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定年後の伊豆高原 バラと酒と音楽と

伊豆高原に終の棲家を建築し永住。カミサン、愛猫ジローとの伊豆での老後は如何に。薔薇・酒・音楽・日々の徒然。

入院顛末 その3 術後

2011年02月07日 | バラ日記
朦朧とした中で意識が戻り始める。
あぁ、ここは病室か…どうやら手術は無事終えたようだ。誰かがベッドの脇を横切った。黒い影なんだけど誰だろう。あれ?また影が横切る。誰?良く見ると誰も居ないんだけど、ほら、また影が横切っていく。なんか重苦しい。
手術した胸のあたりに違和感を感じる。そっと胸に手をあててみると、分厚い大きなガーゼの感触、ギブスが被さっているような感じがするが、恐くてそっと触る程度の事しか出来ない。

手術に立ち合ってくれた次女の笑顔が見えてきた。

「お父さん、大丈夫?手術、無事済んで良かったね。痛い?」
あぁ、大丈夫だよ。痛みはあんまり感じないけど、おしっこの所が痛いな
「管入れてるからね」

あのさぁ、誰か病室に居た?黒い影がさっきからベッドの脇を横切るんだけど…
「誰もいないよ」
おかしいなぁ…麻酔のせいで妄想が出てるのかなぁ。

手術に立ち会ってくれてありがとう。もう大丈夫だから帰ってもいいよ。お母さんが心配しているだろうから早くお帰り。
再び眠る…ZZZ (黒い影の妄想は一晩で消えた)

手術当日は目が覚めても朦朧としているし、眠ったり目をあけたりを繰り返していたようだ。看護師さんが抗生物質と痛み止めの点滴交換を繰り返す。

あの、おっしっこが溜まって苦しいんですが…
「お小水は管が入ってますから、ちゃんと出ていますよ。」

そうなんですか…でも、なんか、溜まってるみたいで…
「管が入っているから違和感があるんですよね、でも、ちゃんと出ていますから大丈夫ですよ」
ZZZ

目を覚ます。喉が痛い。痰が出るし咳も出るし…肺炎になった時の症状と同じだ。痰がからむ。咳をして痰をテイッシュに吐きだす。なんと血が…。もしかして肺癌?手術のショックで癌細胞が動き出したんじゃないのかな。ゴホゴホ…ゼイゼイ…

担当医の回診があった。主治医は形成外科准教の女性U医師。部下の男性Y医師と女性S医師の三人で手術を担当してくれた。主治医のUさんは未だお若い方だが准教授とは偉いなぁ。優しいし信頼がおける先生だ。男性Y医師は背が高く甘いマスクでイケメンだ。この先生も優しい。S医師はちょっと怖い。あまり感情をださずたんたんと仕事をこなすタイプか。冷たい印象でいかにも外科医といった風情。この先生によるガーゼ交換は後に恐怖の時間となった。

「いかがですか?手術は無事に成功しましたからね、大丈夫ですよ。痛みはどうですか?」

有難うございます、胸の痛みはあまり無いのですが、太股はチリチリと痛いです。
「皮を剥いでいますからね、痛み止めの点滴を続けますからね。」
それと先生、おしっこの方が…痛くって…

「管が入ってますからね…明日か明後日には管を抜きますから、しばらく辛抱してください」

それから…喉が痛いんです。それに痰を出したら血が混じっていて。
「手術の時に気管に管を入れていましたから、その影響でしょう。2~3日で喉の痛みも咳もなくなると思います」

(そうだった。手術前に麻酔担当医から説明を受けていたっけ。すっかり忘れてた。肺癌か?なんて思い込んだりして、気が弱くなったかな…)

手術後の三日間は、胸の痛みよりも、おしっこの部分の痛み(というより違和感)に神経が集中していたみたいだ。点滴による痛み止めが強力に効いていたからだった。
本当の辛さは手術後五日目あたりから始まった。