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米国最大の非上場企業「カーギル」が考えていること | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
2018/10/31 07:30
https://forbesjapan.com/articles/detail/23670
ミネアポリスから30マイルほど離れた郊外には、腰の高さに育ったトウモロコシの畑が何マイルも広がり、数棟の白い外壁の建物以外に視界をさえぎるものはない──。この建物を所有するのは、年間売上高1150億ドル(約12兆9000億円)を誇る穀物会社「カーギル」だ。
カーギルは、フォーブスの「米国最大の非上場企業ランキング(America’s largest private companies)」で、過去30年で28回首位に輝いている。これらの建物の中では、カーギルにとって非常に重要なプロジェクトが進行している。
灰色の半塩水が入ったタンクでは、イズミダイやエビが飼育されている。カーギルは水産物の最適な養殖方法をテストしており、タンクごとに水温を変えて必要な栄養量や食欲などを確認している。
近年、カーギルはサケやイズミダイ、エビなどの養殖業者向けに魚飼料を販売し、業界で大手プレーヤーとなっている。同社は自らも養殖ビジネスを手掛けるべきか検討しており、ミネソタ州エルクリバーの施設でその実験を行っているのだ。
「新たな食品を生み出すための、サステナブルな方法を見つけ出そうとしている」とカーギルで水産物事業の責任者を務めるEinar Wathneは話す。カーギルは、夕食の食卓に並ぶ食品の大半を扱っている。同社は過去153年間に渡って商品取引を中核事業としてきており、小麦やトウモロコシ、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉など様々な食料品の加工や輸出を手掛けてきた。
巨大な事業は巨大な利益を生み出し、創業家であるカーギル家とマクミラン家の資産は合計490億ドルとも言われる。25名のファミリーメンバーが、カーギルの株式の約90%を保有しており、このうち14名はビリオネアだ。
17名の取締役のうち6名がファミリーメンバーだが、CEOの座には就いていない。ファミリーとして最後に経営トップを務めたのは、19年間に渡ってCEOを務め、1995年に退任したWhitney MacMillanだ。
ファミリーは、1年間で稼ぎ出した営業キャッシュフローの80%を事業に再投資している。この金額は、直近実績で42億ドルもの規模だ。カーギルは、莫大な資金を様々な新規事業に投資しているが、特に水産養殖には力を注いでおり、2015年以来数十億ドルをつぎ込んでいる。成果は既に出ており、魚飼料だけでも3億ドルの利益を出している。
「水産養殖は非常に重要な事業機会であり、カーギルがこれまで培った専門性や経験によって大きく成長させることができる」とCEOのDavid MacLennanは述べている。
ウーバーは50位にランクイン
米国を代表する非上場企業の多くは、カーギルと同様に強固な経営基盤を持つ。2位のコーク・インダストリーズ(Koch Industries)はコーク兄弟が所有するコングロマリットで、売上高は1100億ドルと推定される。同社の事業領域は、石油精製からペーパータオルの生産まで幅広い。
6位のマースは、M&M’sやスニッカーズ、Twixなどのブランドで知られる菓子メーカーだ。他にもキャットフードの「Whiskas」や「Uncle Ben’s」ブランドの米などを手掛け、年間売上高は350億ドルに達する。
トップ10の企業のうち、8社はランキングが始まった1985年からランクインしている。歴史の古い企業が多いのも特徴で、全企業の平均年齢は75歳となっている。
ユニコーンで唯一ランクインしているのが50位のウーバーで、推定売上高は75億ドルだ。他のユニコーンがランクインしていない背景には、早期に多くの資金を調達して上場を果たすという、最近のスタートアップのライフサイクルがある。これは、カーギルのような老舗企業とは真逆の動きなのだ。
下記に2018年版の「米国最大の非上場企業ランキング」を掲載する。
1位:Cargill(カーギル):売上高1148億ドル/ 世界最大級の穀物商社
2位:Koch Industries(コーク・インダストリーズ):売上高1100億ドル/石油、エネルギー、繊維、金融などを手掛けるコングロマリット
3位:Albertson(アルバートソン):売上高599億ドル/食品の小売チェーンを運営
4位:Deloitte(デロイト):売上高432億ドル/世界最大規模の会計事務所
5位:PricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース):売上高413億ドル/世界最大級のプロフェッショナルサービスファーム
6位:Mars(マース):売上高350億ドル/スナック菓子、ペットフード、飲料などを手掛ける食品メーカー
7位:Ernst & Young LLP(アーンスト・アンド・ヤング):売上高348億ドル/会計、税務関連のプロフェッショナルサービスファーム
8位:Publix Super Markets Inc(パブリックス):売上高346億ドル/スーパーマーケットを運営
9位:Reyes Holdings LLC(レイエス・ホールディングス):売上高278億ドル/食品卸業
10位:C & S Wholesale Grocers, Inc.(C&Sホールセールグローサーズ):売上高270億ドル/食品卸業
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米国最大の非上場企業「カーギル」が考えていること | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
2018/10/31 07:30
https://forbesjapan.com/articles/detail/23670
ミネアポリスから30マイルほど離れた郊外には、腰の高さに育ったトウモロコシの畑が何マイルも広がり、数棟の白い外壁の建物以外に視界をさえぎるものはない──。この建物を所有するのは、年間売上高1150億ドル(約12兆9000億円)を誇る穀物会社「カーギル」だ。
カーギルは、フォーブスの「米国最大の非上場企業ランキング(America’s largest private companies)」で、過去30年で28回首位に輝いている。これらの建物の中では、カーギルにとって非常に重要なプロジェクトが進行している。
灰色の半塩水が入ったタンクでは、イズミダイやエビが飼育されている。カーギルは水産物の最適な養殖方法をテストしており、タンクごとに水温を変えて必要な栄養量や食欲などを確認している。
近年、カーギルはサケやイズミダイ、エビなどの養殖業者向けに魚飼料を販売し、業界で大手プレーヤーとなっている。同社は自らも養殖ビジネスを手掛けるべきか検討しており、ミネソタ州エルクリバーの施設でその実験を行っているのだ。
「新たな食品を生み出すための、サステナブルな方法を見つけ出そうとしている」とカーギルで水産物事業の責任者を務めるEinar Wathneは話す。カーギルは、夕食の食卓に並ぶ食品の大半を扱っている。同社は過去153年間に渡って商品取引を中核事業としてきており、小麦やトウモロコシ、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉など様々な食料品の加工や輸出を手掛けてきた。
巨大な事業は巨大な利益を生み出し、創業家であるカーギル家とマクミラン家の資産は合計490億ドルとも言われる。25名のファミリーメンバーが、カーギルの株式の約90%を保有しており、このうち14名はビリオネアだ。
17名の取締役のうち6名がファミリーメンバーだが、CEOの座には就いていない。ファミリーとして最後に経営トップを務めたのは、19年間に渡ってCEOを務め、1995年に退任したWhitney MacMillanだ。
ファミリーは、1年間で稼ぎ出した営業キャッシュフローの80%を事業に再投資している。この金額は、直近実績で42億ドルもの規模だ。カーギルは、莫大な資金を様々な新規事業に投資しているが、特に水産養殖には力を注いでおり、2015年以来数十億ドルをつぎ込んでいる。成果は既に出ており、魚飼料だけでも3億ドルの利益を出している。
「水産養殖は非常に重要な事業機会であり、カーギルがこれまで培った専門性や経験によって大きく成長させることができる」とCEOのDavid MacLennanは述べている。
ウーバーは50位にランクイン
米国を代表する非上場企業の多くは、カーギルと同様に強固な経営基盤を持つ。2位のコーク・インダストリーズ(Koch Industries)はコーク兄弟が所有するコングロマリットで、売上高は1100億ドルと推定される。同社の事業領域は、石油精製からペーパータオルの生産まで幅広い。
6位のマースは、M&M’sやスニッカーズ、Twixなどのブランドで知られる菓子メーカーだ。他にもキャットフードの「Whiskas」や「Uncle Ben’s」ブランドの米などを手掛け、年間売上高は350億ドルに達する。
トップ10の企業のうち、8社はランキングが始まった1985年からランクインしている。歴史の古い企業が多いのも特徴で、全企業の平均年齢は75歳となっている。
ユニコーンで唯一ランクインしているのが50位のウーバーで、推定売上高は75億ドルだ。他のユニコーンがランクインしていない背景には、早期に多くの資金を調達して上場を果たすという、最近のスタートアップのライフサイクルがある。これは、カーギルのような老舗企業とは真逆の動きなのだ。
下記に2018年版の「米国最大の非上場企業ランキング」を掲載する。
1位:Cargill(カーギル):売上高1148億ドル/ 世界最大級の穀物商社
2位:Koch Industries(コーク・インダストリーズ):売上高1100億ドル/石油、エネルギー、繊維、金融などを手掛けるコングロマリット
3位:Albertson(アルバートソン):売上高599億ドル/食品の小売チェーンを運営
4位:Deloitte(デロイト):売上高432億ドル/世界最大規模の会計事務所
5位:PricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース):売上高413億ドル/世界最大級のプロフェッショナルサービスファーム
6位:Mars(マース):売上高350億ドル/スナック菓子、ペットフード、飲料などを手掛ける食品メーカー
7位:Ernst & Young LLP(アーンスト・アンド・ヤング):売上高348億ドル/会計、税務関連のプロフェッショナルサービスファーム
8位:Publix Super Markets Inc(パブリックス):売上高346億ドル/スーパーマーケットを運営
9位:Reyes Holdings LLC(レイエス・ホールディングス):売上高278億ドル/食品卸業
10位:C & S Wholesale Grocers, Inc.(C&Sホールセールグローサーズ):売上高270億ドル/食品卸業
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