処置、これはもう恐ろしいのなんの。鬼の平蔵もナチスドイツもサド侯爵も特高警察も真っ青(あくまで被害者意識の強い個人的イメージだかんね、フィクションだかんね、実在の人物じゃないかんね)。

「ガーゼ剥がしますね」
あ、はい、
(ベリッ) 
あひ~~~~~~~~
「消毒しますね」
(ズビズビグリグリ)
おぉぉぉ~~~~

「鋏!」

(バチンバチン)

ギャアァァァ~~~~~せ、せん、せい…な、何を切ってるんですか?

「脂肪ね、脂肪を切り取らないと皮膚の再生が遅くなるから」
し、脂肪を…切り取る????(気が遠くなる)
バチ、
痛~~~~~~~~~~~~~~~~い!!
「はい、今日はこれで終りね」

先生が立ち去ったあと、看護婦さんが優しく
「痛かった?」
うん、痛かった、すっごく痛かった…(蚊の泣くような声で)
「可哀そ…」
(グスン・グスン)
「少ししたら痛みがとれてきますからね、」
ナデナデしてくれる?
「いいわよ、はい、ナデナデ」
(これ、あくまで希望的イメージです。現実は甘くありません)

この先生の処置の日は午前中グッタリして寝込んでしまうのよ。外科医ってさぁ、サデイストじゃないと務まらないんじゃないかなぁ。
いったい僕の胸はどうなっているんだろう。
そして、ついに、僕の胸を鏡でまともに見る日がやってくるのだ。





入院顛末 その5 超・便秘…泣

2011年02月11日 | バラ日記
食事が出るようになった。内臓の病気ではないから普通食だ。とはいうもののベッド寝た切り状態だから600Kカロリー前後の内容ね。病院食だから贅沢は言えないけど、ご飯多すぎ、オカズ少なすぎ、塩分超控えめ、味は…ま、一食単価を考えるとこんなもんかね。

でも、久しぶり(といっても三日ぶり)の食事だからあっという間に平らげる。左手は動かせないし、ベッドから身を起こすのも大変だけど、どうにかなるものだ。
で、翌日の朝食時、つまり24時間経過後には当然に…したくなる。これ、生理現象だからしょうがないよね。出るもんは出るのよ。総理大臣だって、ノーベル賞学者だって、アイドルだって、クラプトンだって、出るものは出るのね。

ところがだ。運動せず寝たきりで普通食だから、腸顫動が中々こない。ということは…積もるんです。大が積もるように溜まっちゃうんです。でも、腸が動かないから朝食・昼食・夕食と順次溜まったモノが押されて積もるんです。積もっても…

出な~い!ふんばるけど、出な~い!

押されて積み上がるから、先頭部分は圧縮されて…

カチンカチンの石
みたいになっちゃうのよ

これって苦しいのよ。ホント、出したくても出ない、出そうで出ない、
踏ん張っても、力んでも、唸っても、腹圧かけても、泣いても、笑っても、歌っても、思い描いても、

出な~い!しょうがないからナースコール押すのよね

「どうしましたぁ~~?」(いつも明るい声なんだよね、お返事だけは…)

で、出ないんです。
「何が出ないんですかぁ~?」(そこまで言わせる?)
何がです
「ですから何が出すかぁ~~?」
だからぁ

うんちが出ないのよーー看護婦さんが登場します。
「座薬使いましょうね、はい、横向きになってね、お尻突き出すように」
はぁ~い!(ついに来るべき時が来た。声がどうしても上ずってしまう)
「楽しそうですねぇ」
んなことありましぇん…苦しくって
ズブ…
「10分で効いてきますからね、でも、最低15分、出来れば20分は我慢してくださいね」

10分経過…来たぁぁぁ 突如として猛烈な便意が…でも、未だ10分。
あと5分も我慢?…出来ましぇ~ん、もう駄目、許して…う、う、うぅぅ

我慢できずに点滴引きづり尿袋ぶら下げ、胸の痛みに耐え、看護婦の嘲笑に耐え(んな事はないけど)、トイレにたどりつく。
便座に座り、

今だぁ!力め~!いてこませ~!
突撃ーー


? で、出ない?

う、う、うーーーー
必死の形相で力むけど…先頭の大きなマグマドームが邪魔して、出ないのよー!

これって苦しいのよ、判る?

看護婦さん、駄目、もう駄目、出ませ~ん
「しょうがないわねぇ、じゃ、テキベンしましょうか」
テキベン??
「そ、指でほじくり出すの」
ほじくる?指を…突っ込んで?
「ふふ…」(一瞬、笑みがこぼれたような…もち錯覚)

そんな事は頼めませんよ、若い看護婦さんに私の様な前期高齢者の汚い尻を、しかも指を突っ込んで掻き出される??んな事頼めませ~ん。(ちょっとは期待…していません)

なんとかします、なんとか、自分で処理を…

脂汗を流し、唸り声を上げ、お産のような苦しみに耐え(多分)、必死の形相で3時間。
出そう…おっ、出る、出る、出る~~~~!

マグマドームが崩壊する、その瞬間、肛門が切れて血が…と同時に、

出たぁぁぁぁ!怒涛のように、土石流のごとく、火砕流をしのぐ勢いで、

出たぁぁぁぁーーー

この快感、もう病みつきになっちゃう

ふぅぅぅ…


悲劇はこれだけではなかった。






入院顛末 その4 下の困った…泣

2011年02月09日 | バラ日記
回診の先生「そろそろお小水の管を抜きましょうか」
(やっと管から解放されるよ、自分でトイレに行きたいし。)

「じゃ、ゆっくり抜きますからね」
(何か、看護婦さんの視線が気になるなぁ、じっとナニを見つめられているような…)

あっ、あっ、せ、先生、痛い…っていうかジンジンして、
(これって何とも嫌な違和感というか、ちょっと説明出来ないんだけど)
おっ、おっ、うぅぅ…いぃィゐヰぃ~~(表現がおかしいかな)

「はぁい、抜けましたよ~、これでトイレに行けますからね、楽になったでしょ」
は、はい、ありがとうございます。

回診が終わってしばらく経つともう尿意が…下腹部はパンパンに張って目一杯溜まってるって感じだ。点滴を引きづりながらトイレにしゃがむ。ジョ~~~~~~という感触を期待する…が…。で、出ない!
緊張してるせいかな、フゥ~と深呼吸して緊張を緩めて…そっと…で、で、出ませ~ん。
気張ってみる、下腹部に圧力かけて…うぅぅぅ…で…出ないよぉぉ
したいんです、もうオシッコ満タンで苦しいんです、
少し…ジュルって感じで…そう、もう少し…頑張って…ほら…出るよ…出…・ない…出ないよぉぉぉ
ん?便器に…血じゃないか…
そうか、尿が出ないのは…もしかして…前立腺癌?膀胱癌?尿道癌?
た、大変な事になった…血管腫の手術どころじゃないじゃないか。ど、どうしよう。
オシッコ…した~~~~~~い 脂汗、蒼白、

やっとこさでベッドに戻りナースコールを押す
「どうされました~?」
(あのね、ナースコール押すと「どうされました~?」と返ってくるんだけど、妙にいつも明るいんだよね、もっともクールな口調の返答でも嫌だけど)

出ないんです…それに…血が少し出て…もう苦しくって

「ちょっと先生に診てもらいますからね、しばらくお待ちください」
(その「しばらく」っていう時間って長いんだよね)

先生「おしっこ、出ないんですって?」
そうなんです、もう、パンパンに溜まっちゃって、苦しくて…それに血が出ちゃったんです。もしかして癌とか…

「カテーテルを挿入する時と抜く時の擦過で傷ついちゃったんですね、良くある事です。尿管に血栓が残ってるのかも…もう一度管を挿入しますからね。」

ズ・ズゥゥ・・
い、ぃィゐヰた~~ぃ

先生「入りましたよ、うん、出てますよ、もう楽になりますからね、」
看護婦さん「いっぱい出ましたよ~ほら、こんなに!」
(嬉しそうに袋をもちあげて見せてくれる。こういう場合、どういう顔したらいいのかなぁ、歓喜の表情がいいのかなぁ)

先生「一両日は管をつけておいて、もう少し落ち着いたらもう一度抜きますからね」

再びおしっこの管と点滴の管に繋がれてしまった。
食事は昨日から普通食になった。ということは…そろそろ大が出る頃だが。
ここから第二の悲劇が始まった。


入院顛末 その3 術後

2011年02月07日 | バラ日記
朦朧とした中で意識が戻り始める。
あぁ、ここは病室か…どうやら手術は無事終えたようだ。誰かがベッドの脇を横切った。黒い影なんだけど誰だろう。あれ?また影が横切る。誰?良く見ると誰も居ないんだけど、ほら、また影が横切っていく。なんか重苦しい。
手術した胸のあたりに違和感を感じる。そっと胸に手をあててみると、分厚い大きなガーゼの感触、ギブスが被さっているような感じがするが、恐くてそっと触る程度の事しか出来ない。

手術に立ち合ってくれた次女の笑顔が見えてきた。

「お父さん、大丈夫?手術、無事済んで良かったね。痛い?」
あぁ、大丈夫だよ。痛みはあんまり感じないけど、おしっこの所が痛いな
「管入れてるからね」

あのさぁ、誰か病室に居た?黒い影がさっきからベッドの脇を横切るんだけど…
「誰もいないよ」
おかしいなぁ…麻酔のせいで妄想が出てるのかなぁ。

手術に立ち会ってくれてありがとう。もう大丈夫だから帰ってもいいよ。お母さんが心配しているだろうから早くお帰り。
再び眠る…ZZZ (黒い影の妄想は一晩で消えた)

手術当日は目が覚めても朦朧としているし、眠ったり目をあけたりを繰り返していたようだ。看護師さんが抗生物質と痛み止めの点滴交換を繰り返す。

あの、おっしっこが溜まって苦しいんですが…
「お小水は管が入ってますから、ちゃんと出ていますよ。」

そうなんですか…でも、なんか、溜まってるみたいで…
「管が入っているから違和感があるんですよね、でも、ちゃんと出ていますから大丈夫ですよ」
ZZZ

目を覚ます。喉が痛い。痰が出るし咳も出るし…肺炎になった時の症状と同じだ。痰がからむ。咳をして痰をテイッシュに吐きだす。なんと血が…。もしかして肺癌?手術のショックで癌細胞が動き出したんじゃないのかな。ゴホゴホ…ゼイゼイ…

担当医の回診があった。主治医は形成外科准教の女性U医師。部下の男性Y医師と女性S医師の三人で手術を担当してくれた。主治医のUさんは未だお若い方だが准教授とは偉いなぁ。優しいし信頼がおける先生だ。男性Y医師は背が高く甘いマスクでイケメンだ。この先生も優しい。S医師はちょっと怖い。あまり感情をださずたんたんと仕事をこなすタイプか。冷たい印象でいかにも外科医といった風情。この先生によるガーゼ交換は後に恐怖の時間となった。

「いかがですか?手術は無事に成功しましたからね、大丈夫ですよ。痛みはどうですか?」

有難うございます、胸の痛みはあまり無いのですが、太股はチリチリと痛いです。
「皮を剥いでいますからね、痛み止めの点滴を続けますからね。」
それと先生、おしっこの方が…痛くって…

「管が入ってますからね…明日か明後日には管を抜きますから、しばらく辛抱してください」

それから…喉が痛いんです。それに痰を出したら血が混じっていて。
「手術の時に気管に管を入れていましたから、その影響でしょう。2~3日で喉の痛みも咳もなくなると思います」

(そうだった。手術前に麻酔担当医から説明を受けていたっけ。すっかり忘れてた。肺癌か?なんて思い込んだりして、気が弱くなったかな…)

手術後の三日間は、胸の痛みよりも、おしっこの部分の痛み(というより違和感)に神経が集中していたみたいだ。点滴による痛み止めが強力に効いていたからだった。
本当の辛さは手術後五日目あたりから始まった。

入院顛末 その2 手術当日

2011年02月04日 | バラ日記
未明から目が覚める。寝ボケ眼で時計を見ると…未だ5時じゃないの。たしか昨夜眠りについたのは12時頃だから睡眠5時間か。眠いんだけど寝られないんだよね。ベッドの中でグズグズしてるともう7時。歯磨きして、トイレ入って…小さいのしか出ないなぁ。手術前に大が出ないとまずいんじゃないかなぁ。朝のTVは相変わらず民主管攻撃の繰り返しだし、朝からブルース聴くのもなぁ。手術って痛いのかなぁ、全身麻酔だから痛くはないだろうけど、麻酔が切れるとどうなんのかなぁ。不安感がモコモコと大きくなって、用も無いのに狭い部屋をウロウロする。

そこへ白衣の若い医師が登場。
「麻酔を担当する○△です、よろしく。では麻酔の手順をご説明しますね。」
「手術室に入ると吸入マスクがつけられます。普通の空気ですからゆっくりと呼吸して…で、ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐いて、それから数を数えて、イ~チで吐いて、ゆっくり吸って、ニイ~で吐いて、ゆっくり吸ってって感じです。ちょっとやってみて」

イ~チ…ニイ~…スゥ~ハァ~

「そうそう、いいですねぇ、その調子でOKですよ。ですぐに寝ちゃいますからね。麻酔が効いたのを確認したら人工呼吸器の管を気管に挿入します。手術後に喉が痛かったり声がかすれたりしますが、一両日で治りますから心配ありませんからね。」

「で、眠っているうちに手術しちゃいます。大体3時間位ですかね。手術が終わると病室に戻ってベッドに移されますからね。麻酔が切れるとともに意識が回復しますが、ボーとしたり頭痛がすることもありますからね。」

麻酔切れると痛いんですかね。

「点滴で抗生物質や痛み止めが注入されますから大丈夫でしょ。じゃ、後ほどお会いしましょうね」
(会いたくないなぁ…)

続いて看護婦さん二名で登場!開口一番、「オムツとT字帯着けました?」

そんな大きな声出さなくたって…
あの…て…テイモウするんですか?
「あっ、剃毛ですね、今回は指示がありませんから必要ないのでは」

そうなんですか…(なんか残念)

あの…昨日から便通が無いんですが…
「はあ…」

あの…手術前に…カ…カンチョウとかするんでしょうか…
「それも指示がありませんから必要無いかと…」

でも、手術前は毛を剃られたり浣腸されたりするとか聞いたんですけど…(不服そうに)

「浣腸…したいんですか?」 いや、そういう訳じゃ…
「したいんでしょ」 そうじゃなくってね、でも…
「でも?」 あっ、いえ、いいんです。

(んな会話は無かったけど、麻酔で締まりが無くなっちゃってオムツの中に出ちゃったらまずいんじゃないかなぁ。)

「じゃ、時間ですからね、このストレッチャーに乗ってください」
「しゅっぱ~~~~つ!」

廊下を通り、エレベーターに乗り、また廊下を通り…すれ違う患者さんや見舞客などが興味深かげに横たわっている自分を覗く。
(これから手術なのね、可哀想、何の手術かしら、癌?盲腸?痔?きっと痔の手術よこの人、ジローかもね)と思われているに違いない、きっと。

手術室の前、ジャ~ンとドラの音はしないけどカシャっと金属的な音がして自動扉が開く…中に入る。冷たい雰囲気。また扉が…おぉ、大きな電球がいっぱいついた円形の照明器具が…不気味だ。すると、濃緑の手術着をまとった医師やら看護師やらが5~6人。この風景ってテレビの医療ドラマにシーンそのものじゃないか。
医師達が自分を取り囲みマスクにかくれた鋭い目で自分を見つめる。財前教授みたいだなぁ。(知ってる?)

「じゃお名前をフルネームで言ってください、はい、じゃ生年月日は?はい、結構ですね」
「それでは、このマスクをかぶって…ゆ~っくり息を吸い込んで…ゆっくりと吐いて…、大丈夫ですよ~、数を数えましょうね、イ~チ…スゥ~~~、ニィ~~~、スゥ~~~~、~~~~、~~~~、

思考が停止する…死ぬ時はこんなだったら楽なのになぁ、と瞬間的に思ったが…ZZZ





入院顛末 その1 入院日

2011年02月04日 | バラ日記
入院受付窓口にて入院手続きを行う。受付機のボタンをおして受付シートをもらって呼ばれるのを待つ。入院を申し込む人、入院費を支払う人でざっと30~40人。一日中賑わっているから順天堂は繁盛してるなぁ。40分ほど待ってようやく呼ばれる。

「ご入院ですね」
そうなんです! 入院なんです。(何故か嬉しそうに答えちゃったけど、ちっとも嬉しくない)

「ご入院に際していくつかの書類にサインして捺印をいただきますね、えっと、まず最初に…」

麻酔のアクシデントや後遺症の恐れ、輸血によるエイズや肝炎の恐れ、手術の危険性や後遺症…つまり、入院手術により起り得るあらゆるリスクや後遺症は、それが万に一つの確率であっても患者自身がそれらのリスクを全て理解し納得したものであり、全てのリスクや後遺症などは病院の責では無いとする承諾書の数々だった。全部で6~7枚あったかなぁ。よ~く文面を見ると、何やら恐ろしい事が書いてあるけど…うぅ~ん…これって署名しない訳にはいかないし。

あのぉ…この文面…納得出来ないんですけど…、なぁんて言おうものなら、「じゃ、しょうがないですねぇ、当院では入院手術をお引き受けしかねますが…」と言われてチョンだしなぁ。

そういえばカミサンがドクターヘリで運ばれてきた緊急救命センターでも、「即手術しないと数時間内に死亡…でも、手術しても助からない確率は30%以上…助かっても寝たきりの確率が○○%…、手術のリスクはあれこれで…」って説明を受けたっけ。
そんな説明受けたってこちらの頭の中は超パニック状態。もう神様仏様この際何だっていう事聞いちゃいます、ともかくカミサンを助けて…お願いします、なんとかお願い!!!
あの時は例えどんな事を言われても全て納得承知しちゃうシチュだったっけ。医療訴訟なんておこされたら病院も医師もたまらんからなぁ、判らんでもないし…。なんて事を考えるまでもなく何枚もの書類にサインして印を押す。

その他、入院中のあれやこれやを何やらかんやら説明を受け、入院保証金を支払い手続き一切が済むと次のブースへ。で、そこで写真を撮られちゃう。
「はい、正面を向いてレンズを見つめてくださいね、カシャ!はい、結構です。それでは左手を出してください、コードナンバーが打たれた腕輪をしますからね、はいカチリ」 う~ん、なんか犯罪者の気分だなぁ…。

で、更にしばらく待つと、入院するフロアの看護婦さんが迎えに来る。カートに着替えやら洗面用具やらパソコンやらウィスキーやら?のバッグ三個を乗せてエレベーターへ。
「9階になりま~す」「お部屋はこちらで~す」「トイレはこちらで~す」「露天風呂はこちらで~す」
さすがに露天風呂はついてないけど、クロークとトイレと洗面とテレビと冷蔵庫がついている6帖位の空間だ。カーテンを開けると南向きで正面に山。うん、中々景色はよろしいね。これで一泊食事別で12枚か…。ま、しょうがないねぇ。

「後ほど下の売店でT字帯を買っておいてくださいね。明日10時の手術前に使いますから…」

T字帯…?何ですかT字帯って?
「オムツの上につける褌のようなものです」

フ、フンドシ~???
「そうです、フンドシです」(何か力入ってるなぁ看護婦さん)

「それから夕食の後、9時以降は一切の飲食は出来ませんからね」
お茶も?
「お茶も水も駄目です。歯を磨いたあとのすすぎは構いません」
ビールもウィスキーも?
「何を考えてるんですか貴方は」
いえ、ほんの冗談で…

「では、今日は何の予定もありませんからごゆっくりお休みくださいね」

ごゆっくりお休みをったって…未だお昼よ。テレビなんてつまらないし…パソコンに入れたブルースでも聴こうか。ベッドにひっくり返ってみたけど…。カミサンどうしてるかなぁ。ジローはボクの事が心配でゲーしてないかなぁ。あいつはそんな殊勝な気持ちは持ってっこないしなぁ…。アルコール無しの夜なんて何十年ぶりかなぁ。明日は毛を剃られちゃうんだろうなぁ。浣腸もされちゃうのかなぁ。若い看護婦さんに汚いお尻を見せたくないなぁ。

あれこれとつまらぬ考えがよぎる。今夜は眠れぬ夜となりそうだ。




本日退院いたしました!

2011年02月02日 | バラ日記
お陰さまにて、本日、無事に退院する事が出来ました。
予定より少し長引き、22日間の入院となりましたが、退院出来て久しぶりの我が家に帰りホッとしています。
この間、皆様からの暖かいお見舞いをいただき、本当に有り難く御礼を申し上げます。有難うございました。

退院出来たとはいえ、胸の手術後は自分で見るのも怖いくらいの状態ですし、皮膚を取った太股はスモークサーモンさながら。未だ痛みは取れませんし長期のベッド生活で筋肉退化、地に足がつかない感じ。そんな訳で普段の生活に戻れるのは未だ一週間ほど必要なようです。

今夜は退院祝いで久しぶりのビール…でも350の缶で酔っ払いそう。
暇だから明日からでも順天入院中の顛末を書いていきますね。

とりあえず退院のご報告まで。