中国拳法の中でも有名な詠春拳の達人にして、
ブルース・リーの唯一の師匠としても知られる
実在の武術家イップ・マンを描いた映画は、
ドニー•イエン主演の2本を中心に、
ここ数年で数多く製作されているが、
今年また新たな感性で描いた『グランドマスター』が
ついに公開された。
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監督は、『恋する惑星』で一躍注目され、
『ブエノスアイレス』『マイ・ブルーベリー・ナイツ』、
キムタクが主演した『2046』などを世に送り出した
ウォン・カーウァイ。約6年ぶりの監督作として
クンフー映画を取り上げてくれたのは何とも嬉しい。
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これだけでもかなりの話題性だが、
イップ・マンにふんするのが『レッドクリフ』シリーズや
『インファーナルアフェア』のトニー・レオン。
更にはチャン・ツィイー、チェン・チェンといった
中国圏の実力派スターが結集。
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さてストーリーだが、舞台は1930年代の中国。
引退を決意した北の八卦掌の宗師(グランドマスター)
・宮宝森(ゴン・バオセン)は、一番弟子の馬三(マーサン)と、
南の詠春拳の宗師・葉門(イップ・マン)を後継者の
候補と考えていたが、バオセンの奥義を受け継ぐ娘の
宮若梅(ゴン・ルオメイ)も自ら名乗りを上げる。
しかし、野望に目のくらんだマーサンがバオセンを殺害。
ライバルでもあるイップ・マンに惹かれていたルオメイは、
その思いを封印して父の復讐を誓い、後継者争いと
復讐劇は複雑に絡みあっていく。
これまでのイップ•マン映画は、かなりクンフー映画としての
色が濃かったが、本作はクンフーを題材にしながらも、
とても切なく美しいラブストーリーとなっており、
また中国にとって激動の時代を描いた歴史絵巻でもある。
『グランドマスター』で描かれるクンフーバトルは、
雨のシーンが多いが、スローモーションを織り交ぜた、
流れるような格闘描写は、ウォン・カーウァイ監督
ならではの映像美であり、もはやこれはアートの域に
入っていると言える美しさだ。
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武術指導は、ユエン•ウーピン。
クンフー映画好きにとっては有名な人物だが、
ジャッキー•チェンの出世作、『スネーキーモンキー蛇拳』を監督し、
『グリーンデスティニー』や、あの『マトリックス』シリーズや、
『キルビル』でも武術指導を担当した。その意味では、
出演陣のみならずスタッフ陣も豪華なメンバーが結集している。
本作は、クンフー映画好き、ウォン•カーウァイ監督ファン、
チャン•ツィイー、トニー•レオンファンにとってはたまらない
映画だろうが、普通に中国の歴史スペクタクルとしても
楽しめる映画であった。
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ブルース•リーファンの僕としても、
新たなイップ•マン伝記映画としても味わい深い。
映画の最後に、ブルース•リーの言葉が
クレジットされたのがまた感動的であったし、
最後にイップ•マンに弟子入りした少年の姿が
印象的に映し出されるが(写真のイップマン左隣)、
これはブルース•リーだと勝手に解釈したが、
またこういう楽しみ方が出来るのも
イップ•マン映画ならではである。
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