選挙区に自民超える大量候補者 異例の戦略、N党は何を狙う? (毎日新聞 2022/6/30)
7月10日投開票の参院選で、NHK党は82人の候補者を擁立した。
全45の選挙区では最大与党の自民党の候補者数(49人)を上回る73人が立ち、それぞれが自身の主義や主張を訴えている。
N党の戦略は何か。
「当選は目的ではない」
「NHK党の選挙区での立候補者は当選を目的としていません」
立花孝志党首は6月25日に公開されたユーチューブの動画で、選挙区で73人、比例で9人の擁立に踏み切った背景を説明した。
狙いは、参院選で政党要件を満たす票を獲得し、政党交付金を受け取り続けられる環境を維持することだという。
立花氏は「あなたの1票で国から政党助成金(交付金)が党に交付されます」と支持を訴えた。
政党助成法は①国会議員5人以上②国会議員1人以上で直近の衆院選か参院選の選挙区または比例で全国を通じた得票率が2%以上――のいずれかの基準を満たした「政党」に交付金を支給する。参院選は直近だけでなく、その前の選挙で2%以上得票していれば支給資格を得られる。
N党は「NHKから国民を守る党」として臨んだ2019年の参院選で立花氏が比例で初当選(後に参院埼玉選挙区補選に立候補し自動失職)し、選挙区で3・02%の票を獲得して政党要件をクリアした。
政党交付金は25年まで受け取ることができ、今回の参院選で2%以上を得たうえで所属議員を維持すれば28年まで延長される。
政党交付金2億円、その使い道
総務省によると、22年にN党に支給された政党交付金は約2億1000万円だ。
立花氏はその使い道について、NHK受信料を払わない支持者がNHKから訴訟を起こされた場合に「裁判費用やNHKに支払う受信料に充てられる」とアピールしている。
公約にも受信料を払いたくない人向けに「不払いコールセンター」や「NHKとの裁判における各種サポート」など「受信料を支払わないですむ制度」を整えたとし、この制度を継続するとしている。
インターネット上では支持者から評価の声が上がる一方、「税金を個人の裁判費用に使うのか」などと批判的な意見もある。
N党は21年の衆院選に「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の党名で挑んだが、選挙区で0・26%、比例で1・39%の得票にとどまった。「NHKをぶっ壊す」と連呼する立花氏の過激な言動や、度重なる党名変更でネット上の注目を集めようとしてきたが、19年の参院選ほどの勢いは見られなかった。
そこで奇策に打って出たのが今回の参院選だ。
東京で最多の5人、その他の選挙区では改選数と同じ人数を擁立。
北海道、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡でもそれぞれ3~4人のN党候補をあえて立てた。
比例の議席獲得も視野に票の掘り起こしを図る狙いだが、自民党など他の政党が党内で激しい公認争いを繰り広げるのに比べれば、極めて異色の戦術と言える。
立花氏は5月27日の記者会見で「(選挙区で)当選したければ候補者を絞る。でも、当選を目的としなければたくさん出した方が有利だ」と強調。「『有権者も主権者としてしっかり勉強して投票しろ』という意味がある。考えて理解した上で1票を入れてもらいたい」とも述べた。
「300万円の広告効果」候補者も恩恵?
党首が「当選を目的としていない」と断定する選挙区の候補者たちに、メリットはあるのか。
選挙区で立候補するには供託金300万円(比例は600万円)が必要だ。
立花氏は会見で、候補者がテレビやラジオで主張を伝える政見放送や新聞社の紹介記事、選挙管理委員会が発行する選挙公報を挙げて「300万円で得られる広告効果は計り知れない」と指摘した。
一般的にメディアは選挙報道で政党ではない政治団体を「諸派」として扱っており、立花氏は自身のアイデアを「諸派党構想」と名付けてさまざまな主義・主張の人物に立候補を呼びかけたという。
NHKを視聴したい人だけが受信料を払う「スクランブル化」実現などN党が重視する政策に賛同すれば選挙戦で何を訴えても自由とし、希望者が相次いだ。
こうして集まった候補者は宣伝目的と割り切っているためか、わざわざ「私の当選は無理です」と宣言したり、選挙ポスターにN党の名前を書いていなかったりする人もいるほどだ。
宇宙産業や炭作りの振興、内部告発者保護など訴えるテーマはバラバラ。
比例では芸能人の裏話を「暴露」することで注目される国外在住のユーチューバーを目玉候補とした。
「ワンイシュー」政党の行方は
ただ、N党の国政選挙に対するなりふり構わない姿勢には批判が根強い。
日本記者クラブ主催で6月21日に開かれた与野党9党首の討論会では、記者側から「一組織を潰すために政党を作るのは邪道ではないか」と質問が出た。
これに対し、立花氏は「NHKを一本やりで攻めて政治を行うことについて『そんなことが許されるのか』ということですが、許されるから国政政党になっているんですよ」と反論。
「100万人近くの有権者が理解し、我が党に投票いただいた。今回の参院選の結果をご覧いただければ、懸念も払拭(ふっしょく)されると確信しています」と強調した。
「ワンイシュー」(単一争点)少数政党の道をあえて進もうとするN党はこれからも国政政党であり続けるのか。
有権者の判断が注目される。
NHKは、ニュース、天気予報だけでいい。
古典芸能、クラシック、教育番組なら許容範囲。
歌番組、バラエティ番組は、いらない。
潰してもオッケー。
NHKは、巨大な組織になった。
NHK職員は、サラリーマンの中の貴族。
年収が、高すぎる。
アナウンサーは、派遣社員とかAIでオッケー。
コスト意識がない。