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クリエイティブが大好きなのに、なぜか商社マンになってしまった私のマニアバース!

芦川いづみ祭り2025 第3弾!『愛と死の記録』

2025-04-14 08:58:04 | 芦川いづみ

今年第3弾となる芦川いづみ祭りは、1966年の日活モノクロ映画、『愛と死の記録』である。日活からリリースされているこの映画のDVDを実はかなり前から購入して持っていたのだが、なかなか観れずにいたので、今回ようやく引っ張り出しての観賞である。

『愛と死の記録』は吉永小百合と渡哲也のダブル主演作。昭和41年の芸術祭参加作品であった。カラー作品が主流になっていた1966年の作品ながらあえてモノクロ作品となっており、その悲しい物語の影響もあって、どこかドキュメンタリーのようなリアリティのある映画となっている。そして予め記載しておくが、この映画に芦川いづみも出演しているものの、予想していた以上に登場シーンが短く、まさにゲスト出演としてチョイ役で登場する程度なので、芦川いづみ出演作とはなかなか言い難い作品かもしれない。

物語は広島を舞台に、被爆者である青年と、その青年に恋をしてしまう女性のラブストーリーとなっているが、最後に待ち受けている悲劇を描いた作品。ある朝、和江(吉永小百合)は勤め先の楽器店の前で危うくオートバイにはねられそうになり、持っていたレコードを割ってしまった。オートバイに乗っていた青年・幸雄(渡哲也)は、弁償を断わる和江に無理矢理お金を置いていった。幸雄は、この小さな事件を見ていた和江の同僚ふみ子(浜川智子)の恋人・藤井(中尾彬)と同じ印刷会社に勤める親友だった。そこで二人を仲良くさせようと一計を案じたふみ子と藤井により、和江と幸雄は近くの公園で会うことになった。親友のいたずらと知った二人は驚いたが、すっかり打ち解けた。日曜日、和江たち四人は二台のオートバイで広島湾に遊びにいった。楽しい昼食のあとで二組に別れると、静かな砂浜で和江と幸雄は自然に溢れくる愛を感じていた。二人は毎日のように会った。幸雄の恋を聞いた同僚たちは大いに冷やかし、祝福した。ただ幸雄の親代わりになっている製版班長の岩井(佐野浅夫)だけは、深刻な表情をみせた。幸雄は被爆者で、四才のときに父母は死んだ。苛酷な運命を忘れかけたころに発病して入院したが、四ヶ月で回復。その後、岩井の世話で印刷会社に入ったのだ。再発を心配する岩井の恐れは、非情にも早く現実となってしまった。岩井は、幸雄が作業中に貧血で倒れたという報せを受けた…。という展開。

そして、(ここからはネタバレになってしまうので注意)和江との結婚をためらう幸雄だったが、ある日発作を起こして倒れ、その後入院することに。入院先でも体調は次第に悪化していき、和江の看病もむなしく、幸雄はついに力尽きて亡くなってしまう。絶望的な悲しみにうちひしがれた和江であったが、幸雄の死を乗り超えて立ち直りつつあるように見えた矢先、最後は自殺をしてしまうのである。何とも悲しい、ロミオとジュリエットのような悲劇的な結末であった。

この映画はテーマからして決して楽しい映画ではないし、被爆者を題材にしている点で、原爆の悲惨さを描いた反戦映画でもある。後半はかなり気が滅入ってしまう映画ではあるが、そんな中でも前半は純情なラブストーリーとして展開され、吉永小百合の可愛らしさは随所に見られ、また渡哲也との共演作という意味ではフレッシュな顔合わせで見どころも多い。幸雄の友人役に中尾彬、そして和江の友人役に浜川智子(1969年に本名から芸名、浜かおるに改名)が演じており、この4人でバイクに乗ってピクニックに出かけるなどの楽しいダブルデートシーンなどもある。昨年亡くなってしまった中尾彬だが、この映画ではかなり若い姿が確認出来る。また、浜川智子(浜かおる)はこれまで知らなかったのだが、なかなか目鼻立ちがはっきりした美女である。

さて、本題の芦川いづみだが、キャストの中では主人公2人に続く2番手のような扱いになっているものの、登場シーンは驚くほど極僅か。予想していたよりもかなり少なかった。終盤に和江のお隣に住むお姉さんとしてチラッと2回登場するだけなのだが、登場シーンは恐らく合計でも数分くらいの短さで、大して重要な役でもないのが残念だ。かなりゲスト出演的で、芦川いづみ出演作と呼ぶには少し厳しいレベルではある。しかし、そんな短い登場シーンでも、引退間近で大人っぽい芦川いづみの姿を確認することが出来たのは一応収穫ではあった。

よってこの映画は、芦川いづみ出演作品として観賞するというよりは、純粋に吉永小百合と渡哲也の主演作として観賞するのが正解だし、2人の作品としてはその演技も含めて見応えのある作品であった。そして吉永小百合に関しての感想は、やっぱり可愛いの一言。今で言えば、浜辺美波的にキュートな魅力は、悲しく、暗いトーンの本作の中にあってもひと際輝いていたのが印象に残った。そして渡哲也も颯爽とバイクに乗る姿がスレンダーでカッコよく、その初々しい中にも力のこもった演技が光っていた。

本来このような反戦・反原発をテーマにした映画はもっと深くえぐるような辛い作品が多いが、本作は純愛映画としての要素も与えながらも、原爆がその後も若い世代に対してどのような悲劇をもたらしたかという側面にスポットを当てた映画としてはかなり興味深い。また、吉永小百合と渡哲也の若い頃の共演作として、シリアスなテーマに正面からぶつかって挑んだ映画としては、一見の価値がある作品だと感じた。


芦川いづみ祭り2025 第2弾 !『街から街へつむじ風』が日活から初DVD化!

2025-04-11 22:00:24 | 芦川いづみ

今月、嬉しいことにまた芦川いづみが出演した石原裕次郎主演映画が新たに日活から初DVD化された。1961年に日活から公開された『街から街へつむじ風』という映画である。

実はこの映画は、朝日新聞出版から発売されている、『石原裕次郎シアター』シリーズの1本として既にDVD化されて僕も既に持っていたのだが、今回日活としての初DVD化となる。日本映画の女性プロデューサーとして有名だった故・水の江滝子が企画・プロデュースした主要作品を今回初DVD化・ブルーレイ化していく企画なのだが、『街から街へつむじ風』もその1本。水の江滝子は、他にも石原裕次郎初主演作の『狂った果実』、芦川いづみ作品だと『紅の翼』、『霧笛が俺を呼んでいる』、『憎いあンちくしょう』、『硝子のジョニー 野獣のように見えて』、加賀まりこ主演の『月曜日のユカ』なども代表的な作品だ。

今回、『石原裕次郎シアター』版と、今回の日活DVD版を両方再生して少し比べてみたが、どちらも画質は大きく変わらない。違いとしては、石原裕次郎シアター版はDVDに本編のみの収録だが、その代わりに簡単な冊子が付いており、ここにも芦川いづみの写真が載っていた。日活版は冊子とかはないものの、オリジナル劇場予告編映像とフォトギャラリーが収録されているので、ファンとしてはこう言ったちょっとした特典映像があることも嬉しいものだ。どちらのバージョンもそれぞれ嬉しいおまけがあるというわけだ。

『街から街へつむじ風』 ミニ解説 & 寸評

1961年公開。石原裕次郎主演作の日活カラー映画。暴力団に脅され、立ち退きを強要されている小さな病院を救うべく建ち上がる医師を裕次郎が演じ、まさに“タフガイ”裕次郎の面目躍如たる設定。物語自体は結構エンタメ性が高く、裕次郎映画としてはかなり楽しめる作品だと思うが、チンピラヤクザの設定はちょっとチープかもしれない。それでも、やっぱり芦川いづみの美しいナース姿を楽しめることや、歌う色気のある裕次郎、けんかするカッコいい裕次郎、当時の東京都内の風景を楽しむことが出来る作品としてはかなり貴重な映像史料である。共演陣も、小高雄二、東野英二郎、宇野重吉、大阪史郎、中原早苗など、日活映画ではお馴染みの俳優陣が勢ぞろいしており、なかなか豪華である。

この映画を今回日活DVD版で久しぶりに観たが、芦川いづみ出演作のとして見た場合に必ずしも傑作とまで言えないものの、最高に美しいナース姿を拝めるという点では特筆すべき映画であることを再認識した。実は芦川いづみのナース姿は幾つかの作品で楽しめるが、この映画に登場する芦川いづみのナース姿が一番多いと思う。そして1961年と言えば、まさに芦川いづみの美しさがピークに差し掛かった頃であり、この作品では様々な表情の美しい芦川いづみが楽しめるのは最高である~。

既にDVDを持っていたものの、やっぱり“イズミスト”としては、彼女が出ている全ての媒体をゲットしたいので、今回の日活版DVDも購入してしまったが、コレクションとして購入した価値が充分にあった。今年7月には『憎いあンちくしょう』もなんとブルーレイ化されるので、こちらも同じく『石原裕次郎シアター』版ではDVDを持っているのだが、やっぱりブルーレイ版は映像もクリーンアップされていると思うので買ってしまうだろう。こちらもかなり楽しみである。


今年も開催~芦川いづみ祭り2025 第1弾! 『男が命を賭ける時』

2025-03-29 17:33:58 | 芦川いづみ

過去数年の恒例となっているこの企画を、今年もついに開催!イズミストとして、これまで芦川いづみの出演映画は相当数観てきたし、市販されているDVDはほぼ所有しているのだが、それでもまだ観ていない作品が幾つか残っている。今年は完全制覇に向けて、そのまだ観ぬ作品を鑑賞して行きたい。

今年の“芦川いづみ祭り”第1弾となるのは『男が命を賭ける時』という作品だ。これは1959年の日活映画で、石原裕次郎主演作品。数多くある石原裕次郎 x 芦川いづみ共演作の1本で、『石原裕次郎シアターDVDコレクション』としてリリースされていた1本なのだが、不覚にもまだ購入出来ていなかった。そして先日ようやくDVDを手に入れたので、観賞することにした。

カラー作品であり、また芦川いづみのピークとなる1959-1962年にちょうど差し掛かった時期の出演作。二谷英明と南田洋子に次ぐ3番手に近い役どころながら、それなりに出演シーンはある作品だったので見どころのある作品であった。

大まかな映画のあらすじは下記の通り。

油田地帯を舞台にライフルを持った石原裕次郎が大暴れするスケール感のある痛快作で、まさに裕次郎人気真っ盛りに公開された映画だ。物語だが、大型貨物船の船医・小室丈太郎(石原裕次郎)は大型貨物船の船医だが、船を降りることにした。やっと小さな医院を建てるほどの金がたまったのだ。コックの坊やのねがいで、彼は皿をクレイがわりに早撃ちの手なみを見納めさせる。

帰京前に立寄った伊豆の猟場で、思わぬ殺人事件にまきこまれる。附近の開業医が散弾で顔も判らぬほど惨殺された。東京から駆けつけた子の雅夫(川地民夫)と圭子(芦川いづみ)は小室を犯人と当初勘違いする。そんな中、鉄道架設工事に盲腸患者が出た。図師刑事(大阪志郎)のすすめで、小室が行くことになり、雅夫を助手に盲腸の手術を担当する。病人は常盤組の配下で働く湯沢組の組長だが、その弟俊二(神山繁)は彼に敵意を持っているようだった。

帰途、置き去られたジープと死体を目撃。工事場の給料輸送車で、金はなくなっていた。死体は指輪から常盤組の頭の一人で、小室の親友である手納(二谷英明)と判明。彼はかつて湯沢組の幹部だった。その妻でデザイナーの悠子(南田洋子)が駆けつけた。それは昔、小室が恋を清算しようと船医になった相手だった。

小室は雅夫たちと東京へ帰った。二人は仲よくなっていく。雅夫の父の死は殺人の現場を目撃したかららしいと図師刑事が報告してきた。悠子に会いに行くと、そこに死んだ筈の手納がいた。襲った相手を身代りにしたのだった。彼らが集団で湯沢組を裏切り、その入札額を常盤組に内報して落札させた。その復讐として俊二が殺人を行っていることが判った。手納は新潟の姉をたよって逃げるが、俊二が手納を追っていく。そして油田地帯で手納は俊二に殺されてしまうが、亡くなる前に「現場が危い」と駈けつけた小室に言い残した。

セスナで俊二たちの後を追った小室は、落成祝賀会の工事現場に到着。しかし、完成したばかりのトンネルが爆破される。小室は祝賀会場へ向って燃えていく導火線を目撃し、消す為に猟銃に手をかけた。背中にピストルがあてられ、“射ったら、お前の命を貰うぜ”と俊二の言葉が響く。その時、小室は“男が命を賭ける時”を感じ、猟銃で導火線を打って切断することに成功したが、俊二が爆薬庫を狙い、小室との殴り合いの死闘が繰り広げられる。そして、ついに俊二を倒すのだった。--事件は無事解決したが、医院設立費を費い果たしてしまった小室は、また船へ舞い戻ることを決意。コックはまた小室の早打ちが見られると、彼が船に戻ってきたことを大いに喜ぶのであった・・・というストーリーだ。

人気絶頂の裕次郎主演作だけあって、カッコいい裕次郎を満喫出来る作品となっていた。何種類かのツイードコートをスタイル良く着こなしながら、猟銃を持って颯爽と立ち回る裕次郎は今見てもなかなか絵になる。さすが“映画映え“するスター、裕次郎である。共演陣は他にも日活映画でお馴染みの二谷英明、川地民夫、南田洋子、大阪志郎などが脇を固めているので、テッパン的な日活映画の安心感がある作品だ。映画の中で、南田洋子の住むマンションが出てくるが、当時はこのようなやや高級なマンションが増えていた時期で、それまで主流だったアパートから一線を画すデザインとなって高級感も出ており、今見てもなかなかモダンで新鮮であった。

そしてもちろん僕のお目当ての芦川いづみだが、裕次郎との絡みという意味ではそこまで重要な役柄ではないものの、比較的序盤からラストシーンに至るまで映画全体にまんべんなく登場するので、予想していたよりは見応えがあったのは嬉しかった。裕次郎とのラブシーンこそないが、色々と事件を追う中で関係が近くなって行く展開は、他の共演作でも良くある王道パターンである。

パープルチェックのワンピースや、白いニットのセーター、白い襟のスーツ、そしてラストの鮮やかなブルーのコートなど、色々な芦川いづみファッションが楽しめる。彼女は何を着ても良く似合うし、やっぱり美しい(笑)。今回は涙こそ見せないが、表情としては多くのバリエーションを楽しむことが出来る。

映画そのものとしても、裕次郎のアクション映画としてそこそこ楽しめるし、それなりに味わいのある作品であった。芦川いづみ出演作としてはややBクラスかもしれないが、美しい芦川いづみを拝めるという意味ではまずまずの作品であった。さて、今年もあと4-5作品は観賞しようと計画しているが、未観賞作品がだんだん少なくなるのもとても寂しい思いだ。今年のどこかで、“僕が選ぶ芦川いづみ作品ベスト20”を改めて纏めてみたいと思う。


芦川いづみ祭り2024!第11弾『散弾銃(ショットガン)の男』

2024-12-22 19:47:19 | 芦川いづみ

今年の芦川いづみ祭りを締めくくるのは、1961年に公開された日活映画、『散弾銃(ショットガン)の男』である。この作品はずっと気になっていたが、DVD化されていなかったのでこれまで観れずにいた。しかし、なんとも嬉しいことに今年の12月4日に待望の初DVD化が実現したのである。本作を監督した鈴木清順監督作品が幾つか日活からDVD化され、そのシリーズの1本としてリリースされたのである。

発売前からDVDを予約して購入していたのだが、今月はなかなか忙しくて観賞出来ずにいた。しかし、ついに今週末に時間が出来たので、じっくりと観賞することが出来た。1961年と言えば、まさに芦川いづみがその美しさのピークを迎えていた頃であり、この作品でも最高に美しい芦川いづみを楽しむことが出来る作品だ。

映画のあらすじだが、日本のとある山、鷲霊山は、土地の者は誰も登ろうとしない魔の山であった。ある日、一人の男・渡良次(二谷英明)が、散弾銃を肩に鷲霊山に登って行く。彼はいいなづけを殺され、その犯人を探してここまでやって来たのだった。突然、数人の男たちが良次を襲うが、彼はひとりで撃退してしまう。

森の中の西岡製材所の社長・西岡は、良次を見込んで用心棒に採用する。その夜、良次は町に出て、西岡の情婦・春江(南田洋子)がマダムをしているバーに入る。そこで良次は、バーの用心棒・ジープの政(小高雄二)が持っている真珠のネックレスを見て驚く。それは彼の許婚者の持物だった。良次と政は喧嘩になるが、町の私設保安官・奥村が止めに入る。奥村は愛妻を二ヵ月前に何者かに殺され、犯人捜査のため保安官になったのだった。良次と奥村は、互いの境遇を共感しあう。

ある日、奥村が暴漢に襲われて負傷し、彼は良次も一味だと誤解するが、奥村の妹・節子(芦川いづみ)だけは良次を信じていた。奥村の後任保安官に良次が選任されるが、西岡は、邪魔になった良次を追い出すため、政と対決させる。決闘場の山かげの盆地には、西岡が秘密に栽培しているケシ畠があった。西岡一味は生阿片を密売していたのだ。良次と政の銃が火を噴く寸前、西岡の子分たちが襲いかかり、秘密を知った彼らを皆殺しにしようとする。だが、良次の早撃ちは、子分どもを撃退した。窮地を逃れた良次は、西岡に監禁されていた節子を救い出す。そこにかけつけた警官隊の中に政がいた。政は麻薬取締官だったのだ。こうして山に平穏が訪れ、去って行く良次のあとを、節子が全力疾走で追いかけるのだった。

この映画はなかなか“変”な映画だ。山の中の製材所で巻き起こる物語だが、他の日活映画とは違い、実在する街中で展開される物語というよりも、どこか架空の山で展開されるような話で、しかもちょっと西部劇アクションのようでもあり、無国籍な雰囲気も漂う妙な感覚の映画となっている。初めて観た感想としては、正直あまり感情移入出来ず、芦川いづみ出演作品の中でもストーリーとしてお世辞にもあまり面白い映画とは言えないが、公開された当時は結構斬新な作品であったことは容易に想像できる。主演の二谷英明を売り出す映画としてかなり気合が入っていたのだろう。

物語の舞台となる山の中にはバーもあって、このバーで派手な喧嘩が繰り広げられたり、ダンスや歌が展開され、いかにも西部劇的だ。ロケは岐阜や丹沢などの山中で撮影されたようだが、森林の中に滝があったりと、自然豊かな場所でも物語が展開される。そしてクライマックスの決闘は海のシーンが出てきたりするが、実際の場所はどこなのかと思ってしまうほど展開が謎である。

ちょっと変てこな設定はさておき、主演は二谷英明はなかなか二枚目でカッコいい。そして二番手には芦川いづみと小高雄二。二谷英明と小高雄二は日活作品の常連であったし、芦川いづみとの共演作も多い。二谷英明は石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎などに続き、日活の“ダイヤモンドライン“の一角を形成し、“ダンプガイ”の愛称で当時人気を博したが、妻も女優の白川由美(2016年死去)、そして娘の二谷友里恵は、郷ひろみと結婚したことでも有名だった。1971年に日活を退社し、その後は『特捜最前線』などの刑事ドラマなどで脇を固める渋い俳優として人気を博したが、2003年に脳梗塞で倒れ、その後2012年に81歳で惜しくも亡くなってしまった。またこの映画には長門裕之と結婚した南田洋子もバーのマダムとして登場し、なかなかセクシーな役どころを演じている。

芦川いづみはこの作品で準主役だけあって、冒頭からラストシーンまで映画全体を通して比較的長く出演しており、様々な表情を見せてくれるのが嬉しい。しかもこの映画はカラー作品なので、カラーで美しい芦川いづみをたっぷり堪能出来る作品となっているが、彼女の存在感がしっかりとスクリーンに焼き付かれた作品だ。

『散弾銃の男』を観た感想を総括すると、映画としてはさほど面白くないし、今見ると結構ヘンテコで陳腐なB級西部劇のような映画ではあるが、当時の映画にかけるエネルギーと、絶頂期の美しい芦川いづみをフルカラーで楽しめるという意味では貴重な映画遺産である。また少し時間をおいてからDVDをじっくり観賞したい。


芦川いづみが表紙を飾る雑誌、第5弾!

2024-12-01 20:58:59 | 芦川いづみ

先日、芦川いづみが表紙を飾る『近代映画』1957年4月特別号を入手したことを取り上げたばかりだが、なんとまた今週貴重なものがコレクションに加わった。それが、こちらの映画雑誌、『映画ファン』1956年8月号だ。

この雑誌は芦川いづみが表紙を飾っており、しかも、なんと水着姿の芦川いづみなのだ。今で言えばグラビアに近いインパクトが当時あったに違いない。1956年と言えばまだ芦川いづみもブレイクする前で、若くて初々しい姿が表紙確認出来るが、ブレイク前だから披露出来た水着写真だったかもしれない。これはかなりレアで貴重な芦川いづみである!

しかし、今回入手したこの雑誌は、1956年のものとは思えないほど状態がいいことに驚いた。先日入手した1957年の『近代映画』の方がかなり痛んでいたが、今回は更に遡ること1年前の雑誌にも関わらず折れ、欠け、破れ、汚れなど殆ど確認出来ず、まさに奇跡的なキレイさである。67年前の雑誌とは思えないが、とても保存状態が良かったのだろう。

映画雑誌だけあって、中身は当時劇場公開されていた映画の紹介・宣伝などが掲載されている。1956年に劇場公開された芦川いづみ出演作、『洲崎パラダイス赤信号』が紹介されており、ここに芦川いづみの写真も2枚確認出来たのは大きな収穫だった。

また若き日の石原裕次郎、津川雅彦、長門裕之兄弟との3ショットのピンアップなども掲載されていた。まだ石原裕次郎も比較的かけだしの頃で、かなり貴重な写真である。

芦川いづみが表紙を飾る当時の雑誌は、これで『花椿』、『コウロン』、『週刊実話』、『近代映画』に続き、今回で5冊目となったが、今回の『映画ファン』が、今まで入手した雑誌の中で一番保存状態が良いかもしれない。

芦川いづみが表紙を飾る雑誌の中では、今回の『映画ファン』は水着姿の芦川いづみという意味ではかなりレアで貴重で思わず感激してしまったが、これからもまだ入手出来ていない雑誌を地道に集めて行きたいと思う。