goo blog サービス終了のお知らせ 

定年後の伊豆高原 バラと酒と音楽と

伊豆高原に終の棲家を建築し永住。カミサン、愛猫ジローとの伊豆での老後は如何に。薔薇・酒・音楽・日々の徒然。

入院顛末 その2 手術当日

2011年02月04日 | バラ日記
未明から目が覚める。寝ボケ眼で時計を見ると…未だ5時じゃないの。たしか昨夜眠りについたのは12時頃だから睡眠5時間か。眠いんだけど寝られないんだよね。ベッドの中でグズグズしてるともう7時。歯磨きして、トイレ入って…小さいのしか出ないなぁ。手術前に大が出ないとまずいんじゃないかなぁ。朝のTVは相変わらず民主管攻撃の繰り返しだし、朝からブルース聴くのもなぁ。手術って痛いのかなぁ、全身麻酔だから痛くはないだろうけど、麻酔が切れるとどうなんのかなぁ。不安感がモコモコと大きくなって、用も無いのに狭い部屋をウロウロする。

そこへ白衣の若い医師が登場。
「麻酔を担当する○△です、よろしく。では麻酔の手順をご説明しますね。」
「手術室に入ると吸入マスクがつけられます。普通の空気ですからゆっくりと呼吸して…で、ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐いて、それから数を数えて、イ~チで吐いて、ゆっくり吸って、ニイ~で吐いて、ゆっくり吸ってって感じです。ちょっとやってみて」

イ~チ…ニイ~…スゥ~ハァ~

「そうそう、いいですねぇ、その調子でOKですよ。ですぐに寝ちゃいますからね。麻酔が効いたのを確認したら人工呼吸器の管を気管に挿入します。手術後に喉が痛かったり声がかすれたりしますが、一両日で治りますから心配ありませんからね。」

「で、眠っているうちに手術しちゃいます。大体3時間位ですかね。手術が終わると病室に戻ってベッドに移されますからね。麻酔が切れるとともに意識が回復しますが、ボーとしたり頭痛がすることもありますからね。」

麻酔切れると痛いんですかね。

「点滴で抗生物質や痛み止めが注入されますから大丈夫でしょ。じゃ、後ほどお会いしましょうね」
(会いたくないなぁ…)

続いて看護婦さん二名で登場!開口一番、「オムツとT字帯着けました?」

そんな大きな声出さなくたって…
あの…て…テイモウするんですか?
「あっ、剃毛ですね、今回は指示がありませんから必要ないのでは」

そうなんですか…(なんか残念)

あの…昨日から便通が無いんですが…
「はあ…」

あの…手術前に…カ…カンチョウとかするんでしょうか…
「それも指示がありませんから必要無いかと…」

でも、手術前は毛を剃られたり浣腸されたりするとか聞いたんですけど…(不服そうに)

「浣腸…したいんですか?」 いや、そういう訳じゃ…
「したいんでしょ」 そうじゃなくってね、でも…
「でも?」 あっ、いえ、いいんです。

(んな会話は無かったけど、麻酔で締まりが無くなっちゃってオムツの中に出ちゃったらまずいんじゃないかなぁ。)

「じゃ、時間ですからね、このストレッチャーに乗ってください」
「しゅっぱ~~~~つ!」

廊下を通り、エレベーターに乗り、また廊下を通り…すれ違う患者さんや見舞客などが興味深かげに横たわっている自分を覗く。
(これから手術なのね、可哀想、何の手術かしら、癌?盲腸?痔?きっと痔の手術よこの人、ジローかもね)と思われているに違いない、きっと。

手術室の前、ジャ~ンとドラの音はしないけどカシャっと金属的な音がして自動扉が開く…中に入る。冷たい雰囲気。また扉が…おぉ、大きな電球がいっぱいついた円形の照明器具が…不気味だ。すると、濃緑の手術着をまとった医師やら看護師やらが5~6人。この風景ってテレビの医療ドラマにシーンそのものじゃないか。
医師達が自分を取り囲みマスクにかくれた鋭い目で自分を見つめる。財前教授みたいだなぁ。(知ってる?)

「じゃお名前をフルネームで言ってください、はい、じゃ生年月日は?はい、結構ですね」
「それでは、このマスクをかぶって…ゆ~っくり息を吸い込んで…ゆっくりと吐いて…、大丈夫ですよ~、数を数えましょうね、イ~チ…スゥ~~~、ニィ~~~、スゥ~~~~、~~~~、~~~~、

思考が停止する…死ぬ時はこんなだったら楽なのになぁ、と瞬間的に思ったが…ZZZ





入院顛末 その1 入院日

2011年02月04日 | バラ日記
入院受付窓口にて入院手続きを行う。受付機のボタンをおして受付シートをもらって呼ばれるのを待つ。入院を申し込む人、入院費を支払う人でざっと30~40人。一日中賑わっているから順天堂は繁盛してるなぁ。40分ほど待ってようやく呼ばれる。

「ご入院ですね」
そうなんです! 入院なんです。(何故か嬉しそうに答えちゃったけど、ちっとも嬉しくない)

「ご入院に際していくつかの書類にサインして捺印をいただきますね、えっと、まず最初に…」

麻酔のアクシデントや後遺症の恐れ、輸血によるエイズや肝炎の恐れ、手術の危険性や後遺症…つまり、入院手術により起り得るあらゆるリスクや後遺症は、それが万に一つの確率であっても患者自身がそれらのリスクを全て理解し納得したものであり、全てのリスクや後遺症などは病院の責では無いとする承諾書の数々だった。全部で6~7枚あったかなぁ。よ~く文面を見ると、何やら恐ろしい事が書いてあるけど…うぅ~ん…これって署名しない訳にはいかないし。

あのぉ…この文面…納得出来ないんですけど…、なぁんて言おうものなら、「じゃ、しょうがないですねぇ、当院では入院手術をお引き受けしかねますが…」と言われてチョンだしなぁ。

そういえばカミサンがドクターヘリで運ばれてきた緊急救命センターでも、「即手術しないと数時間内に死亡…でも、手術しても助からない確率は30%以上…助かっても寝たきりの確率が○○%…、手術のリスクはあれこれで…」って説明を受けたっけ。
そんな説明受けたってこちらの頭の中は超パニック状態。もう神様仏様この際何だっていう事聞いちゃいます、ともかくカミサンを助けて…お願いします、なんとかお願い!!!
あの時は例えどんな事を言われても全て納得承知しちゃうシチュだったっけ。医療訴訟なんておこされたら病院も医師もたまらんからなぁ、判らんでもないし…。なんて事を考えるまでもなく何枚もの書類にサインして印を押す。

その他、入院中のあれやこれやを何やらかんやら説明を受け、入院保証金を支払い手続き一切が済むと次のブースへ。で、そこで写真を撮られちゃう。
「はい、正面を向いてレンズを見つめてくださいね、カシャ!はい、結構です。それでは左手を出してください、コードナンバーが打たれた腕輪をしますからね、はいカチリ」 う~ん、なんか犯罪者の気分だなぁ…。

で、更にしばらく待つと、入院するフロアの看護婦さんが迎えに来る。カートに着替えやら洗面用具やらパソコンやらウィスキーやら?のバッグ三個を乗せてエレベーターへ。
「9階になりま~す」「お部屋はこちらで~す」「トイレはこちらで~す」「露天風呂はこちらで~す」
さすがに露天風呂はついてないけど、クロークとトイレと洗面とテレビと冷蔵庫がついている6帖位の空間だ。カーテンを開けると南向きで正面に山。うん、中々景色はよろしいね。これで一泊食事別で12枚か…。ま、しょうがないねぇ。

「後ほど下の売店でT字帯を買っておいてくださいね。明日10時の手術前に使いますから…」

T字帯…?何ですかT字帯って?
「オムツの上につける褌のようなものです」

フ、フンドシ~???
「そうです、フンドシです」(何か力入ってるなぁ看護婦さん)

「それから夕食の後、9時以降は一切の飲食は出来ませんからね」
お茶も?
「お茶も水も駄目です。歯を磨いたあとのすすぎは構いません」
ビールもウィスキーも?
「何を考えてるんですか貴方は」
いえ、ほんの冗談で…

「では、今日は何の予定もありませんからごゆっくりお休みくださいね」

ごゆっくりお休みをったって…未だお昼よ。テレビなんてつまらないし…パソコンに入れたブルースでも聴こうか。ベッドにひっくり返ってみたけど…。カミサンどうしてるかなぁ。ジローはボクの事が心配でゲーしてないかなぁ。あいつはそんな殊勝な気持ちは持ってっこないしなぁ…。アルコール無しの夜なんて何十年ぶりかなぁ。明日は毛を剃られちゃうんだろうなぁ。浣腸もされちゃうのかなぁ。若い看護婦さんに汚いお尻を見せたくないなぁ。

あれこれとつまらぬ考えがよぎる。今夜は眠れぬ夜となりそうだ。